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10/9/2024, 6:51:31 AM

別れ際に(番外編)22の続き

束の間の休息(番外編)23

 ●灰色猫ハイネとシズクちゃんの
  ひなたぼっこ


ぽかぽかのお日様の光を浴びて
シズクちゃんと灰色猫ハイネは
ひなたぼっこをしていました。
さっきまで二人で草むしりをしていたので
しばしの休息です。
ハイネは、久々の猫型に姿を変え
シズクちゃんの隣ですやすやと眠っていま
した。
シズクちゃんもハイネの隣で横向きに
寝ていました。
二人は、綺麗に揃えて寝息を立てて
いました。

しばらくするとパチリとシズクちゃんが
目を覚ましました。
そうしてぐぅ~とお腹が鳴りました。
そろそろお昼の時間です。
シズクちゃんは、ハイネが作ってくれた
お弁当をバスケットごと持って来て
レジャーシートにお弁当を並べました。
そしてハイネに呼びかけます
「ハイネお昼ご飯だよ!!」しかしハイネはよっぽど疲れているのか深く眠っていました。
シズクちゃんは、ハイネが起きるまで
待ちます 食事は、皆で食べた方が
美味しいからです。
シズクちゃんがハイネが起きるのを待っていると どこからかリスが顔を出し
レジャーシートに置いてあったお弁当の
ミニおにぎりを....「あっ....」ひょいと抱えて持ち去ります。

「リスさん待って....それハイネと食べる
おにぎりなの.... 待って....」シズクちゃんの声も虚しくリスは、自分の巣穴におにぎりを持っていきます。
シズクちゃんはリスを追い掛けおにぎりを
持って行かれない様にリスの巣穴に
近づきました。
普通のリスの巣穴よりは、大きい巣穴
でした。
シズクちゃんは巣穴を覗き込むと
すってんころころと穴の中に落ちてしまいました。
幸い滑り台の様に滑って落ちて来た為
怪我は、ありませんでした
シズクちゃんは、丸い瞳をパチクリとさせ
リスさんに話し掛けます
「リスさんおにぎりを返して下さい」と
シズクちゃんが言いましたがリスの手に
もうおにぎりは、ありませんでした
そうしておにぎりの代わりにリスが
シズクちゃんにくれた物は.....




そしてシズクちゃんに遅れてハイネも
目を覚ましました。
(ふああっ 良く寝た あれ?)
ハイネが目を覚ますとシズクちゃんが
いませんでした。
(あいつどこ行った.....)ハイネは人型に
なるとシズクちゃんを探しに行きました
「お~い!」ハイネが呼びかけると
シズクちゃんが目を丸くして木の根元に
座っていました 見ると服が所々汚れて
いました。
「お前どうしたんだ?」ハイネはシズクちゃんを抱き上げました。
シズクちゃんが言う事には....
「あのね....リスさんが此処まで送ってくれ
たの....でもね....ハイネが作ったおにぎり
リスさんが美味しいから食べちゃったの
だから代わりにリスさんがこれくれたの
ハイネにごめんなさいだって....」
シズクちゃんは自分の首に掛かっている
長いネックレスをハイネに見せました。
そのネックレスは、紐でドングリやクルミなどたくさんの木の実や葉っぱが連なって
いました。

ハイネは(何があったかさっぱり分からん)と思いましたがシズクちゃんが一生懸命
説明してくれるので....
「そうか....とりあえず無事で良かった」と
言ってシズクちゃんと元居た場所に戻り
一緒にお昼ご飯を食べました。

   (おしまい)

10/8/2024, 1:52:43 AM

力を込めて

力を込めてぐっと腕を曲げる。
フーッと息を吸ってぐっと唇を真一文字に
結んで歯を食い縛るその内 力が入りすぎて顔の方が熱くなり真っ赤になる
その内苦しくなり力を抜きはーっと息を吐く疲れて呼吸が荒くなり肩で息をする

そんな僕の疲労を見て父親が
「まだまだだなあ!」と笑い
父親が見本を見せる様に同じ様に腕を曲げ
ぐっと力を込めると大きな力瘤がぷくっと
膨らみ腕に貫禄を付けていた。

まだまだ父親は、超えられない
これからもトレーニングを続け様と心に
強く誓った。

10/7/2024, 12:03:33 AM

過ぎた日を想う

あんな事もあった こんな事もあった
あの時は、ああすれば良かった
この時は、こうすれば良かった
過ぎた日を想うと後悔ばかりが積み重なる。

けれどあの後悔があったから あの失敗が
あったから あの時の挫折があったから
今に繋がって居るとも思うんだ。
だからあの時の事を想っても決して振り返らない 前だけを見て進んでいきたいと
今の私は、そう想うんだ....。

10/5/2024, 10:49:30 AM

星座

雑誌の星座占いを見る
自分の星座の運勢をチェックする
結果は、良くも悪くもまぁまぁだった。

微妙な結果だったとしても占いと言う物は
見てしまうもので....
毎朝のニュース番組の最後にやる占いも
欠かさずチェックしてしまう
やはり当たらないと分かって居ても
ラッキーカラーやラッキーナンバーなどを
教えて貰うとつい意識してその色の小物を
身に付けたり つい何かを選ぶ時に
何番目を意識して選んでしまう傾向がある
占いに踊らされていると言えばそうなのだが.... でも私は、一日の選択肢の指針としてこれからも星座占いなどの占いの
チェックは欠かす事は無いだろう....

10/5/2024, 12:41:58 AM

踊りませんか?

「踊りませんか?」そう声を掛けられ
一瞬身を固くする。

そこに居たのは 冷徹と噂される
侯爵子息だった。

私は、差し出された手に視線を置き
こわごわとその大きな手に自分の細く白い手を置く

そうして広いダンスホールまで手を引かれ
広い空間に誘導される。

オーケストラの楽団の人達が自分の担当の
楽器を構え そうして曲が始まる。
最初はバイオリンの音色から始まり
高らかに響き周りの人達がターンや
ステップ そうしてくるくると回り
曲に合わせて それぞれのダンスが
思い思いに始まった。

何故 侯爵が私の手を取ったのかその
怜悧な青い瞳の中にわずかな皮肉が
混ざっており口元も意地悪く口角を
上げていた。

「笑みが引きつっていたぞ あまり不自然に笑っていると口元に皺が増えるぞ!」

「あら侯爵様 女性の容姿を揶揄するのは
失礼に当たりますよ 寛大な私で無ければ
気分を害する所ですわ!」

「よく言う早く帰りたいと表情に出ていたぞ 俺が声を掛けなければ しつこい
令息の話しを切り上げられず いつまでも
聞いているハメになっていたぞ!」

令嬢は、ムッと口元を引き結んだ
それは、事実なので言い返せない....

しかし声を掛けるにしてもいきなり
何の脈絡も無くあんな冷めた目で話し掛けたら他のご令嬢なら怖くて逃げたして
しまうだろう

「貴方こそ女性をダンスに誘うなら
もう少しにこやかにスマートに誘えませんの あんな真顔でまるで戦地に立つ兵士の
様に威圧し過ぎですわ!」
令嬢は、不満を露わにする。

「ああ それは、すまなかった.....
他の令嬢は、可愛らしい方が多く自然と
口元が緩んでくるんだが お前の吊り上がった高慢な表情を見てるとどうも笑う気に
なれなくてな....」

令嬢は、その言葉に怒りが頂点に達し
令息の足をステップを踏む振りをして
わざと踏もうと画策するが
令息は、彼女の行動などお見通しの様に
軽やかなステップを踏んでそれを回避する

高慢令嬢と皮肉屋令息 彼女と彼は、
社交界のダンスパーティーに参加する
たびに言葉の応酬を繰り返している

その応酬が始まる合図は必ず....
「踊りませんか?」と言う令息からの
問い掛けから始まる。
そうして手袋を放る様に令嬢が令息の手に
まるで挑戦を受けるかの様に体を震わせ
武者震いをさせて 戦場と言う名のダンスホールに赴く
組み手をする様にお互いの手を重ね
ダンスの曲が終わるまでにお互い皮肉の
言い合いを始める。
それは、最早 お互いだけの恒例行事に
なっている....
それに 果たして 令息と令嬢が気付いて
いるかどうかは 最早 神のみぞ知る所と
なっている....。

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