巡り会えたら
また駄目だった また君を救え無かった。
何度 何度 この同じ時を巡り巡っても
君を救う事が出来ない
でも僕は、諦めない 諦められない
どんなに辛く 苦しくてもまた君に
巡り会い 笑い合える時に行き着くまで
僕は、この時間のループの波を止める事が
出来ない....
君にもよく言われていたっけ....
「諦めが悪いのが 君の短所でもあり
長所でもある.... もちろん私は君のその
性分を長所だと思っているけどね....」
そんな風に苦笑して 僕に呆れていたけれど 決してそんな僕の性分を否定しなかった。
君が長所だと言ってくれた僕の諦めの悪さを奮い立たせ 僕は、また時のループの波の中に自分を沈める。
君の手を必ずこの手に摑む為に
僕は、また時の流れの波に飛び込み
また巡りの旅にこの身を埋める。
奇跡をもう一度
遠い国の 遠い地で誰かが言った
「奇跡は二度は起こらない」と
また誰かがこうも言った
「奇跡は起きるものじゃない起こすものだ」と この世に奇跡なんてものが
存在するとしたならそれは神の御業か
はたまた人の努力の結晶か
一度目の奇跡が神の気まぐれなら
二度目の奇跡は人の馬鹿力か....
神は乗り越えられる試練しか与えないとは
よく言ったもので.....
この世の天変地異が神の奇跡なら
その天変地異に立ち向かいあらゆる災害や
水害から人命を守るのが人の手によって
創られた奇跡なのかもしれないと....
地震跡地に立ち尽くして思う
今あるこの命が奇跡だと....
災害救助隊員の皆様 本当にありがとう
ございました。!!
たそがれ
空に朱色と藍色が混ざり淡いグラデーションが掛かる頃 私は、学校からの帰り道を
ひたすら歩いていた。
不気味な程 黒く 暗くは無く
かと言って心から安心出来る程明るくも
無いそんな淡い黄昏時なら 私達の中に
私達じゃ無い者が私達の振りをして
混ざっていても不思議じゃ無い
そんな幻想的な妖しい者を呼び寄せる様な
そんな空を見上げながら 私は一つの
好奇心と不安 恐怖と期待を胸の中に
抱えながらいつも通っている通学路を
ドキドキしながら歩いて行く
何かが起こって欲しい様な 起こって欲しくは無い様な相反する気持ちがせめぎ合い
ながら 一歩 一歩 足を踏みしめて行く
家に着くまで 私の心は前のめりになり
落ち着かなかった。.....
通り雨の続き
きっと明日も
今日は、いつものメンバーで遊園地に
来ていた。 事の発端は....
「ハイネとシズクが両思いになったお祝いに四人でWデートしようよ!!」
「あ~此処まで長かったわ~やっと長年の
夢が叶うのね~」とミーナとナイトの二人の提案だった。
「はぁ~そんな事言ってお前ら遊びに
行きたいだけだろう って言うかそんな事
祝うんじゃねぇ恥ずかしいだろう....」
(って言うか長年の夢って何だよ俺の
恋愛成就は、そんな長年待つ程 希少な物みたいに言うんじゃねぇよ....)
はぁ~とハイネはため息を吐く
そして隣に座っているシズクを横目で見ると何故だかシズクは、考え込んでいた。
(何考え込んでんだこいつ....)ハイネが
シズクに声を掛ける。
「シズクどうしたんだ....」
「あっ....あのね....友達同士が両思いになったらお祝いするなら ミーナとナイトの事もお祝いしなきゃ 二人両思いなのに私
お祝いしなかった....今からでも間に合うかなあ....」とズレた返事をよこして来たので
ハイネは、更にため息を吐く
するとナイトが見計らった様に
「だから僕達のお祝いも兼ねて四人で
遊園地に行こう!」とナイトがシズクに
呼びかける
するとシズクが目をキラキラさせて
「うん!」と頷く と三人で盛り上がって来ていたので 嗚呼 これは行く流れになって来てるなあ面倒くさいなぁと思わなくもないが....シズクがにこにこして嬉しそう
なのでその笑顔を見てるとハイネ自身
(まぁ良いか....)と言う気持ちになるのだった。
そうして 今に至る....
「....ハイネ....見て....見て....!!」
シズクがミーナと動物の耳が付いた
カチューシャを被りハイネとナイトに
ミーナと一緒に見せに行く
どうやらお店で買ったらしい.....
ミーナは、猫耳 シズクは兎耳の
カチューシャだった。
「ミーナ凄く可愛いよ 似合ってる!」
「ありがとうナイト」ミーナとナイトの
二人の間に恋人特有の二人だけの世界みたいな雰囲気が流れる。
「ハイネ!!兎さんだよ!!」とシズクが
嬉しそうにハイネに顔を綻ばせる。
ハイネ「っ・・・」と言葉を詰まらせる
両思いになってもシズクに面と向かって
可愛いと褒める事が出来ないハイネだった。
無難に「ああ・・・」と一言返すだけで
留める。
シズクは、そんなハイネの言葉が嬉しくて
照れた様にもじもじしていた。
しかし当のハイネは....(俺って奴はどうして素直に可愛いって言えないんだろう....)
もう泣かせたくないのに.....
離れたくないのに....
もっと もっと喜ばせたいのに....
結局 告白も意気込んで決意した割に
最初に言い出してくれたのはシズクから
だったし.... 俺 もしかして彼氏らしい事
全然シズクにしてない....
その事実に思い至りハイネは、内心
落ち込んでいた。
暫くして四人は、乗り物のアトラクションやレストラン ショッピングなどを堪能して帰る頃になった。
「楽しかったわね!」「うん!」
シズクとミーナが話している後ろで
ハイネは、落ち込んでいた。
それを見て取ったナイトがハイネに
声を掛ける。
「ハイネどうしたの?」ナイトがハイネを
覗き込むナイトの問いかけにハイネは、
ぶっきらぼうに...
「別に....唯 俺っていつまでも格好悪いなあって思っただけだよ...」
「ふ~ん ハイネも自分の事に関しては
鈍いんだね!」
「はぁ....どう言う意味だよ!」ハイネの
問いかけにナイトは、答えず
「じゃあ僕達は、此処で失礼するね!」
「ハイネちゃんとシズクを送って行きなさいよ!シズクじゃあまたね!」
こうしてミーナとナイトは、手を繋いで
先に自分達の家へと帰って行った。
シズクは、今日は、凄く楽しかった。
皆と居られて.... ハイネと居られて....
だから今シズクは、最高に幸せだった
このまま寮に着かなければ良いのに
そう思ってしまう程....
シズクは、ちらりとハイネの顔を見る。
私の大好きな人は、普段は、ぶっきらぼうで意地悪で厳しいのに 私が本当に困っている時や助けて欲しい時は、いつも一番に
駆けつけて私の事を助けてくれる
ヒーローみたいに格好良くて大好きな人です シズクは、ハイネの顔を見て
くすくすと笑う
「はあ~何笑ってんだよテメェは」ハイネ
バツが悪そうにシズクを睨む
シズクはその睨まれた顔すら
初対面の時は、あんなに怖かったのに
今は、全然怖くない ハイネが色んな表情を自分に見せてくれる事が心から嬉しい
「....ハイネ大好き!」シズクは、満面の
笑顔をハイネに見せる。
それを見てハイネは...「ばっ馬鹿 うるさい こんな公衆の面前で好きとか言ってんじゃねえ うぜえんだよ ほらもう
さっさと行くぞ!」「うん....」
こうして二人は、並んで歩き出した。
きっと明日も大好きな人に会えます様に
二人は、心の中でそう同じ様に願っていた。....。
静寂に包まれた部屋
ドアを開けるとしーんと静まり返った部屋
誰も居ないその部屋に一人でいると
冷たく冷え冷えとした空気が肌を通る
誰も私を見つけてくれない
気付いてくれない
今日も一人寂しく 家具も何もない
殺風景な部屋の床にその身を横たえる
暖かみも感じられない冷たい床は
寂しさを増長させるだけだった。
嗚呼 私は、一人ぼっち誰か私を見つけて
【あくる日】とある井戸端会議
「やっぱり奥の部屋 誰か居るような物音がするの.... やっぱり呪われてるのよ....
だってその部屋は、誰も住んでいないはず
だもの....」
「あの部屋でしょ....女性が首吊り自殺した
部屋って きっと今でもその女性が幽霊に
なってあの部屋に住んでるのよ...」
「あまりに不気味だから今度あのアパートの奥の部屋お祓いしてもらうらしいわよ」
そんな噂話をする中年女性達
あれ?何で部屋に入れない何で私は...私....
嗚呼 そうだ 私は、死んだんだ....
上司のパワハラ セクハラに耐えに耐えて
私は、とうとう耐えきれなくて死んだんだ
誰も遠巻きに見るだけで助けてくれなかった。
一人暮らしに憧れて家賃6万のこのアパートで新しい生活を始めた
両親に仕送りもしてやっと親孝行が出来ると思ったのに....ごめんなさい
お父さん お母さん 私が弱いばっかりに
親不孝をしてしまった 二人に心配や
迷惑を掛けたくなくて会社の事は、
二人に話せ無かった。
結果的にそれが二人に迷惑を掛ける事に
なるなんて死んでから気付く愚かな娘を
どうか許して下さい さようなら
死んでからも私は、追い出されてしまった
やっぱり私は、誰にも見つけられなかった
やっぱり私の存在意義なんて何も無かったんだ こうして私は、誰にも必要とされず
私の魂は、消えて行った
【お祓いをして一ヶ月後】
「わあ~パパ ママ この部屋 他の部屋に比べて凄い綺麗だよ!!」
「本当ね 他の部屋は、床にシミやキズが
少しだけど付いてたのにこの部屋は新築みたいに綺麗だわ!」
「きっと前使っていた住人の人が大切に
丁寧に使ってたんだなあ....」
「ママ パパ 私この一番奥のこの部屋に
住みたい!」
「そうね パパもママも賛成よ!
こんなに綺麗に片付けられた部屋なんですもの きっと前の住人さんが気遣いが
出来る優しい人だったのね」
「僕達も大切にこの部屋を使わせて貰おう」娘と母親も父親の言葉に嬉しそうに
頷く
こうして彼女の優しい性分を間接的にでも
分かってくれる人が現れたのは彼女に
とっては、救いになったのかもしれない
しかし本当の所は、永遠に分からないまま
だった。....。