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また会いましょうの続き

誰にも言えない秘密

科学捜査課に務める捜査員
水無月真名人(みなづき.まなと)には
誰にも言えない秘密があった。

それは科学捜査員の他に 今世間を騒がせて すっかり有名人になっている
怪盗Mと言うもう一つの顔を持っている
と言う事
怪盗と警察 全く真逆の二足の草鞋を
履きこなさなければならないと言う事

そうして水無月は今日も徹夜明けの目を
擦り 小さな欠伸を一つする。

そんな水無月のデスクにカタンと静かに
カップに注がれた温かいコーヒーが
置かれる。

「あんた また徹夜したの!どんだけ
仕事溜まってんのよ 一人で抱えて
ないで他の人にも仕事回しなさいよね!」

そう声を掛けたのは 刑事課の女性刑事
佐藤令子(さとう.れいこ)だった。
令子も徹夜明けなのか目の下に隈が
出来ていた。

「その台詞 先輩にだけは言われたく
ないんですけど....」

「私は良いの現場仕事なんだから一日中
走り回って足で稼がないと 給料
もらってるんだし.... でもあんたは
仮眠取る位の時間はあるでしょ?
時間は上手く活用しなさいよね!
って言うか 例の怪盗また逃げ仰せたんだけど本当ムカつくわよね」と令子は
ぐっと拳を握る。

そんな令子を見ながら水無月は
(って言うか先輩のせいで俺 寝不足なんだけど....)なんて思っていた。

いくら上手に逃げても令子は諦めない
それを撒くのに時間が掛かりいつも
水無月は寝不足なのだ。

(はぁ~)と水無月は心の中でため息を吐く

「まぁ....追い掛けていればいつかはその
怪盗も捕まえられるんじゃないですか?
まぁそのいつかがいつになるかは
分かりませんけど....」と言って
水無月はコーヒーに口を付ける。

「何よあんたはいつもいつも他人事だと
思って~」令子は水無月の背中をポカポカと殴る。

「まぁ徹夜は頂けませんけど....
その目の下の隈早くケアしないと肌に跡 残りますよ また合コン失敗し無きゃ良いですね」と水無月は令子を揶揄う様に言う

「うるさいあんたはいつも一言多いのよ
人が気遣ってやってんのに~
見てなさい次こそはあの憎っき怪盗を捕まえてあんたの前に連れて来てあげる
その時に私を大いに敬えば良いわ!」

そう令子は水無月を指差し高らかに
勝利宣言をして科学捜査課を出て行った。

「期待してますよ!先輩」そうひらりと手を
振って令子の後ろ姿を見送ると
水無月は小さく口角を上げて笑んだのだった。

6/5/2024, 11:32:59 PM