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6/29/2024, 6:27:11 AM

繊細な花の続き

夏(番外編) 時間を戻した番外編


● シズクの仕返し


○月×日

今日も今日とてハイネに苛められるシズク
一番多い意地悪が髪の毛を引っ張られる
事だった。

「っうわああ~んっ」今日も大泣きに
泣いてハイネに笑われるシズク

後でナイトとミーナがハイネを怒って
くれるが今日もハイネにやられっ放しの
シズク

そこでシズクは考えた そうだ自分も
ハイネに意地悪をしよう!

しかし良いアイディアだと思ったが
シズクの思考はそこで止まりはたと
首を傾げる。

(意地悪って何をすれば良いんだろう?....)

う~ん う~んと唸りシズクは首を捻って
考える。

ハイネの真似をしようとシズクは考える。

まずは髪の毛を引っ張るとシズクは
想像するが途中でハイネの痛がる顔が
浮かびシズクは首を振る
(痛いの駄目....ハイネ怪我する....可哀想)
と髪の毛を引っ張る意地悪を自分の中で
却下する。

次は、虫を捕まえてハイネに見せる
(虫....怖い....捕まえられない....)
これもシズクの中で却下になる。

次は、ハイネの前で怖い話をする。
しかし怖い話を仕入れたら自分の方が
怖くなってしまったのでこれもシズクの中で却下する。

(う~ん う~ん 意地悪....難しい....)

シズクのアイディアが出尽くして行き詰まって居ると.....

ふとシズクの目にミーナが見せてくれた
夏の流行の髪型特集と言う見出しの
ファッション雑誌が机の上に置いてあるのを見つける。

何気なくシズクが雑誌をパラパラと捲ると
(これだったら....ハイネ....痛く....無い)
とシズクなりのハイネに対しての
意地悪を見つける。


早速 シズクはミーナとマリアに事情を
話して手伝って貰う。

事情を聞いた二人は最初 それのどこが
意地悪なんだろうと首を傾げたが
シズクが小さく拳を握り眉を少し吊り上げて「お願いします....」と言うので
まぁ確実に面白い事にはなるだろうと思い
シズクの願いに協力する事にした。


そして後日.... ハイネは欠伸をしながら
バインダー局に向かって居た。

(さあて 今日もバリバリ魂狩って仕事するか....)とハイネはドアを開けた。
ちなみに昨日シズクを泣かせた事は
ハイネの中でリセットされていた。
基本的にミーナやナイトに怒られても
シズクに完全無視されなければハイネの
中ではそんなの関係ないのだった。

そしてハイネがドアを潜ると....
「ハイネ....見て....」とシズクの声が
聞こえたのでハイネが反射的に振り向くと

そこには、いつもの二つ結びの髪型から
ミーナとマリアに手伝って貰って
纏めた 後ろで髪をアップにして御団子にしたシズクが立っていた。

ハイネはそんなシズクの姿を見て目を
丸くする。

髪を後ろで纏めたのでシズクの白い
首筋が露わになりハイネは咄嗟に視線を
横に逸らす。

(なっ....何だアレ....)ハイネの顔がどんどん熱くなり心臓もドクドクと鼓動を
打ち始めて居た。

(なっ 何で今日こいつ髪型違うんだろう)
ミーナとナイトの差し金か?
はたまた罠か 夢か?
ハイネの頭は混乱していた。

一方のシズクは、ハイネの反応を見て
意地悪は成功したと思っていた。
そうシズクの考えた意地悪それは
ハイネに髪を引っ張られ無い様に髪を
一纏めに纏め髪の毛を引っ張られにくく
すると言う意地悪だった。

いつもの二つ結びだと髪の毛が手に取りやすく すぐ引っ張られてしまう
けれどこれなら髪の毛を掴みづらいので
引っ張られる前に逃げる事が可能だと
シズクは思って居た。

それが証拠にハイネに視線を逸らされ
心なしか顔も少し赤い気がする。
ハイネが悔しがっていると思ったシズクは
最後にハイネにシズクなりに注意する。

「もう....意地悪しない....髪の毛....
引っ張ら無い....ハイネ....反省した....」
とシズクに上目遣いで言われたハイネは

「っ・・・」心臓が早鐘を打っていた。
(何だコレ・・・ ちくしょう・・)
ハイネの心臓は限界に近づいて居たので
早く玄関のドアを潜って部屋に籠もって
一人になりたいのだがシズクが前に立ち
塞がって見つめて来るので進むに進め無い
そしてハイネはとうとう....
「しない.... しないから....早くどけよ
そこ....」とシズクに言って一目散に部屋に
逃げだしたのだった。

そんなハイネの後ろ姿を見てシズクは
(どうしよう....やり過ぎちゃった....)と
罪悪感を抱き....ハイネを怒らせたと
思い謝りに行くのだが.....ハイネに
「煩い!しばらく俺の視界に入って
来るな!」と部屋を追い出された為
シズクはミーナとナイトに泣きながら
「うわああ~ん....ハイネに....ぐずっ....
嫌われた~あっ....どうしよう~」と
縋る事になるのだった。

後日ミーナとナイトが間に入りシズクの
ハイネに対する誤解は、何とか解けたのだった。

6/27/2024, 10:10:25 AM

ここではないどこか

ピッ ピッ ピッと規則的だった心音が
ピピピと断続的な音に変わり最期に
ピィーーっと伸びた長い音が鳴った

そうして祖父は安らかな顔で、
ここではないどこかに旅立った。
皆に見守られ嬉しそうな祖父の顔が
最後に僕の記憶に残った。

6/27/2024, 2:57:07 AM

君と最後に会った日

君と最後に会った日 君は、いつもの様に

「じゃあ 行って来るね!」と僕に元気良く手を振って飛行機に乗った。

昔から一所に留まれ無い君には飛行機は
なじみ深い乗り物だった。

いろいろな国に行って観光旅行を楽しむのが君の趣味だった。

今は、天国と言う僕の手の届かない所へ
行ってしまった君

天国は、どうだい? 君にとっては
天国なんて場所は、目新しい物でいっぱいだろうから退屈してないかもね!

僕もいつかは君の隣で天国旅行を楽しむ
つもりだ。

けれど それまでは、君が先に下見を
しといてくれ

そして僕が天国まで辿り着いたら
君が自慢気に 胸を張って
「此処の案内は私に任せてよ!」なんて
胸を拳で叩いて僕を嬉々として案内する
君の姿が目に浮かぶから....。

僕は其処に行くのが楽しみになっているんだ。

6/26/2024, 6:28:33 AM

日常の続き

繊細な花

彼女を初めて見たのは、姉さんと義兄さんの家に遊びに行った時だった。

姉さんと姿形は、そっくりなのに
姉さんとは、まるで違う 僕の姪
凛とたおやかに堂々と咲く花が姉さんなら
姪は、儚げで繊細な花の様だった。

弱々しく脆弱で何をするにも挙動不審で
人の顔色ばかり窺うような目線をこちらに
向ける。

「どうだルーク君 家の娘は、世界一
可愛いだろう!」娘を自慢する様に
義兄さんが自分の娘を僕の前に出させる。
「こ....こんに....ちは....」姪が
聞き取りづらい小さな声で僕に挨拶する。
しかし義兄さんと姉さんはそんな娘の
弱々しい喋り方も気にならない様だった。

姉さんが「この子凄いのよルーク
私の怪我もあの人の怪我もまるで最初から
無かったみたいに治してくれるの」
姉さんがそう言って姪の頭を撫でると
姪は、嬉しそうに笑っていた。

そんな姉さんと義兄さんの言葉も僕は
唯 聞いているだけで何の感想も湧かなかった。

確かに顔立ちは、姉さんに似て可愛いかった でもそれだけだ 姉さんみたいな
清らかな誇らしさも無ければ
義兄さんみたいに姉さんを守れる強さも
無い 姪は誰かを守る強さが無かった。
誰かに守られるだけの臆病な人間だった。

そう だから姉さんと義兄さんは
死んだ この子を守る為に....

姪の治癒術は姪の性質と同じく弱々しく
脆弱だった。
何故この姪に治癒術が備わっているん
だろう....
「家の家系で治癒術を持ってる子が産まれるなんて初めてよ だから私とっても
嬉しいの!」そう姉さんは嬉しそうに
はにかんだ笑顔を僕に向けていたのに

僕に治癒術があれば良かった そうしたら
姉さんも義兄さんもきっと助けられた
そうしたらきっと二人はまだ生きて
いたのに....

二人のお葬式の日 姪は途方にくれた様に
周囲に視線をやっていた これから自分は
どうやって生きて行けば良いのか分からないと言う風に周囲に縋る様な目を向けて
自分の両親が死んだと言うのに涙一つも
見せずに ショックで頭の中が真っ白に
なって泣けないと言うならまだ僕にも
分かった。

しかし姪は、人々の顔色を窺うだけで
自分が見捨てられない様に精一杯の
良い子になって人々の機嫌を損なわない
様にしているとしか僕には思え無かった
まだ子供だから仕方無いのかもしれない

だけど僕は何だかそれがとても許せなかった。
だから僕は気付けば姪に言葉を吐いていた。

『君は人を不幸にする 誰かの好意を
台無しにする だから君は誰も好きになってはいけないよ 特別を作ってはいけないよ』そう 思うがままの黒い感情を
姪にぶつけた。
しかし姪は、僕の言葉に泣くでも無く
怒るでも無く 僕を責めるでも無い
唯 申し訳なさそうに俯くだけだった。

姪のそんな態度に僕は、失望した。
反抗する力も無いとは なんて弱いんだ
姉さんも義兄さんもこんな脆弱な
人間を守る為に命を落としたのか....

自分の子供だから命を懸けて守ったって
言うのか.....

馬鹿馬鹿しい.... 結局弱々しいまま
姪は何も成長して居ない
治癒術を見込まれてバインダーと言う仕事をしていたと言っていたけどそれだって
他の人の陰に隠れて自分は助けて貰うのを
待って居るだけじゃ無いか

僕は、そんな姪に我慢ならなかった。
姪さえ居なければ姉さん達は生きていられた。
僕はまだ姉さんと一緒に居られたのに....

役立たずのままなら 僕が姪を役立たせて
あげよう そうすれば少しはあの子も
自分の役どころが分かるってものだろう

そうして彼は動き始める
しかし彼は知らなかった。気付かなかった。
自分の心がもうとっくの昔に壊れて居る事に 

そうして 自分のその壊れた心を憎しみ
ごと受け入れて包み込んでくれる存在が
居るから自分はまともに立って歩けて
居ると言う事に....
そうしてその自分を包み込んでくれる存在が自分が理不尽に憎んで居る姪だと言う事に 彼は気付いていなかった。

6/24/2024, 11:53:19 PM

1年前の続き

1年後

1年前友人に....

「お前流行に敏感になれとは言わないから
せめて最低限の身だしなみは、整えろよ」
と言われたので だぼだぼのシャツを
辞め 爽やかなすっきりとした白い
シャツを着て くすんだジーンズから
濃い水色のジーンズを履いて
髪も短く切って 上京して 1年後に
帰って来た友人の出迎えに行くと....

「いや....誰だよ!」と叫ばれ
驚かれた。

僕は、そんな友人の反応を見て 眉を下げ
苦笑したのだった。....

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