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7/4/2024, 2:32:03 AM

繊細な花の続き

この道の先に

此処は、何処だろう? 僕は誰かと一緒に
この道の先を辿っていたはずなのに....
その誰かは何処に行ってしまったんだろう
そう 僕とその誰かには、大切な物が
あったんだ 何物にも代え難い大切な物が.... 記憶が朧気だ。
僕は、一体誰だろう....?






シズクは、バインダー局の皆にお手紙を書いていた。ルークが自分が出す事を条件に
出す事を許可してくれたからだ。

シズクは、文面を一生懸命に考えて皆の顔を思い浮かべた。

ハロルド局長 マリアさん
ミーナ ナイト ハイネ 元気ですか?

私は、新しい学校に少し緊張してまだ
慣れて居ない所もありますが元気です。

皆が お仕事で、怪我をしていません様に
私も皆に負けない様に頑張ります。
またお手紙書きます。
体に気を付けて  シズクより


シズクは、手紙を大切に封筒にしまい
ルークの部屋の扉をノックする。

「はい!」と声が聞こえてシズクは、ドアを
開く「ルークさん....今 大丈夫ですか?」
シズクがドアを覗き込む様にルークを窺うとルークが微笑んだ。

「シズクちゃん丁度良かった 今呼びに行こうと思ってたんだ!」ルークがにっこりと笑顔を浮かべシズクに近付く。
シズクは、ルークにおずおずと手紙を
差し出す。「あ....あの....私 皆に....お手紙....書いたんです....バインダー局の皆に
....」 ルークがシズクの手紙を受け取り
値踏みする様に見つめる。

「ああ....手紙....そう言えば出すって言ってたね....」ルークは、一拍 間を置くと....

「分かった手紙は、僕が預かるねそれより
今日は、僕からシズクちゃんにお願いが
あるんだ!」「私に....?」シズクはきょとんと目を丸くする。
「うん!シズクちゃんにしか頼め無い事なんだ頼まれてくれないかなあ....」シズクは
ルークに頼られて嬉しくなって
「私に出来る事なら....何でもします!」と
笑顔で承諾した。

「良かった じゃあこっちの部屋に来てくれる?」ルークは掌を隣の別の部屋に
向けてシズクにこっちに来る様に促す。

シズクはルークの後に付いて行く
「そこの椅子に座ってくれるかなあ」
ルークは部屋にある1脚の椅子をシズクに
指し示す。
シズクは、きょとんとして....
「ルークさん....これは、何をするんですか?」シズクはルークに質問する。

「なに ちょっとしたアロマセラピーさ
僕が調合したアロマをシズクちゃんに
試して貰って感想を聞きたいんだけど
良いかなあ」

「アロマセラピー....はい....アロマ....体験
して見たいです.....」シズクは、目をきらきらさせて初めてのアロマセラピーに
わくわくしていた。

「じゃあ椅子に座って 目を瞑ってくれるかなあ」「はい....」シズクは、ルークの
言われた通りにした。

「僕が良いって言うまで目を開けちゃ駄目だよ!」「はい....」シズクは、静かに目を閉じる。

そのうち何だか鼻腔に甘い匂いが漂って来た。シズクはその甘い匂いを嗅いでいる内に何だか意識がぼやけて来て気づけば眠りに落ちていた。

すやすやとシズクが寝入ったのを確認して
ルークは、シズクの耳元に囁く

「シズクちゃんやっぱり君は、子供の頃から変わっていないね....人を全面的に信用して疑う事を知らない そうやって人を信用して人に頼らないと生きていけない可哀想な子.....ああでも一つだけ良い事があったね
君が姉さんの娘だと言う事 おかげで姉さんそっくりの体を手に入れた。
待ってて姉さんもうすぐ会えるよ!」

そうルークは、シズクの耳元で囁き
シズクの髪を一房摑むとそこに優しく唇を落とし その部屋を静かに立ち去ったの
だった。








ハイネは、バインダー局の道をひたすら進んでいた。しかしその道中ハイネの耳に声が聞こえた。

『此処はどこだろう』ハイネはその声に
立ち止まった。

(何だ....今 声が....)ハイネはキョロキョロと周りを見る。
するとハイネの耳に陽気な声が聞こえて来た。

『やあそこのつり目のナイスガイ君
もしかして君 僕の声が聞こえるのかい
だったら教えてくれないかい?
僕の片割れを知らないかい?
それと此処は何処だい?』

ハイネは目を丸くする。そこにはふわふわと浮いた魂がハイネの視界を飛んでいた。

『自己紹介をしたい所だが生憎 自分の
名前を忘れてしまってね!代わりに君の名前を教えてくれるかい?ナイスガイ君』

この一人の少年と一つの魂の出会いが
これからの運命を変える鍵となる。

果たして少年は、初恋の少女とまた出会う事が出来るのだろうか?

7/3/2024, 6:54:58 AM

窓越しに見えるのは(番外編)③の続き

日差し(番外編)④

●アイス

じめじめとした肌に張り付く様な日差しが
直接 体に当たり汗を掻きながら
魂狩りを終えた ミーナ ナイト ハイネの三人

バインダー局の扉を開け報告を済ますと
それぞれ解散となりばらける態勢になったのだが帰ろうとした矢先シズクが
テトテトと嬉しそうに三人の元にやって来て三人の前に袋を差し出す。

中に入っていたのはカップアイスと棒付きアイスだった。

「皆....おつかれ....様....」シズクは皆に
配り始める。

「シズクありがとう!」「このタイミングでアイスは神だよ!」ミーナとナイトが
喜び シズクはハロルド局長とマリアにも
配る「私はクーラーの効いた室内仕事なのに良いのかいシズク君」

「シズクちゃんもしかして暑い中買って来てくれたの 仕事が忙しくて手伝え無くて
ごめんね!」シズクはマリアの申し訳ない
返事に首を振り「私....この位の事...しか
出来ないから....お手伝いしたい....」と
にっこりと微笑む

シズクは、ハイネにも差し出す。
ハイネも暑かったので差し出された袋に
手を伸ばすが....袋にはアイスが後1個しか
無かった。

そうしてハイネは気付く
(もしかしてこいつ自分の分買って無いん
じゃないのか....)ハイネの動きにシズク以外の全員が気付く
そうしてミーナが「シズク自分の分は?」とシズクに聞いてみると
「自分......! !」シズクが今気付いたみたいに目を丸くする。

皆の喜ぶ顔を想像して買っていたシズクは
自分の分をすっかり忘れていた。

「じゃあ半分こしようかシズク」とミーナがシズクにスプーンを差し出す。
「で....でもミーナの分....無くなっちゃう」
「大丈夫よ!ほら先に食べて!」
「....ごめんね....」とシズクが申し訳程度に
ミーナのアイスを食べる。
「もっと食べて良いのよ!シズク」とミーナが促すがシズクは「もう大丈夫....
ありがとうミーナ....」とシズクは遠慮する

「シズク僕のも食べる?棒付きアイスだから
先に齧って良いよ」とナイトがシズクに
棒付きアイスを差し出す。
「大丈夫ナイト....食べて....」シズクは、
これ以上此処にいたら皆に気を遣わせて
しまうと思い寮に帰る事にする。
「私....帰る....ね....」とシズクは踵を返そうとして....「ひゃあっ...」と冷たい物が
シズクの頬に当たる。
見ると棒付きアイスが袋ごとシズクの頬に
当てられる。

「アイスよりコーラが飲みたい寮の近くの
自販機で買って来る ついでだからお前も
送ってってやるよ行くぞシズク」とハイネがシズクに声を掛ける。
シズクは、ハイネの言葉にきょとんとしていたが....「ほら さっさとしろシズク
遅ぇんだよ!」とハイネが怒鳴り
シズクは、びくんと肩を震わせ
「は....い....」とハイネの後を追った。




そうしてハイネとシズク二人で寮までの道を歩いていると....ハイネはシズクが手に
持っている棒付きアイスの袋が気になり
「おい 早くそれ食べろよ溶けるだろ」
「でも....」シズクは、何を迷っているのか
中々食べようとしない
(ったくこいつは本当面倒臭せぇ)
ハイネは自動販売機を見つけ丁度そこに
ベンチがあったので立ち止まっている
シズクを座らせ自分は自販機でコーラを
買う。「シズクさっさと食べろ!」と
ハイネはシズクを苛立ち紛れに促す。
「で....でも....ハイネのだし.....」

「あ~アイスなんて誰が食べても一緒だろ
俺は、コーラが飲みたいんだ!」

それでもまだじっとして食べないシズク
(ったくこいつは何を悩んでやがる本当面倒臭せぇ)シズクの方を見ると日焼けだろうかシズクの白い肌に赤味が差していた。

どうやらアイスを買う為に炎天下の中歩いた為出来た赤味らしい....
(それで自分の分忘れるとか本当どうしようもねえなあこいつは....)ハイネがコーラを
飲みながらそんな事を考えていると.....
やっとシズクが口を開き
「ハイネも....アイス一緒に....食べよう....」 シズクがハイネにそんな事を言う

「はぁ~だから俺は、アイスよりコーラの
方が....」ハイネがそう言い掛けた時
シズクが潤んだ瞳で、ハイネを見上げて

「だって.....皆に喜んで欲しくて....買ったんだもん....このアイスだってハイネに
買ったんだもん....ハイネに喜んで欲しくて
ハイネの為に....買ったんだもん......」と
泣きそうな声で、ハイネの為に買ったと
言われたハイネは.....
「っ・・・・」断れなくなった。
(くそっ 二人っきりの時に俺の為とか
言うなよ!!馬鹿シズク)

シズクの事だから本心で言ったのだろう
そこに下心的な意味も皆無であると
分かっているのに....

「分かったよ食えば良いんだろう食えば」とハイネはやけくそになる。
しかしシズクが嬉しそうに「うん....」と
頷くので鼓動が早くなる。

「じゃあ....ハイネから先に齧って」シズクが嬉しそうにアイスをハイネに差し出す。

(嗚呼せめてこんな事になるなら棒付きアイスじゃなくってカップアイスを選べば
良かったまだスプーンで分け合う方が
こんなに緊張しなくて済んだのに....)

ハイネはシズクが持っている棒付きアイスを齧る。

「半分こ....」とシズクが嬉しそうに
ハイネが齧ったもう半分を食べる。

ハイネは、涼んだはずなのに涼む前より
自分の体温が上がった様な気がするが
考えない様に残りのコーラを流し込んで
自分の気持ちを冷まして誤魔化した。

7/2/2024, 5:26:22 AM

赤い糸(番外編)②の続き

窓越しに見えるのは(番外編)③

●雪

ハイネは、毛布をたくし上げ窓の外を見る
寒いと思って起き上がったら
窓越しに見えるのは一面の雪景色だった。

欠伸をして、二度寝を決め込むハイネ

(今日は、もう何もしたく無い....)と
バインダー局のソファーですやすやと
寝息を立てて眠ってしまったハイネ


一方 暖かい焼き芋を買って来て皆に配る
シズク皆 喜んでくれて嬉しくなった
シズクは、ハイネにもあげなきゃと一人
ハイネの部屋に向かう

しかし寝息をたてて眠っているハイネを
発見 寝顔を覗きこんだら完全に眠っており 起こすのが可哀想になったシズクは
焼きたてを食べて欲しい思いは、あったが
そのまま踵を返そうとする。


そして無意識に暖かい物を求めて寝ぼけて
いたハイネは、美味しそうな匂いと暖かい
湯気に反応して腕を伸ばす。

踵を返そうとしていたシズクだがハイネに
後ろから抱きしめられ気づけば自分の隣に
ハイネの顔があった。
目を丸くして驚くシズクだがハイネに抱き枕状態にされたシズクは、動け無かった
気づけば焼き芋を抱えたままハイネの寝息を耳元で聞いて居た。

「? ? ....ハイネ....」とシズクは、呼び掛けて見るが ハイネは「あったかい...」と寝言を言っていた。

(....ハイネ....寒いのかなあ....)それなら
もっと暖かくしなくちゃとシズクはハイネに寄り添う様にハイネの胸にすっぽりと
自分の体が入る様に自分の体をハイネ側に
寄せる。

ハイネの顔が自分の近くにあってシズクは
優しくハイネの髪を撫でた。

何だかハイネにはいつも意地悪ばかりされているのでこんな風に抱きしめられるのが
シズクには、嬉しく感じ 寒い季節なのに
体の中がぽかぽかと暖かくなって来る。
そうしてその暖かさに包まれながらシズクもいつの間にかハイネと一緒に寝ていた。

ハイネが先に起きだし自分の顔の間近に
シズクの顔がある事にびっくりして
飛び起きる事になるのだが....

(なっ 何だこれ!!何が起きた!....
っ....て言うかこいつ何で焼き芋抱えながら
寝てんだろう.... って俺 今の今までこの
状態で寝てたのか...)

自分の状況を鑑みて顔に熱が上がって来た
ハイネは、シズクが起きる前に急いで
起き上がりその部屋から逃げだしたのだった。

6/30/2024, 11:51:13 AM

夏(番外編)の続き

赤い糸(番外編)②

●運命の赤い糸

ガキの頃俺の小指にお袋が赤い糸を巻いた。
『母さんこれ何?』子供の俺は首を
傾げてお袋に尋ねた。

『ふふっ これは、運命の赤い糸です
はー君の運命の人がわかっちゃうのです』

お袋は、楽しそうに笑って
『どんな子かしら? はー君の運命の人は』なんて言っていた。
『? ?』ガキだった俺は、お袋の
言っている意味が良く分からなかった。




夢から覚めたハイネは、周りを見回す。

(何だ.... 何か夢を見てた気がするが...)

目を擦り 欠伸をかみ殺して起き上がると
声が聞こえた。

「シズク何色の糸が良い?」ミーナが
シズクに問いかける。

「う~ん....赤!....」とシズクが嬉しそうに
糸を選ぶ

(何やってんだ あいつら....)

ナイトが寝起きのハイネに補足する様に
説明する。

「何かミサンガを作ってるんだって!」

(ミサンガだぁ....) ハイネは、そんな物に
丸っきり興味が無かったが何となく
立ち上がって様子を見守る。

シズクが嬉しそうに赤い糸を一生懸命結んで編んでミサンガを作って居た。

「このミサンガに願いを掛けて付けると
解けた頃には、願いが叶ってるんだって」
とミーナがシズクに説明する。
「願い....叶う....」シズクがきらきらした
瞳でミサンガを見つめる。

(下らねェこんなんで願いが叶うわけ
ねェだろう 女ってこう言うの好きだよなあ....)

そして そうこうしている内に
「できた....」とシズクが呟く。
そうして赤いミサンガを皆に見せる。

「あら上手よ!シズク」
「良く出来たね!」とミーナとナイトが
褒めてくれた。

シズクは嬉しくなって早速付けようと
したのだが....
ひょいっとハイネに後ろから取られてしまう。

「あ....」シズクが小さく声を出す。
「....返し....て....」シズクが背伸びをして
ハイネに手を伸ばすがハイネは返してくれない シズクの手を避けてまじまじと
ミサンガを見つめる。

「ハイネ~....」シズクが泣き出しそうに
ハイネを見つめる。

「ハイネ シズクに返して上げなさい!」とミーナがハイネを怒るが.....

ハイネは....「赤か....」と呟き....
泣き出しそうなシズクの腕に黙ってミサンガを付けた。

「? ?」シズクは、ハイネの行動に
首を傾げる。

「....ハイネ....」シズクはハイネに
呼び掛けるが ハイネは、そのまま黙って
行ってしまう。

ハイネが背を向けて部屋に行ってしまうと
シズクの中に疑問符だけが残った。


そうして一人で部屋に入ったハイネは....
『どんな子かしら?はー君の運命の人は』
夢の中の余韻が蘇った。

ハイネの顔が自分でも分かる程 熱くなっていた。

ハイネは、床に蹲り膝に顔を埋めて
心の中で呟く


願わくば 運命の赤い糸が君に繋がって
います様にそう心の中で願って....。


6/29/2024, 12:30:31 PM

入道雲

もくもくと青空を覆う入道雲
空にたなびいて 筋を作ったり
綿菓子みたいにふわふわと浮かんでる。

あの雲をベッドにして眠ったら
深い眠りに付けるのになあと思いながら
芝生の上に寝転んで居た。

そうしていつの間にか暖かい日差しを
子守唄代わりにして眠って居た。
夢の中でもふわふわの入道雲をベッドにして眠りに付いていた。

やったあ!夢が叶ったと夢の中の自分が
寝言で呟いて居た。

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