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安心と不安の続き

最悪

最悪だ....俺は、自分の運の悪さを呪った。
よりにもよって村上と一緒に居る時に
出くわすとは....
「あれ?相澤君.... あそこに居るの
槙君じゃないかなあ?」

やばい村上が気付き始めた。

「槙 いやあ こんな所にあいつが
居る訳ないだろう村上 他人の空似だ
世の中には自分に似ている人が三人は
居るって言うからなあ」俺は村上の背中を
押してさりげなく方向転換させる。

「え....でも...」村上は戸惑いながら
後ろを振り返っている。

俺は内心あんなデカイ奴がそう何人も居てたまるかと思っていたが だから絶対
あれは槙なのだが
今の槙に声を掛けるのは自殺行為だ。
何故なら絶賛 他校の不良連中と
喧嘩中だったからだ。
しかも拳と拳を交える割とマジな喧嘩だ。

俺一人だったらそのままスルーして
道を変えるのだが 今日は、間の悪いことに村上も一緒に居る。

友達を大事にする村上は知り合いを見つけたら必ず声を掛ける。

しかも喧嘩を見つけてもまずは話し合おうと言うタイプの為あの緊迫した雰囲気に
緊張を覚えない
慈悲深い菩薩様はどんな人にも平等に
振る舞うのだ
ある意味空気が読めないと言えばそうなの
だが しかし俺はそんな村上を責めない
何故ならそれは、村上の長所であるからだ
そんな菩薩様の優しさを踏みにじる輩が
悪いのだから....

とにかく村上を安全な所に逃がさなければ
そう思っていたら....

「あ~タケちゃんムラガミ様やっほ~」
空気が読めない事が短所でしか無い男が
大きな腕を振ってこっちに大声で声を
上げた為 俺の計画は脆くも崩れ去った。

しかも喧嘩途中で声を上げた為
喧嘩相手の不良連中もこっちを見る。

(あの馬鹿せめて全部相手を倒してから
こっちに声を掛けろ!)

こうなったら仕方ないと俺は速攻で
プランを変更村上が槙に声を掛ける前に
俺は村上の手にいくつか小銭を握らせた。

「村上 向こうの方に自動販売機があったからこれで飲み物買って来てくれ
俺はコーラで槙はセンブリ茶でもトマトジュースでも何でも良いから適当で
村上は何でも好きな物買って良いから
じゃあ頼んだ」

村上は、最初キョトンとしていたが....
「うん!」と頷いて自動販売機の方へ
歩いて行った。


この隙に.....

「ほらさっさと片付けるぞ!」俺は久しぶりに拳を握る。

「えっ!もしかしてタケちゃん加勢してくれるのぉ~珍しい~」

「お前は、どうでも良いが村上に怪我させる訳には行かないからなあ」

「あっなる程 同感じゃあさっさと片付けますか!」俺と槙は背中合わせになる。

「じゃあ俺は後ろタケちゃんは前って事で
じゃあ行くよ!」

俺と槙は合図と共に飛び出した。

こうして村上が帰って来る前に何とか
片付ける事が出来た。

「ぷっはあ~やっぱり運動した後のジュースは最高だわ~このトマトジュース美味っ~」と槙はこぼれた液体を手の甲で拭いながら言った。

(おっさんかよ....こいつ...)

俺は呆れたため息を吐く。

「槙君のお友達の人にも挨拶したかったなあ」村上が菩薩像のにこにことした笑顔で言った。

「まぁあいつらも忙しいから!」槙がにへらとした笑顔で言う。

(忙しかったのは俺だ....)と俺は内心で
毒突く
まぁ片付けた奴には口止めしたし
大丈夫だろう....

しかし今日は、厄日だった。
しかし今日で最悪の運は使い果たしたはず
明日からはまた普通の平日の穏やかな
日常が待っているはず そう信じたいと願いながら俺は二人と連れ立って家路の道を
歩いたのだった。

6/6/2024, 11:43:19 AM