狭い部屋
暗い狭い部屋に閉じ込められてどれ位の
時間が過ぎただろう
壁に石で傷を付けて日数を数える。
引っかき傷の音だけがこの空間の唯一のBGMだった。
体の不調から考えると一月位だろうか
リュックの中に入っていた食料も
どこまで持つだろうか
このまま訳も分からず誰にも見つけてもらえずに死んで行くのだろうか
そうして意識を手放してしばらくたった頃
光が顔に当たって意識が浮上した時
「大丈夫か!」と男性の声が聞こえた。
目を眇め久しぶりの光を感じた。
しかしやっと手に入れた光の世界は
どんよりと曇っていた。
建物は、倒壊し 人がぽつりぽつりと
疎らにいるだけ
遠くからは ドドドッと言う地響きみたいな音が聞こえた。
口をあんぐりと開けその光景を目に焼き付ける。
果たして暗い狭い部屋に居た自分と
外に出られた自分どちらがよりマシで
幸せだったのか
外に出てしまった自分には判断が付かなかった。
6/5/2024, 12:02:53 AM