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6/7/2024, 11:34:31 AM

世界の終わりに君と

世界の終わりに君と一緒に居られる事が
どんなに幸せな事だろう...

君と見つめ合い終わりの時に君とキスをする。

君と最期の瞬間まで愛し合いたいから
君を感じながら最期を迎えられる幸せを
噛み締め君と一緒に眠りに付いた。

6/6/2024, 11:43:19 AM

安心と不安の続き

最悪

最悪だ....俺は、自分の運の悪さを呪った。
よりにもよって村上と一緒に居る時に
出くわすとは....
「あれ?相澤君.... あそこに居るの
槙君じゃないかなあ?」

やばい村上が気付き始めた。

「槙 いやあ こんな所にあいつが
居る訳ないだろう村上 他人の空似だ
世の中には自分に似ている人が三人は
居るって言うからなあ」俺は村上の背中を
押してさりげなく方向転換させる。

「え....でも...」村上は戸惑いながら
後ろを振り返っている。

俺は内心あんなデカイ奴がそう何人も居てたまるかと思っていたが だから絶対
あれは槙なのだが
今の槙に声を掛けるのは自殺行為だ。
何故なら絶賛 他校の不良連中と
喧嘩中だったからだ。
しかも拳と拳を交える割とマジな喧嘩だ。

俺一人だったらそのままスルーして
道を変えるのだが 今日は、間の悪いことに村上も一緒に居る。

友達を大事にする村上は知り合いを見つけたら必ず声を掛ける。

しかも喧嘩を見つけてもまずは話し合おうと言うタイプの為あの緊迫した雰囲気に
緊張を覚えない
慈悲深い菩薩様はどんな人にも平等に
振る舞うのだ
ある意味空気が読めないと言えばそうなの
だが しかし俺はそんな村上を責めない
何故ならそれは、村上の長所であるからだ
そんな菩薩様の優しさを踏みにじる輩が
悪いのだから....

とにかく村上を安全な所に逃がさなければ
そう思っていたら....

「あ~タケちゃんムラガミ様やっほ~」
空気が読めない事が短所でしか無い男が
大きな腕を振ってこっちに大声で声を
上げた為 俺の計画は脆くも崩れ去った。

しかも喧嘩途中で声を上げた為
喧嘩相手の不良連中もこっちを見る。

(あの馬鹿せめて全部相手を倒してから
こっちに声を掛けろ!)

こうなったら仕方ないと俺は速攻で
プランを変更村上が槙に声を掛ける前に
俺は村上の手にいくつか小銭を握らせた。

「村上 向こうの方に自動販売機があったからこれで飲み物買って来てくれ
俺はコーラで槙はセンブリ茶でもトマトジュースでも何でも良いから適当で
村上は何でも好きな物買って良いから
じゃあ頼んだ」

村上は、最初キョトンとしていたが....
「うん!」と頷いて自動販売機の方へ
歩いて行った。


この隙に.....

「ほらさっさと片付けるぞ!」俺は久しぶりに拳を握る。

「えっ!もしかしてタケちゃん加勢してくれるのぉ~珍しい~」

「お前は、どうでも良いが村上に怪我させる訳には行かないからなあ」

「あっなる程 同感じゃあさっさと片付けますか!」俺と槙は背中合わせになる。

「じゃあ俺は後ろタケちゃんは前って事で
じゃあ行くよ!」

俺と槙は合図と共に飛び出した。

こうして村上が帰って来る前に何とか
片付ける事が出来た。

「ぷっはあ~やっぱり運動した後のジュースは最高だわ~このトマトジュース美味っ~」と槙はこぼれた液体を手の甲で拭いながら言った。

(おっさんかよ....こいつ...)

俺は呆れたため息を吐く。

「槙君のお友達の人にも挨拶したかったなあ」村上が菩薩像のにこにことした笑顔で言った。

「まぁあいつらも忙しいから!」槙がにへらとした笑顔で言う。

(忙しかったのは俺だ....)と俺は内心で
毒突く
まぁ片付けた奴には口止めしたし
大丈夫だろう....

しかし今日は、厄日だった。
しかし今日で最悪の運は使い果たしたはず
明日からはまた普通の平日の穏やかな
日常が待っているはず そう信じたいと願いながら俺は二人と連れ立って家路の道を
歩いたのだった。

6/5/2024, 11:32:59 PM

また会いましょうの続き

誰にも言えない秘密

科学捜査課に務める捜査員
水無月真名人(みなづき.まなと)には
誰にも言えない秘密があった。

それは科学捜査員の他に 今世間を騒がせて すっかり有名人になっている
怪盗Mと言うもう一つの顔を持っている
と言う事
怪盗と警察 全く真逆の二足の草鞋を
履きこなさなければならないと言う事

そうして水無月は今日も徹夜明けの目を
擦り 小さな欠伸を一つする。

そんな水無月のデスクにカタンと静かに
カップに注がれた温かいコーヒーが
置かれる。

「あんた また徹夜したの!どんだけ
仕事溜まってんのよ 一人で抱えて
ないで他の人にも仕事回しなさいよね!」

そう声を掛けたのは 刑事課の女性刑事
佐藤令子(さとう.れいこ)だった。
令子も徹夜明けなのか目の下に隈が
出来ていた。

「その台詞 先輩にだけは言われたく
ないんですけど....」

「私は良いの現場仕事なんだから一日中
走り回って足で稼がないと 給料
もらってるんだし.... でもあんたは
仮眠取る位の時間はあるでしょ?
時間は上手く活用しなさいよね!
って言うか 例の怪盗また逃げ仰せたんだけど本当ムカつくわよね」と令子は
ぐっと拳を握る。

そんな令子を見ながら水無月は
(って言うか先輩のせいで俺 寝不足なんだけど....)なんて思っていた。

いくら上手に逃げても令子は諦めない
それを撒くのに時間が掛かりいつも
水無月は寝不足なのだ。

(はぁ~)と水無月は心の中でため息を吐く

「まぁ....追い掛けていればいつかはその
怪盗も捕まえられるんじゃないですか?
まぁそのいつかがいつになるかは
分かりませんけど....」と言って
水無月はコーヒーに口を付ける。

「何よあんたはいつもいつも他人事だと
思って~」令子は水無月の背中をポカポカと殴る。

「まぁ徹夜は頂けませんけど....
その目の下の隈早くケアしないと肌に跡 残りますよ また合コン失敗し無きゃ良いですね」と水無月は令子を揶揄う様に言う

「うるさいあんたはいつも一言多いのよ
人が気遣ってやってんのに~
見てなさい次こそはあの憎っき怪盗を捕まえてあんたの前に連れて来てあげる
その時に私を大いに敬えば良いわ!」

そう令子は水無月を指差し高らかに
勝利宣言をして科学捜査課を出て行った。

「期待してますよ!先輩」そうひらりと手を
振って令子の後ろ姿を見送ると
水無月は小さく口角を上げて笑んだのだった。

6/5/2024, 12:02:53 AM

狭い部屋

暗い狭い部屋に閉じ込められてどれ位の
時間が過ぎただろう
壁に石で傷を付けて日数を数える。

引っかき傷の音だけがこの空間の唯一のBGMだった。

体の不調から考えると一月位だろうか
リュックの中に入っていた食料も
どこまで持つだろうか
このまま訳も分からず誰にも見つけてもらえずに死んで行くのだろうか

そうして意識を手放してしばらくたった頃

光が顔に当たって意識が浮上した時

「大丈夫か!」と男性の声が聞こえた。

目を眇め久しぶりの光を感じた。

しかしやっと手に入れた光の世界は
どんよりと曇っていた。
建物は、倒壊し 人がぽつりぽつりと
疎らにいるだけ
遠くからは ドドドッと言う地響きみたいな音が聞こえた。

口をあんぐりと開けその光景を目に焼き付ける。

果たして暗い狭い部屋に居た自分と
外に出られた自分どちらがよりマシで
幸せだったのか
外に出てしまった自分には判断が付かなかった。

6/4/2024, 5:54:04 AM

無垢の続き

失恋

私が子供の頃お父さんが私を高く持ち上げて言ってくれた。
「シズクは、世界一可愛良いなあ」
がっしりとした手で私を持ち上げて
そう言って私を褒めてくれた私のお父さん

イクスファーラム 私のお父さん

包丁で少し指を切ってしまったお母さんに
私が治癒術で怪我を治してあげると
お母さんは私の頭を優しく撫でてくれて
「シズクは凄いわね」と褒めてくれた。

ティアファーラム 私のお母さん
二人が大好きだった。
私の特別な人達だった。

それなのに..... 私は二人を助けてあげる
事ができなかった。

二人は、私を守ってくれたのに....

ドンっと言う音と共に気が付いたら私は
お母さんの体に守られていた。

救急車が到着するまで30分
その30分が短い様でとても長く感じた。

お母さんやお父さんを助けたくて術を
使ったのにお父さんとお母さんの血は
止まらなかった。

手を翳して術を目一杯使っても血が流れる
量と私の術の力の比率が合わなくて
いくら手を翳してもお母さんとお父さんの
怪我は治らなかった。

そうして一生懸命 病院で治療をしたけど
間に合わなかった。

お父さんとお母さんは、私を守って
亡くなってしまった。


私の治癒術は、とても弱い事が判明した。
小さい切り傷や擦り傷は治せるけど
大きな命に関わる怪我を治す事は
出来ない。

お母さんが褒めてくれた私の術は
あまり役に立た無い事が分かった。

お父さんとお母さんのお葬式の日
お母さんの弟さん私にとっては
叔父さんと言う人が私に言った。

「君は誰かを不幸にする 君に向けられた
好意を台無しにする だから君は誰も
好きになってはいけないよ
特別を作ってはいけないよ」

叔父さんはお母さんと年が離れていたので
叔父さんと言うにはとても若かった。

今にして思えば叔父さんは悲しかったんだと思う。

悲しくて悲しくて行き場の無い感情を
お母さんと顔が似ている私にぶつけるしか
できなかったんだと思う。

ルークファーラム 私の叔父さん
ルークさんはお母さんの事が大好きだった。
傍から見てもルークさんはお母さんの事を
実の姉以上に思っていたんだと思う。

私はルークさんからも大好きな人を
奪ってしまったんだ。

(ごめんなさい ごめんなさい....
お父さん お母さん 弱くてごめんなさい)


だから私は今の大好きな人達を幸せにしたい 私の出来る事で精一杯幸せにしたいんだ。

だから私は願う大好きな人が大好きな人と
幸せになります様に
それを見届けられたら私は実家に帰って
お父さんとお母さんと一緒にまた暮らそう。

実家の事を考えると 寂しいし申し訳ないし気が重くなる事もあるけど....

でもバインダー局に来て大好きな人と
一緒に過ごせた。

ハロルド局長 マリアさん
ミーナ ナイト....
ハイネ.....

皆の笑ってる顔が思い浮かぶ中
ハイネだけはぶっきらぼうな不機嫌な
顔が浮かぶ。

またハイネは一人で泣いてないだろうか....
早くハイネにも好きな人が出来れば良いの
に.... そうすればハイネが一人で泣いたり
せずに済むのに... 側に居てくれる
誰かがいればハイネも幸せになれるのに....
そう思っていたのに.....




「悪い 俺好きな奴が居るんだ....
他の奴の事そいつ以上に考えられない」

ハイネが告白されて居る現場に出くわして
しまった。
ミーナやナイトは面白そうに覗いていたが
私は、悪い気がして見ない様にしていた。

でもハイネが告白を断る台詞が耳に
入ってしまった。

(ハイネ.....好きな人 居たんだ....)
最初は、告白を断る為に好きな人が居るって答えただけかなあと思っていたのだが....

「まぁそう答えるよね....」
「当然よ そう答えなきゃ殴ってるわよ!」
ミーナとナイトのやり取りに二人は
ハイネに好きな人が居たのを知っていたのかなあ....

(私だけが知らなかった....)そう思って
シズクは首を振る。
(ううん そう言う事は....あまり人に
言わない方が良い.... ハイネだって
大勢の人に気持ちを知られるのは嫌だ
よね.... だから私だけ気付かなかった
からって落ち込むのは可笑しい

むしろこれは嬉しい事なんだ....
喜ばしい事なんだ....
だから笑顔で祝福しなきゃ....)
シズクがそう気持ちを切り替えていると....

「てめえら覗きとか趣味悪ィ事してんじゃ
ねぇ」ハイネが不機嫌な顔で三人を見る。

「いやあ~珍しくモテてるねハイネ」
とナイトがにこにこしてハイネに言えば
ミーナが囁く様にハイネに耳打ちして....
「で、あんたその肝心の好きな子には
いつ告白するのよ!」

「なっ!」ミーナの言葉にハイネの体は
硬直する。
「そっそんなのいつだって良いだろう!」

「もたもたしてると他の人に取られちゃうよ!」ナイトがハイネにプレッシャーを 
掛ける様に言う。

「うっ....」ナイトの言葉にハイネはたじろぐ

ハイネは、思わずシズクの方を見てしまう....


三人が何やらひそひそと話して居たが
シズクには、聞こえなかった。
途端ハイネと目が合った。
シズクはハイネに好きな人が居た事を
祝福しようと思って居たのに....
何だかハイネに見つめられると何も言えなくなってしまう。

ハイネの顔が何だか赤い様な気がする
覗き見なんてして居たからやっぱり怒って居るのかなあ....
まずはちゃんと謝らないと....

「ハ....ハイネ....」シズクが口を開き掛けると ピンポンパンポンと言う音が聞こえ....

『門限の時刻になりました寮生の人は
直ちに寮に戻って下さい』

「あ....も....戻らないと....」
シズクが踵を返し掛ける。
「送って行こうか」ナイトがシズクに
声を掛ける。

「大...丈夫...すぐ....そこ....だから...」

シズクは三人に手を振って歩きだした。
一人になる短い道中シズクはさっきの
ハイネが告白を断る時の台詞を
思い出していた。

「俺好きな奴が居るんだ」そう言って
いたハイネの台詞が少しだけ胸に
刺さった様な気がした。
何故だろう..... これじゃあ.....まるで...
失恋したみたいだ 失恋?....何で?
私.... シズクが自分の胸の中の何かに
気付き掛けた時....ふいに自分の名前を呼ぶ
声が聞こえた。

「シズクちゃん」シズクが振り向くと
其処に居たのは青い瞳が印象的な溌剌とした若者だった。
シズクはその人物を見て目を丸くし
昔 言われた言葉が頭を過った。

『君は誰も好きになってはいけないよ
特別を作ってはいけないよ』

「ルークさん....」シズクが呟くと...
「久しぶりだねシズクちゃん会えて良かった...」その男ルークファーラムはにこやかにシズクにそう挨拶すると....
シズクに手を伸ばし....
「君を迎えに来たよシズクちゃん僕と
一緒に暮らそう!」そうシズクに
微笑みながら告げたのだった。

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