mimimi

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11/3/2024, 1:48:05 AM

『眠りにつく前に』



「悠人さん」

雪村に声をかける。

「、、、うん、、、」

半分寝てるな、、、。

ソファーで並んで映画を見ていたが、後半の後半には雪村は船を漕ぎはじめていた。

しょうがないか、、、。
もうすぐ午前0時だ。
明日は休みだからと、夜更かしで映画を見ようと言ったのは悠人さんだったのに。

「悠人さん」

もう一度声をかける。

「、、、、、」

「大好きだよ」

悠人さんの瞼がピクッとして薄っすら開いた。

「ん、俺も、大好、、、き」

一瞬、口角に笑みが浮かんですぐ寝息に変わった。
しょうがない、、、。
ちょっと息を吐いて、僕は悠人さんをお姫様抱っこしてベッドへ移動させた。

ま、いっか。
久々に悠人さんの『大好き』聞けたし。

9/10/2024, 9:37:20 AM

『世界に一つだけ』





今年の夏休みは、週末と連なって、1週間の休みだった。

旅行に行くのもいいけど、お互いの家に泊まろうと決めて、出かけるのも近場にした。

目の前の夏目は、カフェの窓際の席でアイスコーヒーをおいしそうに飲んでいる。

しかも、わざと左手でグラスを持つ。

左手の薬指に光るリングが見えるように。

ふとこちらを見た夏目が目を細めた。

あーやっぱり好きだな。

8/4/2024, 7:28:46 AM

『目が覚めるまでに』




控えめにスマホの目覚ましの音がなって、夏目は隣りに眠る雪村を起こさないようにそっと起き上がった。
日曜の朝なので、まだゆっくり寝ていてもいい時間。

午前5時。

夏場とはいえ、カーテンの隙間から覗く窓の外はまだ明るさが足りない。

ベッドから降りるとそばにある棚から細く長い紐を手に取った。
振り返って見ると、雪村はタイミングよくコチラ側へ寝返りを打つところだった。

「起きないでよ、悠人さん、、、」

囁くように言いながら、夏目は手に持った紐を雪村の左手薬指に巻く。

「、、、もう、腹いっぱい、、、」

突然、雪村がしっかりとした寝言を言ったので、思わず吹き出しそうになって、肩をふるわせた。

よし、OK、、、。

そして、そっと指から抜いた輪っかになっている紐を崩れないように小さなビニール袋に入れて、大事に財布にしまった。




ーあれから1年か、、、。

シルバーリングが光る雪村の左手薬指に口付ける。

夏目の隣りで眠る雪村は規則的な息づかいを繰り返している。
カーテンの向こうは少し明るくなってきているが、雪村はまだ目覚めなさそうだ。

時間まだ早いけど、シャワーして朝ご飯作っちゃおうかナ、、、。

そして、布団から出ている雪村の白い肩にキスをした。

7/26/2024, 5:20:10 AM

『鳥かご』




「暑い、、、」

金曜日。
なんとか定時で終わって、夏目の家で呑もうと最寄りの駅に降り立った。

昼間の太陽で熱せられたアスファルトやらのせいで夜になろうとしている時間でも暑い。

「雪村さん、スーパーでいろいろ買って帰りましょう。明日は休みだし、のんびりしましょうよ、ね?」

「そうだな」

外だから、名前の名字呼び、語尾のですます調。
徹底している。
だから、完全プライベートの時の「さん」付けではあるが、名前呼びとタメ語が未だになかなか慣れない。
ま、そういう俺も完全プライベートでしか、夏目の名前を呼ばない。
夏目の口が『悠人さん』とつむぐ時の少しハスキーな声。
同時に熱を孕んだ黒い瞳にすぐ心臓が跳ねそうになる。

駅と夏目の家の中間辺りにあるスーパーで夕食と酒類の調達をして、夏目の家に帰り着いた。

「悠人さん、先にシャワー浴びちゃってね」

「ん、了解」

腹も減っているので、早く食事にありつきたくて、急いでシャワーを浴びた。
リビングに戻ると、夏目が料理などを並べ終わったところだった。
短時間の間にエアコンも効いている。

「あ、エアコン、気持ちいいな」

「あれ?悠人さん、もうシャワー終わったの?」

「うん、腹減ってるし、司も早くシャワーしたいだろ?」

「じゃあ、急いでシャワーしてくるね。先にビール飲んでてもいいよ?」

「いや、待ってる」

俺の返事に気をよくしたのか、夏目は嬉しそうに目を細めた。

「ふふふ、、、。悠人さん、もーかわいい。このまま閉じ込めておきたい」

次の瞬間、掠めるように軽いリップ音がした。

「じゃ、シャワーしてくるね」

そう言って、夏目はリビングを出て行った。

「不意打ちだ、、、」

6/20/2024, 12:43:48 AM

『相合傘』



「雨だな、、、」

「梅雨ですからね」



最近出来た新しいパスタ屋がおいしいと女子社員達が話していた。

「夏目くんもランチ行ってきたら?」

ー雪村さんと。

僕と雪村さんのことを知っている女子社員の高崎さんが僕にしか聞こえないボリュームでそう言って、通り過ぎて行った。



「あ、傘、、、」

会社の正面玄関の外に出た瞬間、雪村さんはハッとして、しまった、、、という顔をした。

「抜かりはありませんよ?
僕、折りたたみ傘持ってますから」

スーツのジャケットのポケットから小さめであるが傘を出して、雪村さんと自分の間で広げた。

「小さいですけど、無いよりはマシです」

「助かる」

雪村さんがそう言って、僕を見た。

「役得です」

「、、、お前、その顔やめろ。腹黒だ」

「えー誰も見てませんって。
それよりもう少しこっち寄ってください。
濡れますよ」

僕はそう言って、空いた手で少し照れている雪村さんの細い腰を抱き寄せた。

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