Saco

Open App

窓越しに見えるのは(番外編)③の続き

日差し(番外編)④

●アイス

じめじめとした肌に張り付く様な日差しが
直接 体に当たり汗を掻きながら
魂狩りを終えた ミーナ ナイト ハイネの三人

バインダー局の扉を開け報告を済ますと
それぞれ解散となりばらける態勢になったのだが帰ろうとした矢先シズクが
テトテトと嬉しそうに三人の元にやって来て三人の前に袋を差し出す。

中に入っていたのはカップアイスと棒付きアイスだった。

「皆....おつかれ....様....」シズクは皆に
配り始める。

「シズクありがとう!」「このタイミングでアイスは神だよ!」ミーナとナイトが
喜び シズクはハロルド局長とマリアにも
配る「私はクーラーの効いた室内仕事なのに良いのかいシズク君」

「シズクちゃんもしかして暑い中買って来てくれたの 仕事が忙しくて手伝え無くて
ごめんね!」シズクはマリアの申し訳ない
返事に首を振り「私....この位の事...しか
出来ないから....お手伝いしたい....」と
にっこりと微笑む

シズクは、ハイネにも差し出す。
ハイネも暑かったので差し出された袋に
手を伸ばすが....袋にはアイスが後1個しか
無かった。

そうしてハイネは気付く
(もしかしてこいつ自分の分買って無いん
じゃないのか....)ハイネの動きにシズク以外の全員が気付く
そうしてミーナが「シズク自分の分は?」とシズクに聞いてみると
「自分......! !」シズクが今気付いたみたいに目を丸くする。

皆の喜ぶ顔を想像して買っていたシズクは
自分の分をすっかり忘れていた。

「じゃあ半分こしようかシズク」とミーナがシズクにスプーンを差し出す。
「で....でもミーナの分....無くなっちゃう」
「大丈夫よ!ほら先に食べて!」
「....ごめんね....」とシズクが申し訳程度に
ミーナのアイスを食べる。
「もっと食べて良いのよ!シズク」とミーナが促すがシズクは「もう大丈夫....
ありがとうミーナ....」とシズクは遠慮する

「シズク僕のも食べる?棒付きアイスだから
先に齧って良いよ」とナイトがシズクに
棒付きアイスを差し出す。
「大丈夫ナイト....食べて....」シズクは、
これ以上此処にいたら皆に気を遣わせて
しまうと思い寮に帰る事にする。
「私....帰る....ね....」とシズクは踵を返そうとして....「ひゃあっ...」と冷たい物が
シズクの頬に当たる。
見ると棒付きアイスが袋ごとシズクの頬に
当てられる。

「アイスよりコーラが飲みたい寮の近くの
自販機で買って来る ついでだからお前も
送ってってやるよ行くぞシズク」とハイネがシズクに声を掛ける。
シズクは、ハイネの言葉にきょとんとしていたが....「ほら さっさとしろシズク
遅ぇんだよ!」とハイネが怒鳴り
シズクは、びくんと肩を震わせ
「は....い....」とハイネの後を追った。




そうしてハイネとシズク二人で寮までの道を歩いていると....ハイネはシズクが手に
持っている棒付きアイスの袋が気になり
「おい 早くそれ食べろよ溶けるだろ」
「でも....」シズクは、何を迷っているのか
中々食べようとしない
(ったくこいつは本当面倒臭せぇ)
ハイネは自動販売機を見つけ丁度そこに
ベンチがあったので立ち止まっている
シズクを座らせ自分は自販機でコーラを
買う。「シズクさっさと食べろ!」と
ハイネはシズクを苛立ち紛れに促す。
「で....でも....ハイネのだし.....」

「あ~アイスなんて誰が食べても一緒だろ
俺は、コーラが飲みたいんだ!」

それでもまだじっとして食べないシズク
(ったくこいつは何を悩んでやがる本当面倒臭せぇ)シズクの方を見ると日焼けだろうかシズクの白い肌に赤味が差していた。

どうやらアイスを買う為に炎天下の中歩いた為出来た赤味らしい....
(それで自分の分忘れるとか本当どうしようもねえなあこいつは....)ハイネがコーラを
飲みながらそんな事を考えていると.....
やっとシズクが口を開き
「ハイネも....アイス一緒に....食べよう....」 シズクがハイネにそんな事を言う

「はぁ~だから俺は、アイスよりコーラの
方が....」ハイネがそう言い掛けた時
シズクが潤んだ瞳で、ハイネを見上げて

「だって.....皆に喜んで欲しくて....買ったんだもん....このアイスだってハイネに
買ったんだもん....ハイネに喜んで欲しくて
ハイネの為に....買ったんだもん......」と
泣きそうな声で、ハイネの為に買ったと
言われたハイネは.....
「っ・・・・」断れなくなった。
(くそっ 二人っきりの時に俺の為とか
言うなよ!!馬鹿シズク)

シズクの事だから本心で言ったのだろう
そこに下心的な意味も皆無であると
分かっているのに....

「分かったよ食えば良いんだろう食えば」とハイネはやけくそになる。
しかしシズクが嬉しそうに「うん....」と
頷くので鼓動が早くなる。

「じゃあ....ハイネから先に齧って」シズクが嬉しそうにアイスをハイネに差し出す。

(嗚呼せめてこんな事になるなら棒付きアイスじゃなくってカップアイスを選べば
良かったまだスプーンで分け合う方が
こんなに緊張しなくて済んだのに....)

ハイネはシズクが持っている棒付きアイスを齧る。

「半分こ....」とシズクが嬉しそうに
ハイネが齧ったもう半分を食べる。

ハイネは、涼んだはずなのに涼む前より
自分の体温が上がった様な気がするが
考えない様に残りのコーラを流し込んで
自分の気持ちを冷まして誤魔化した。

7/3/2024, 6:54:58 AM