繊細な花の続き
この道の先に
此処は、何処だろう? 僕は誰かと一緒に
この道の先を辿っていたはずなのに....
その誰かは何処に行ってしまったんだろう
そう 僕とその誰かには、大切な物が
あったんだ 何物にも代え難い大切な物が.... 記憶が朧気だ。
僕は、一体誰だろう....?
シズクは、バインダー局の皆にお手紙を書いていた。ルークが自分が出す事を条件に
出す事を許可してくれたからだ。
シズクは、文面を一生懸命に考えて皆の顔を思い浮かべた。
ハロルド局長 マリアさん
ミーナ ナイト ハイネ 元気ですか?
私は、新しい学校に少し緊張してまだ
慣れて居ない所もありますが元気です。
皆が お仕事で、怪我をしていません様に
私も皆に負けない様に頑張ります。
またお手紙書きます。
体に気を付けて シズクより
シズクは、手紙を大切に封筒にしまい
ルークの部屋の扉をノックする。
「はい!」と声が聞こえてシズクは、ドアを
開く「ルークさん....今 大丈夫ですか?」
シズクがドアを覗き込む様にルークを窺うとルークが微笑んだ。
「シズクちゃん丁度良かった 今呼びに行こうと思ってたんだ!」ルークがにっこりと笑顔を浮かべシズクに近付く。
シズクは、ルークにおずおずと手紙を
差し出す。「あ....あの....私 皆に....お手紙....書いたんです....バインダー局の皆に
....」 ルークがシズクの手紙を受け取り
値踏みする様に見つめる。
「ああ....手紙....そう言えば出すって言ってたね....」ルークは、一拍 間を置くと....
「分かった手紙は、僕が預かるねそれより
今日は、僕からシズクちゃんにお願いが
あるんだ!」「私に....?」シズクはきょとんと目を丸くする。
「うん!シズクちゃんにしか頼め無い事なんだ頼まれてくれないかなあ....」シズクは
ルークに頼られて嬉しくなって
「私に出来る事なら....何でもします!」と
笑顔で承諾した。
「良かった じゃあこっちの部屋に来てくれる?」ルークは掌を隣の別の部屋に
向けてシズクにこっちに来る様に促す。
シズクはルークの後に付いて行く
「そこの椅子に座ってくれるかなあ」
ルークは部屋にある1脚の椅子をシズクに
指し示す。
シズクは、きょとんとして....
「ルークさん....これは、何をするんですか?」シズクはルークに質問する。
「なに ちょっとしたアロマセラピーさ
僕が調合したアロマをシズクちゃんに
試して貰って感想を聞きたいんだけど
良いかなあ」
「アロマセラピー....はい....アロマ....体験
して見たいです.....」シズクは、目をきらきらさせて初めてのアロマセラピーに
わくわくしていた。
「じゃあ椅子に座って 目を瞑ってくれるかなあ」「はい....」シズクは、ルークの
言われた通りにした。
「僕が良いって言うまで目を開けちゃ駄目だよ!」「はい....」シズクは、静かに目を閉じる。
そのうち何だか鼻腔に甘い匂いが漂って来た。シズクはその甘い匂いを嗅いでいる内に何だか意識がぼやけて来て気づけば眠りに落ちていた。
すやすやとシズクが寝入ったのを確認して
ルークは、シズクの耳元に囁く
「シズクちゃんやっぱり君は、子供の頃から変わっていないね....人を全面的に信用して疑う事を知らない そうやって人を信用して人に頼らないと生きていけない可哀想な子.....ああでも一つだけ良い事があったね
君が姉さんの娘だと言う事 おかげで姉さんそっくりの体を手に入れた。
待ってて姉さんもうすぐ会えるよ!」
そうルークは、シズクの耳元で囁き
シズクの髪を一房摑むとそこに優しく唇を落とし その部屋を静かに立ち去ったの
だった。
ハイネは、バインダー局の道をひたすら進んでいた。しかしその道中ハイネの耳に声が聞こえた。
『此処はどこだろう』ハイネはその声に
立ち止まった。
(何だ....今 声が....)ハイネはキョロキョロと周りを見る。
するとハイネの耳に陽気な声が聞こえて来た。
『やあそこのつり目のナイスガイ君
もしかして君 僕の声が聞こえるのかい
だったら教えてくれないかい?
僕の片割れを知らないかい?
それと此処は何処だい?』
ハイネは目を丸くする。そこにはふわふわと浮いた魂がハイネの視界を飛んでいた。
『自己紹介をしたい所だが生憎 自分の
名前を忘れてしまってね!代わりに君の名前を教えてくれるかい?ナイスガイ君』
この一人の少年と一つの魂の出会いが
これからの運命を変える鍵となる。
果たして少年は、初恋の少女とまた出会う事が出来るのだろうか?
7/4/2024, 2:32:03 AM