G14(3日に一度更新)

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10/14/2024, 1:33:40 PM

 あー、あの祠壊しちゃったの?
 それじゃもうダメだね。
 君、たぶん死ぬ。

 あー泣いちゃった。
 泣かすつもりは無かったんだけどなあ。
 どうしよう。

 ゴメンけど泣き止んでくれる?
 君のお父さんとお母さんに怒られちゃうんだよね。
 僕、怒られたくないから――

 え?
 助かる方法?
 知ってるけど……
 どうしようかな。

 はあ!?
 言わなきゃ、『僕のせいだって言いつける』だって!?
 待ってくれ!

 姉さんは――君のお母さんは、怒るとそれは恐ろしいんだ。
 え、知ってるだって?
 まあ、君のお母さんだもんね……

 まあいいや。
 ちょっと意地悪したかっただけだから教えてもいいよ。
 だからお母さんには言わないでね。
 マジで。
 約束だぞ。
 ……うん、約束してくれるのなら教えようか。

 死なない方法は、ズバリ『一週間、小さい子供のように振る舞う事』
 絶対とは言えないけど、これでいけるはずさ。

 なんでその方法で大丈夫なのかって?
 それはあの祠に奉られているモノが子供好きだからさ。
 ん?
 悪い神様っぽくないって?

 いいや悪い神様じゃないよ。
 この辺りの子供を守護するめっちゃくちゃ良い神様
 じゃあなんで殺されそうなのかって?

 それは君、どんなにいい人でも家を壊されたら怒るでしょ?
 あの神様はいい神様だけど、家を壊されたら怒るよ。
 うん、分かればよろしい。

 でもこの方法、だいぶキツイと思うんだよね……
 え?
 死ぬよりましだって?
 それはどうだろう……

 だってさ君、高校生になったばかりでしょ。
 それが小さな子供のフリをするんだよ。
 分かる?

 あー、ピンと来てないな。
 例えるなら、あの小っちゃくなった高校生探偵かな?
 そう、見た目は子供、頭脳は大人のやつ。
 あの反対。
 見た目は大人、頭脳は小学生を演じなければいけないんだよ。

 想像できたか?
 キツイだろ?
 周りの目線が……

 社会的に死ぬのと、物理的に死ぬの、どっちがいい?
 究極の選択だよね。
 あはは、急にやる気失くしてやんの!

 俺に八つ当たりすんなよ!
 自業自得だからな。

 まあ順当に風邪と言うことにしたらいいと思うぞ。
 風邪だったら、一週間部屋に籠れるし、幼児退行も珍しいけど無い事じゃない。
 だからダメージは少ないはず、多分な。

 決意は決まったかい?
 そう、小さい子供のフリをするんだね?
 ははは、死ぬ気で頑張ってね。
 じゃあね。

 ……
 …………
 ………………

 行ったね。
 じゃあ、神様出てきていいよ。
 どう今の演技は?
 迫真だったでしょ?

 おー褒めてもらえた。
 神様に褒められると気分がいいねえ。

 それはそうと、なんで許してあげないのさ?
 神様、高校生までは守備範囲だよね
 祠壊したくらいなら、全然気にしないでしょ?

 確かに物壊した子供にはお仕置きが必要だけどさ。
 痛い目に会えば反省するだろうけどさ。
 でも、やりすぎだと、僕思うわけよ。
 死にたくなければ、小さい子のフリをしろだなんて……

 え?
 『厳しくするのも親心』
 一理あるけど、本当にそう思ってる?
 本当はからかって楽しんでいるだけでしょ
 だって神様ってば、子供のように笑っているよ

10/13/2024, 2:28:32 PM

 放課後を告げるチャイムが鳴る。
 それを聞いたクラスの皆が、勉強も時間から解放されたと歓喜の声をあげる。
 かくいう僕も、その中の一人だ。
 部屋で、ゲームと漫画が待っている

 晴れやかな顔のクラスメイトたちは、げた箱へと向かう。
 僕もそれに混じってげた箱に向かう。

 歩いている間考えるのは、もちろんゲームのこと。
 今日はどんな冒険が僕を待っているのだろうか。
 家に変えるのが待ちきれない!

「待ちな、飯田
 話がある」
 だが、そんな僕のワクワクに水を差す人間が一人。
 進路を塞ぐように立っているのは、クラスメイトの竹田。

 早く帰りたいと言うのに、ここ最近いつも絡まれている。
 僕の方は話がないから通して欲しいんだけど。

「どいてくれ。
 部活なんだ」
「ハッ、部活だって!?
 おまえ帰宅部だろうが」
 僕の答えに、竹田は鼻で笑う。
 無意識なのだろうが、腹が立つことこの上ない。
 そのせいで皆から苦手意識を持たれている事を、彼は知っているのだろうか?

「今日こそ、いい返事を聞かせてもらうぞ、飯田!
 俺が作ったクラブに入れ!」
「いやだ」
 僕は間髪いれず答える。
 なんども誘われているのだが、返事は変わらない。
 答えはいつも『ノー』
 僕には無駄にていい時間は一秒たりとも無いんだ。

「放課後やることなんて無いんだろ?」
「あるわ!」 
「一緒に汗を流して青春しようぜ」
「話聞けよ」
 こいつのこういうところ嫌い。
 竹田はいつも自分勝手だ。
 
「は・い・れ」
「い・や・だ」
「実は?」
「しつこい!」
 何度も断っているのに、竹田は諦めず僕を勧誘をする。
 いい加減諦めて欲しいものだが、一向にその気配はない。

「他のヤツを誘え。
 僕は入らない」
「おまえじゃないとダメなんだ」

 なんという殺し文句。
 自分の決意が少しだけ鈍る。
 でも考えは変わらない。
 青春よりもゲームの方が大事だ!

「いい加減にしてくれよ。
 なんで僕なんだ!?
 他にも適任がいるだろ」
「いーや、おまえ以外には考えられない!」

 『おまえ以外には考えられない』。
 僕はその言葉を聞いて、体に電流が走る。
 竹田は僕のことをそこまで買ってくれていたのか……

 この台詞は、僕のなかで『人生で言われてみたい言葉』堂々の一位だ。
 まさか、その言葉を言われる日が来ようとは……

 気が変わった。
 話くらいは聞いてもいいかもしれない。

「そこまで言うなら話くらい聞いてやる」
「おお、ついに決心してくれたか!」
「話を聞くだけだ」
「それでもいいさ。
 でも何から話そうか」
「そもそも何の部活だよ」
 そう聞くと、竹田は間抜けな顔で僕をみる。
 普段いきがっているこいつがこんな顔をしているのは、少しだけ面白い。

「……言ってなかったっけ?」
「クラブに入れとしか言わないから、全然知らない」
「そうだったのか……
 まあ、それは置いといて……」

 竹田はコホンと咳払いする。
 誤魔化せてないからな。

「俺が作ったクラブ。
 それは『囲碁サッカー部』だ!」
 今度は俺が間抜けな面をする番だった。
 『囲碁サッカー』とは、『日常』という漫画に出てくるトンチキスポーツだ
 もちろん存在しないし、ルールも不明。

 なんでそんなクラブを立ち上げるんだよ。
 おまえおかしいよ。
 話を聞くなんて言わなければよかった

「というわけで……
 入れ、飯田。
 おまえが必要だ」
「その文脈で、なんで俺が必要なんだよ!」
「おまえ、漫画に詳しいだろ。
 だから囲碁サッカーの事も知っているはずだ」
「僕は知らないし、お前も知らないスポーツのクラブを作るな!
 僕は入らないぞ、絶対にな」
「入るって言っただろ?」
「言ってねえよ!?」
「言質は取ったんだ。
 逃がさないからーーおい、どこ行く!
 今から入部届け出しに行くんだろ!
 待てって!」

 そんな意味不明な部活で貴重な放課後を潰してたまるか!
 僕はその場から全力で逃げ出す。
 そのお陰もあって、難なく竹田を撒くことに成功する。

 だがこれでヤツが諦めるとは思えない。
 今日はなんとか逃げることが出来たが、明日もきっと来るだろう……
 でも僕は屈しない。
 ゲームの時間を確保するため、理由のわからないクラブに入ったりするものか!

 僕の平和な放課後を守る戦いは、まだ始まったばかりだ。

10/12/2024, 3:10:05 PM

 カーテンから差し込む光で目が覚める。
 よく眠れたからか、体が軽い。
 やはり健康の秘訣は8時間睡眠だな。
 昨日残業祭りで夜遅かったかったから、なおさらだ。

 そして顔を洗った後は、一杯のコーヒー。
 やはり朝飲むコーヒーは格別だ
 靄がかかった頭が徐々に晴れ渡り、思考はクリアになる。

 さて頭がスッキリしたところで、これからの事を考えよう……
 これからの事……
 遅刻の件をどうするかだ
 つまり俺は寝坊してしまったのだ

 ちゃんと目覚ましをかけていたのに、こんなことになるなんて。
 目覚ましが鳴った記憶はあるけど、二度寝してしまったようだ

 日が昇る前に家を出ないといけないのに、既に日が昇っている
 これでは、どうあがいても遅刻は確定である。
 いっそ休みにするか?
 うん、それがいい!

 となると理由が必要だ。
 それにギリギリまで会社に連絡を入れなかった言い訳もいる。

 鉄板は『親に不幸があったから』だけど……
 却下。
 以前それ使って怪しまれたんだよなあ
 
 さすがに三人目の親を死んだことにしたら追求された。
 『実は義理の父親がいて』――という事にしたけど、あの目は信じてないだろうな。

 兄弟は――
 駄目だ
 もう何人死んだか分からない。
 二桁はかるく行くな
 一人っ子なのに。

 仕方ない。
 一度電話し、なにか大変な事が起こったテイで誤魔化すとしよう。
 スマホを取り出し、上司にかける

「もしもし俺です。
 途中お婆さんが困っていたので、トラックに轢かれそうになった猫を助けて、魔王を討ち滅ぼしましてたんです」
 自分でも何言っているか分からない。
 もう一回言ってくれと言われても、言えないだろう
 だが何となく大変そうなのは察してくれるはず。

 だが現実は甘くない
 スマホからは、上司のため息が聞こえる。
 もうダメだ

「寝ぼけているの?
 残業で遅くなったから、今日は振り替えで休みって言ったでしょ」
「えっ」

 俺は、昨日の記憶を掘り起こす。
 そう言えば、帰り際にそんな事も言っていたようないなかったような……
 限界を超えて仕事したので、記憶が曖昧だ。

「それにもう夕方。
 連絡をいれるには遅すぎるわね」

 俺は、目が覚めてから初めて時計を見た。
 現在の時刻、PM四時。
 今日もあと少しだ。

「私ももう少し寝るから、電話切るわね。
 あなたも寝足りないみたいだから、すぐ寝なさい」
 上司は俺の事を、疑うこともなく、アッサリと電話を切る。
 なんてことだ。
 俺は寝ててよかったのか……
 安堵するとともに、後悔が押し寄せる。

 寝てもいいなら、心底眠りたい
 だが俺はコーヒーを飲んでしまったばかりに、もう眠ることはできない。
 俺はヨロヨロと立ち上がり、部屋のカーテンを開ける。

「綺麗だな」

 窓から見える夕日は、人生で一番キレイな夕日だった

10/11/2024, 3:28:24 PM

 昔々あるところに元気な女の子がいました。
 彼女はいつもお気に入りの赤ずきんを被っていて、知り合いからは『赤ずきん』と呼ばれていました。

 ある秋の日、赤ずきんはお婆さんの家へ訪れます。
 夏の暑さで体調を崩したお婆さんを心配して、お見舞いにやって来たのです。

「お婆さん、お加減いかが?」
「ええ、最近涼しくなって体の調子がいいわ」
「それは良かったわ」
 赤ずきんは、まるで我が事のように喜びます。
 赤ずきんはとても優しい子でした。

 ニコニコと喜ぶ赤ずきんですが、あることに気づきます。
 お婆さんの様子がどこかおかしいのです。
 好奇心旺盛な赤ずきんは、お婆さんに質問しました。

「お婆さんの耳は、なぜそんなに大きいの?」
「それはね、お前の声をよく聞くためだよ」
「お婆さんの目は、なぜそんなに大きいの?」
「それはね、お前をよく見るためだよ」
「お婆さんの口は、なぜそんなに大きいの?」
「それはね――


 お前を食べるためだよ」
「きゃあああ」

 なんということでしょう。
 今まで赤ずきんがおばあさんだと思っていたのは、オオカミだったのです。
 赤ずきんは、驚いて腰を抜かしてしまいました。

 これでは逃げられません
 絶体絶命のピンチです!
 赤ずきんは目を閉じて、死ぬことを覚悟しました。

 ところがです。
 いつまで経ってもなにも起こりません。
 恐る恐る目を開けると、お婆さんの振りをしたオオカミは、涙を流していました。

「オオカミさん、なぜ泣いているの?」
「それはね、おまえを食べる喜びで泣いているのさ」
「嘘おっしゃい。
 あなた、とても辛そうだわ」
「嘘じゃない。
 今からおまえを食べる――イタタタタ」
 オオカミは辛そうな声を上げたかと思ったら、お腹を押さえながらその場にしゃがみこんでしまいました。
 誰が見ても大丈夫そうではありません。

「大変!
 すぐにお医者様に見せないと……」
「何を言っている。
 どこも痛くなど――イタタ。」
「無理してはダメ。
 すぐに人を呼ぶから、そのままじっとしているのよ」
「……赤ずきんよ、なぜ俺を助ける。
 俺はおまえを食おうとしたんだぞ?」
 オオカミが聞くと、赤ずきんは不思議そうな顔をしました

「あなたこそ何を言っているの?
 困った時はお互い様。
 人助けは当然の事よ」
 そう言って赤ずきんは、部屋から出ていきました。
 助けを呼ぶためです。

 残されたオオカミは、一人泣いていました。
 痛みで泣いているのではありません。
 赤ずきんの優しさに感動して泣いているのです。

 オオカミは今まで誰かに優しくされたことはありません。
 彼は乱暴者で、皆が迷惑していたからです。
 ですが、赤ずきんの優しさに触れたことで、自分が愚かなことに気づきました。
 彼は今までの行いを恥じ、生き方を変えることを決意したのでした。

 そして赤ずきんが呼んできた助けによって、オオカミは一命を取り留めます。
 腹痛の原因は、赤ずきんの本当のお婆さんでした。
 お婆さんは食べられたあと、オオカミの腹のなかで暴れていたのです。
 村のお医者さんによって、腹からお婆さんを取り出されたことで、オオカミは元気になりました。

 オオカミは、赤ずきんとお婆さんに謝罪し、心を入れ換え人にために生きることを告げました。
 それを聞いた二人は、オオカミを許すことにしました。
 誰にだって間違いはある。
 だから反省したのならなにも言うことはない。
 こうして反省したオオカミは、人助けをすべく旅に出るのでした

 めでたしめでた――

「ちょっと待ちたまえ」
 お医者さんが、そこに待ったをかけました。
 三人は何事かとお医者さんに注目します。

「手術の代金を支払ってもらおうか。
 保険証はあるかね?
 ……なに無いだと!?
 となると全額負担だな。
 手術料100万円、びた一文まけんぞ」

 オオカミは涙を流しました。

10/10/2024, 1:30:21 PM

「 ₍₍⁽⁽ココロ₎₎⁾⁾

 見て、沙都子!
 ココロが踊っているよ。
 かわいいね」
「キモッ」
「 ココロ

 沙都子の心無い言葉のせいで、ココロは踊るのをやめてしまいました
 お前のせいです
 あ〜「ウザい」ああああ」

  ビリビリビリビリ。
 なんということでしょう。
 沙都子によって、私のココロがズタズタに引き裂かれてしまった!
 これには抗議せざるを得ない。
 
「なんて酷いことをするんだ!」
「百合子も大げさね。
 『ココロ』って書いただけのルーズリーフじゃない」
「心は傷つきやすいから、優しくしないといけないんだよ!」
「それが通じるのは小学生までよ
 高校生にもなってやるもんじゃないわ
 それに、それはゴミでしょう?」

 相変わらず、酷い言い草だ。
 私のココロになんの恨みがあるのか?
 さては私の人権を認めてないな。

「ところで、なんで『ココロ』?
 元ネタはサボテン(₍₍⁽🌵₎₎⁾)だったわよね?」
「今日、国語の授業で、夏目漱石の『こころ』をやったじゃん」
「それでか……」
「で、サボテンとこころを悪魔合体させてみた」
「しょうもな」
「それに今の沙都子はココロ踊っているだろうから、私が表現してみたの」

 私がそう言うと、沙都子は味わい深い表情になる。
 言ってることが伝わらなかったようだ。
 でも私と沙都子はツーカーの仲、気持ちを読むのは造作もない
 この顔は『何言ってんの、お前』である。

「沙都子は『こころ』を読んだら心が躍るでしょ」
「うん、なんで?
 なんで『こころ』を読んだら、私の心が踊るのかしら?
 本は好きだけど、別段文学少女ではないわよ」
「ええ!?
 沙都子、誰かが不幸になる話好きでしょ?
 寝とられて裏切られて、Kが絶望するシーンはぞくぞくしたでしょ?」
「あなた、私のことをそんな風に見ているのね」
「だって、沙都子はいつも私をいじめて喜ぶくそ野郎でしょ――
 待って、顔が怖いよ」

 沙都子が満面の笑みを浮かべる
 でも私と沙都子はツーカーの仲、裏の気持ちを読むのは造作もない
 この顔は『よし、絶望させるか』である。

「すいません、言い過ぎました、ごめんさない」
「何を謝っているの百合子。
 私は何も怒ってないわ。
 何も、ね」

 ひえ、怒ってる。
 何か怒りを和らげるものを……
 そうだ!

「沙都子様、ココロ二号を献上しますので、どうか怒りを鎮めてください」
「……なんで、それもう一枚あるのよ」
 ココロ二号を見て、沙都子の怒りが若干収まる。
 呆れつつも、沙都子はココロ二号を受け取る。
 いけるか?

 ビリビリビリビリビリ。
 沙都子は受け取ったココロ二号をびりびりに破く。
 どうやら沙都子を鎮めることは出来なかったようだ
 万事休す。

「これ、意外と気持ちいいわね」 
 その時、奇跡が起こりました
 沙都子はココロを破くことで、ご機嫌になったのです。
 ……なんで?

「許して欲しいって言ったわよね」
「はい」
「ならこのゴミを、もう一つ作りなさい」
「はい」

 だけど、私には逆らう選択肢などない。
 私はルーズリーフに『ココロ』と書いて、沙都子に渡す。
 そして沙都子は渡されたココロ三号をびりびりに破く。

 沙都子は無表情で、何も感慨はなさそうだ。
 でも私と沙都子はツーカーの仲、気持ちを読むのは造作もない
 この顔は『ココロオドル』である。

「沙都子、もう一枚作ろうか?」
「……いえ、いらないわ」

 少し恥ずかしそうに、そして満足したような顔で微笑む沙都子。
 これはツーカーでなくても分かる。
 この顔は『スッキリ』である。

「言ってくれればまた作るよ。
 別に手間じゃないし」
「……ならまたお願いするわ」

 沙都子って、紙を破ると快感を得るタイプなんだな
 私は沙都子の意外な一面を見て、ちょっとだけ『ココロオドル』のであった。

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