「いよいよ、貴方にはこの宣告をする時が来たようです」
と、向こう側に着席している判事と思しき二人のうちのひとりが、そう告げた
こちら側にいる私はどうやらその宣告とやらを受ける立場のようだ
「正直申し上げますと、貴方はこちらのグループでは些かその流れから外れておられるようで、貴方の使われている言語もこちらでは理解する人も少なくなりました
そろそろ、この上のグループへの移籍をご検討されたらいかがでしょうか?
」
要するに、ここでは年齢的にもう厳しいと言いたいらしい
「あちらのグループでは、きっと気の合うお仲間も沢山お出来になるでしょう
ご自分が時代遅れだと感じることも無いはずです」
失礼な!いつ私が時代遅れだと感じたというのか?
私はまだまだ気持ちだけはバリバリ現役のつもりだし、恋のひとつくらいまだまだ楽しみたいと思っているというのに…
実際に恋愛を楽しむことは無いとしても、「人生を知り尽くした大人達の濃厚な恋愛小説」くらいは書きたい気満々だと言うのに、シニアのグループへ移籍しろと?
ここのグループでは、もうお払い箱だと?
そんな憤りの気持ちで反論しよう、という場面で目が覚めた
何とも後味の悪い夢を見たものだ…
日頃潜在的に心のうちにあった思いが、昨夜のお題をいただいてその思いが夢として形になったのだろうか…
そんな時を告げるための夢だったのだろうか…
それとも
そんな思いを跳ね返すくらい情熱的な物語を書く時が来ていることを告げる夢だったのか…
『時を告げる』
宇宙の営みから見たら我々人間の一生なんて、
ほんの"一瞬のきらめき"でしかないのだろう
そんな一瞬のきらめきが、地球という名の球体の上で寄せ集まり、ひしめき合ってキラキラと、まるでミラーボールのようにクルクルと回転しているのだろうか…
瑠璃色の偽りの被り物を剥がしてみれば、そこに現れるのは
悪臭を放ちながら自らを傷つけるようにしてその終焉を待ち望んでいる醜い鉛のような塊なのだろうか
はたまた、産まれたてのように無防備にすら見える若芽が生い茂り、清らかな水を豊富にたたえた美しい命きらめく球なのだろうか
我々人類のかりそめのきらめきは
一体あとどのくらい、その地球上で輝くことを許されるのだろう
『きらめき』
昨日投稿した『心の灯火』を、せっかくだからとスクショしてLINEで夫に送った
突然の私からの思わぬ「愛の告白」に、不覚にも涙してしまった…と返信が来た
普段は仕事中は私からのLINEなど開けることなど殆ど無い夫が、たまたま開けたLINEの思わぬ内容に涙してしまい狼狽する様子を想像して、私も笑い泣きをしてしまった
お互い涙腺が弱くなったものだ…
多くの部下を従え、今の時代には逆行するかのようにその存在感で部下たちを震え上がらせている夫も、良く見ればそれなりに年齢を重ねて来たことを感じさせる
向き合って食事をする夫をまじまじと見る
以前は寝癖を整えるのにも苦労するほど勢いのあった毛量も、最近はサッとひと撫ですれば言うことを聞くほど大人しいものになり、わざとらしいほど黒ぐろとした漆黒の髪にも白いものが目立つ様になってきた
一瞬寄せる眉間のシワも、そのあとが残るほど深さを増してきている
そのどれもが、私達二人が過ごしてきた時の流れを物語っているのだ
そう思うと、勢いを失い白髪の混じった髪も、眉間のシワさえも、味わい深く愛しささえ感じてしまうのだ
そんな些細なことでも、ひとつひとつ丁寧に拾い上げていくこと…
もしかしたら、こんな毎日を「幸せ」と言うのかも知れない
『些細なことでも』
こんなに側でずっと灯し続けていてくれたのに
その明かりが
あまりに大き過ぎて
あまりに穏やか過ぎて
あまりに当り前過ぎて
明かりが灯っていることさえ忘れかけていた
思えば
いつでもどんな時でも
振り返れば同じ場所で
同じ明るさで
同じ優しさで
そっと佇みずっと灯り続けていてくれた
そんな貴方が私の心の灯火だったことに
ようやく私は気がついた
夫という名の心の灯火に…
『心の灯火』
マリリン·モンローがインタビューで記者からの
「寝る時は何を纏っているのですか?」
という質問に
「シャネルの5番よ」
と答えたのは有名な話
因みに私の夫は、加齢臭を纏って寝ている
『香り』