スマイル
「いらっしゃいませ!」お客様が来店して
営業スマイルを浮かべる俺
「ご注文は、お決まりでしょうか!」
お客様のご注文を取りにテーブルに向かい
電子の機械で注文を入力する。
それが終わるとまた次のテーブルへ
お水のお代わりを取りに向かい
また違うお客様に注文を聞きに行く
帰るお客様のレジの精算を済ませ
食べ終わったお皿を片付け 流しに
持って行きお皿を洗う
テーブルを台拭きで拭き また真新しい席を作り また新しいお客様にメニュー表を
持って行く
そのサイクルを繰り返し俺の一日は、
終わりを迎える。
「ふぅー」俺は、ため息を吐く
看板のプレートをオープンから
クローズに変更してやっと一息入れる。
「お疲れ!」お店の先輩が缶コーヒーを
渡して労ってくれる。
俺は、「ありがとうございます」と缶コーヒーを受け取る。
先輩が俺の隣に来て 悪戯を考え付いた
子供の様に笑い
俺の眉間に指を付けて 優しく揉む
「また 此処に皺出来てるよ!」
俺は、先輩の指摘を受けて
気まずそうに顔を逸らす。
「これが通常運転なんです もう表情筋
疲れた~ぁ」
先輩は、そんな俺を見てクスクスと笑う
「君の営業スマイルは、レアだから
有料にしたいね!!」
「その分のお金は、俺にも入るんすかねっ!」
先輩は、面白そうにまた笑い
「プライベートで そのスマイルを
発揮する気は無いの?」
「ないっすね!」先輩は、俺の答えに
また笑う
そんなくだらない事を喋り
今日も俺の一日は、過ぎて行く。
どこにも書けないこと
どこにも書けないことを抱えてると
苦しくなる。
だってどこにも書けないのだから
こうやって呟いている事すら許されない
間違った事だと思えて来る。
でも じゃあ私は、どうしたらいいの?
いつも いつも皆の前で微笑んで
元気いっぱいにテンション上げて
好きな物は、苺の乗ったショートケーキ
可愛い物が好き
ミニチュアダックスフントを飼っていて
溺愛してる。
好きな異性のタイプは、優しい人
そうやって どんどん どんどん
自分の個人情報を晒して
私の好きな物を皆が真似して
流行の最先端を行くカリスマなんて
勝手にキャッチコピーを貼られて
私は、自分の事そんな風に思ってないのに
私の イメージが一人歩きして、
分かった風に分析される...
こんなはずじゃ無かった
最初は、純粋に綺麗な物に憧れただけだった けどそれが間違いだった
綺麗な物には、必ず棘がある
光がある所には、闇がある。
勝者の中には、必ず敗者が居る
そんな簡単な事に私は、気付かなかったんだ....
「ぐすっ...うっうっ...わあああっん!」
私は、獣の咆哮の様に泣き叫んだ。
もう死んじゃおう 誰も私が居なくなっても気付かない....
私は、睡眠薬の錠剤が入っている
瓶を振る 何度も 何度も
手の平が薬でいっぱいになるまで
振り続ける。
そして 限界まで もう持てないと思った所で振るのを止め 錠剤を口元に持ってった。
大きく 口を開け飲み込もうとした時
ピンポーンと家のチャイムが鳴った。
私が反射で振り返ると....
そこには、悲しそうな顔をした母
厳しい顔つきの父
何かを堪える様に顔を歪める兄の姿が
あった。
兄が急いで 私の手の中にある錠剤を
捨てさせる。
その時兄がもう片方の手で持っている
スマホの画面が光った。
そこには、某アイドル炎上
終わったアイドルと書かれていた。
私は、泣きながら...
「っ....お兄っちゃ....」と呟いた。
兄は、泣いている私を黙って抱き締め
父と母も何も言わず私の両肩に手を置いた。
母が優しく私の耳元で
「帰っておいで...!」と囁いた。
私は、その言葉に涙腺が刺激され
さっきとは、違う温かい涙が流れた。
私は、家族の温もりの中でまた
思いっきり泣いた。
まるで小さい子供が安心して泣き出すかの
様に....
こうして 某アイドルは、皆の憧れの
象徴である ステージから降り
普通の女の子に戻ったのだった。....。
時計の針
時計の針が12時を指すと魔法が解ける
有名な某おとぎ話 ○○姫
あの話しに少し注釈を加える事を許される
なら 12時を過ぎても何故ガラスの靴だけは、魔法が解けなかったのだろう....
物語を繋げる都合上そうせざるを得なかったと言えばそれまでだが....
私は、その話しのその部分だけが
子供の頃から疑問だった為
此処にあえて、載せてもらう
グリム童話だか アンデルセン童話だか
イソップ童話だかには
本当は怖い○○姫という本もあるらしい
私は、ホラーの類が苦手な為
そう言う人達向けにマイルドにする為に
ロマンスの要素を加えたのかもしれない
そうして、今回の題材はロマンス要素の
強い○○姫 ハッピーエンド感の強い○○姫の方にスポットを当てたいと思う
いや 単に私がそっちの話ししか
良く知らないと言うだけの話しだが....
また最初の疑問を注釈を掘り下げようと
思うのだが....
○○姫 12時に魔法が解ける。
だけどガラスの靴だけは、残る。
この疑問を私なりに解釈したいと思う
まず一つ 12時は、12時でも
午前0時 真夜中の12時の事を指して
いる。
時計の針が真夜中の12時を指したら
魔法が解ける。
この事から一夜の夢の様な出来事
だと私は、思う
王子様とのダンスパーティー
魔法で着飾ったドレス アクセサリー
ティアラ 元々の整った眉目麗しい
姿に加え メイクも施されている。
おまけに舞踏会に 遅れて登場と言うシーンが 王子様の目を惹き付ける要因に
なっている。
○○姫にとって夢の様な一時だろう...
しかし12時の鐘の音が全てを引き裂く
魔法が解ける前に家に戻ろうとする
○○姫 しかし長い階段を降りきった所に
靴が片方脱げてしまう
呼び止める王子様の声も聞こえ○○姫は
靴を拾わず そのまま去ってしまう
時計の鐘が鳴り終わり ○○姫が外に出て
幾許も立たない内に 魔法は解けてしまう
城までの道のりで乗って来た馬車もかぼちゃに馬や御者もねずみや小鳥に
綺麗なドレスも古ぼけて汚れた
小間使いの服に戻ってしまう
けれど王子様が拾い上げた
ガラスの靴の片方は、何故か
戻らなかった。
魔法を掛けた魔法使いなりの気遣いと言う
事もあり得るかもしれない
そもそも お城で開かれる舞踏会なんて
明らかに 王子様の花嫁候補を見つけるのが目的だろう....
魔法使いは、もしかしてそれを知っていたのかもしれない
もしかしたら魔法使いは、王子様と
繋がっていて 王子様に相応しいと思う
花嫁を探していたのかもしれない
これは、最初から 魔法使い あるいは
王族の誰かに仕組まれていたのかもしれない あくまで物語なので詳細は、定かでは
ない
もう一つ ガラスの靴 自体が○○姫の
欲望の象徴の様な物だったのかもしれない
義姉や義母に小間使いの様に家事仕事を
言い渡され ○○姫は全く何も思わなかったのだろうか....
いくら誰にでも分け隔てなく心から
優しいと言われて居る ○○姫でも
姫だって人間である。
口では、不平不満を言わなくても
心の中では、 意識 無意識に
関わらず 凝りとして溜まっていたのでは
無いだろうか....
義姉 義母に恨みつらみはなくとも
羨望 位は、あったのではなかろうか
舞踏会で遅れて登場して衆目の視線に
晒された時 ○○姫の中にいわゆる
優越感と言う物が僅かばかりであっても
生まれたのでは無いだろうか...
加えて王子様との夢の様な一時
手放したく無いと思っても何ら可笑しくはない
無意識に王子様との再会を願っても普通の事だと私は、思う。
よってガラスの靴とは、○○姫の欲望
または願いが魔法によって具現化した物
では、無いかと思われる。
と 以上で私の話しを終わる。
猶 あくまで私の解釈なので 苦情 批判は、お断りする。
私は、メンタルが弱いので バッシングは、受けたくないのだ。
では、私の取るに足らない話しを長々と
聞いて下さった 聴衆の皆さん
ありがとう またいつの日か 出会える日を願って .... さようなら
Kissの続き
溢れる気持ち
その姿を見て 身体が地面に縫い止められた。
シルクの様にさらさらとした長い髪
燃えるルビーの様な瞳
その瞳から流れる 真珠の様な涙 その流れる涙を見た時 その雫を舌で舐め取りたい衝動に駆られた。
追いかけて 追いかけて 何故こんなに
追いかけているんだろう....
食べたいから でも 妙な事に空腹感は
感じていない... なのに逃げられると
追いかけずには居られない...。
俺はそれを俺の内から溢れる本能だと
思っていた。
肉食獣は、草食獣に逃げられたら
追い掛けるものだと だからこれは
普通の事だと....
だけど他の草食獣に出会っても
空腹時以外は、何も感じない
追い掛ける気すら起きない....
なのにあのシロウサギだけは、違った
逃げられると腹が立ち捕まえずには
居られなくなる。
俺はその衝動が何なのか今まで分からなかった。
だけど あの時 彼女の唇の感触を
味わって気付いた。
この溢れる様な衝動が何なのかを....
「あっ ヒイロこんな所に居た
何 こんな所で一人で黄昏れてんの!」
仲間の声に俺は振り向く そしてふと
仲間に向かって言葉を零す。
「なあ・・・恋って何だろうな...」
仲間は、きょとんとして...
「何言ってんの あ~あもうすぐ
発情期だもんね!子孫を残す為に
男達は、花嫁候補を探すのに躍起に
なってるよ! まぁ生存本能だから
仕方ないけど ヒイロがそんな事聞くの
珍しいね 好みのメスのオオカミでも
居たの?」仲間は、首を傾げて居る。
「いや・・・何でも無い・・・」そう言って俺は立ち上がる 仲間はそれ以上何も
言わず俺の後に付いて行く
そう恋は、生存本能 子孫を増やし群れを
繋げて行く生き残る為の衝動だと思っていた 俺も成人になったら子孫をたくさん
増やしてくれそうなメスのオオカミを
見繕って そうして自分だけの群れを
作る。
それが俺達オオカミの生き方だ。
だが あの時の溢れる様な衝動は、
生存本能とは違う気がする...。
もしあの時の衝動が本当の恋だとしたら...
このぐちゃぐちゃで醜い欲望が恋だとしたら...
恋とは、何て残酷な物なのだろう....
こんな気持ちを知ってしまったら
(アリス...君が欲しい...)
彼女の顔が頭の中でループする。
アリス アリスと心の中で何度も呟く。
気付いてしまった溢れ出すこの気持ちを
止める事など今の俺には、不可能だった。....
kiss
走る 走る どこまでも走る。
あの 黒い影が見えなくなるまで
仲間の元に行き着くまで....
私 獣人 草食型 シロウサギ
(♀) 名前アリス
私 アリスは、今 肉食獣に追われている。
早く 早く 群れの皆の所に...
でないと私は、殺されてしまう...
俺は、足を速めた 草食獣とは、
失礼千万の奴が多い。
ちょっと近づいただけで 食われるとでも
思うのか全速力で逃げて行く
基本 空腹の時しか 狩りは、
しないと言うのに
仮に空腹だったとしても あんな小さい
シロウサギなど狙うか
普段ならそのまま放っておくのに
何故かその時は、無性に腹が立ち
気付けば 追いかけていた。
俺 獣人 肉食型 ハイイロオオカミ
(♂) 名前ヒイロ
俺は、何故追いかけているんだろう....
何でこんなに意地になっているんだろう...
ただあいつが俺の姿を見て怯えて泣くから
悔しくて....
何で悔しいんだろう....
せめてあんなに恐がられるなら
人型で姿を現せば良かったと胸の中で
小さく後悔した。
何で私を追いかけて来るの?
こんな小さな身体の私なんて食糧にもなりはしないのに....
あの時 人型になって木の実を拾っていた
私は、ハイイロオオカミの姿を見て
不必要に怯えてしまった。
そのまま 何の気なしに 澄ました顔をして 通り過ぎていれば やり過ごす事が
出来たのに...
本能が危険を察知し我慢する事が出来なかった。
私は、獣型に姿を変えて 一目散に
逃げ出した。
もう少しで 私の仲間が居る村に入る
もう少し もう少し 後 少し
その時 ひょいっと首根っこを持ち上げられ 私の身体は、宙に浮いた。
気付けば、私は、人型の手の中に居た。
灰色の髪に 切れ長のブルーの瞳
均整の取れた 身体付きと 綺麗な顔をした 美青年が私を見上げていた。
そして... 「つかまえた...」その言葉に
私は、ぴくりと体を震わせる。
(あのハイイロオオカミだ...)私は、
あのハイイロオオカミの人型の姿だと
感知した。
私は、彼の手のひらからジャンプして
距離を取る。
気付けば私も対抗する様に人型に姿を
変えた。
俺は、あのシロウサギが自分の群れが居る
村の方に逃げ込むのだと察知し
何故か心に焦りが生まれ
気付けば 無意識に人型に姿を変え手を
伸ばし... 「つかまえた...」思わずそう
呟いていた。
するとシロウサギは、びくんと体を跳ねさせ 俺の手のひらからするりと抜けて
ジャンプし 俺から距離を取る
その瞬間シロウサギは、人型に変化した。
その姿を見た瞬間 俺の動きは刹那
止まった。
白く絹の様に滑らかな長い髪の毛
赤く燃える様な瞳 白魚の様な瑞瑞しい肌
その白い肌が映える様にぷっくりと膨らむ
桜色の唇 そのどれをとっても俺の目を
惹き付けた。
俺は、思わず手を伸ばし彼女の腕を取った。
彼女は、抵抗する様に 俺の手から逃れ様と自分の腕を俺から引き剥がそうとする。
俺は、逃がしたく無くて余計に手に力を
込める。
彼女の身体を俺の正面に向かせ
おどおどした彼女の視線を彼女の顎を
持ち上げて俺に向かせる。
すると 彼女の眦がキッと上がり
涙目になりながら俺を睨む。
俺はその視線を受けても何故か彼女を
離そうとは思え無かった。
すると彼女の口が動いた。
「・・・約束して私を食べたら他の仲間には手を出さないって!」
俺は、内心で、首を傾げる。
彼女は、何を言ってるんだろう...
元より俺には彼女を食べる気など最初から無い....
じゃあ何で俺は、彼女を追い掛けたのだろう.... 彼女が逃げるから・・・・
肉食獣が草食獣を追うのは、本能だから....
俺が自分の気持ちに戸惑っていると....
彼女の後方から 「アリス!」と声が
聞こえる。
彼女は、声のした方に振り向き駆け出そうとする。
俺は、思わず彼女の腕をまた強く引っ張り
彼女を俺の方にまた向かせる。
彼女は呆けた様な表情になり桜色の唇を
開けて俺を見上げる。
俺は、彼女のその表情から目が離せなくなり 気付けば 彼女の上を向いた唇に
自分の唇を重ねていた。
仲間の声が聞こえて私は、思わず気が緩み
足を踏み出し駆け出そうとする。
すると腕を後方に引っ張っられ
正面を向いた時には、綺麗な青年の顔が
其処にあった。
私は、気が緩んでいたせいもあり思わず
呆けた顔をしてしまっていた。
私が気付いた時には、青年の綺麗な顔が近くにあり そうしていつの間にか
私の唇は青年の唇と重なっていた。
「っ・・んっ・・・」私は、息をしようと
唇の吐息の隙間から必死に藻掻く
だけど甘い息遣いに翻弄され身体の熱が
上がり 思う様に抵抗出来なかった。
気付けば、私は、地面にぺたんと尻もちを
付き 立てなくなっていた。
青年はいつの間にか消えて居た
その内仲間達が私を見つけて 座り込んで居る私を心配し 覗き込んで来た。
私は、「大丈夫....」と仲間達に小さく
伝え 立てなくなっていた足を
仲間達に支えられながら 皆と一緒に村に
帰った 途中 皆に気付かれない様に
熱くなった顔を 手団扇で扇いで冷ました。
(あのハイイロオオカミは一体何だったんだろう.... 私を食べ様としてあんな事を
したんだろうか....
けど何故だろう.... 唇を重ねられたあの
瞬間だけは、あのオオカミの事が怖く
なかった....。)
私は、無意識に指を自分の唇に充てた。
俺は逃げる 誰も来ない所まで....
そうして息を切らし立ち止まる....
(俺は やっぱりあのシロウサギが
食べたかったんだ....)
俺は、唇の熱を指にも残そうと自分の唇に
触る。
口角が上がるのを自覚して
俺は、人型から獣型に戻り
山道を駆け上がり 自分の住処に戻った。