フィロ

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6/9/2024, 9:46:51 PM

未だ止まぬ戦闘地域での、遠い国の私達から見たら不毛にも思える残虐な争い

その戦下を逃げ惑う子供たちの瞳は恐怖の色に満ち、虚しく宙を泳ぐ


そんな彼らの元にも、等しく夜は訪れ朝日もまた昇る

ただ、夜の暗闇の中でも砲弾は不意に彼らを襲い、その静寂を掻き乱す
そして、新たな1日の始まりを告げる朝日も地下で身を潜める彼らには届かないのだろう


1日も早く夜の静寂が彼らに心からの安らぎを与え、新しい1日の始まりに希望を感じ、そして朝日の温もりを感じることの出来る穏やかな日々が訪れることを願って止まない





『朝日の温もり』



6/9/2024, 7:11:59 AM

あるサイトとの出会いが私の「岐路」になった気がする


ちょっとした思い付きで、何気ない日常の軽い感じのエッセイをそのサイトに投稿した

すると、ほどなくしていくつものメッセージが届いた
「こういうものを読みたいと思っていました」
「あなたの作品をもっと読みたい」
「素敵な言葉に感激しました」

自分でも思ってもみない出来事に、何か詐欺紛いのものではないか?と疑ったほどだった

文章らしい文章なんて、大学の卒論以来ぐらいのものだし、もちろん自分に文才があるかなどと思ったこともない
もちろん今でも思っていない

ただ、自分の吐き出した呟きや紡ぎ出した言葉が誰かの元に届き、そこで何かが生まれることの気持ち良さを初めて味わった気がした



それまで生きることに必要最低限以外は、あえて外の世界との交流を避けて生きてきた
いざ、交流を持とうと思っても年々厚く増していた外との壁をうち壊す手段を見つけ出せずにいたというのが正直なところだ

ところが、この1本のエッセイが開けた風穴から次々に溢れ出した言葉の数々が、いつしか外への階段となり、「書く」というひとつの手段に力を借りて、拙いながらも今私はこうして自分以外の世界と繋がっている



生きることに意味を感じることの出来なかった自分が、「書く」ことがそのエネルギーを生み出すことに気付かせてくれた、まさにあの日の出会いが、私の「岐路」になった






『岐路』

6/8/2024, 5:34:44 AM

晶子 「昨日、彼からプロポーズされた…」

さくら 「え~っ!良かったじゃない! 何て、何て?」

晶子 「世界の終わに君と一緒にいたい…だって」

さくら 「…………」

晶子 「そうなのよ! 私もその反応しちゃったのよ… だってさ、世界の終りにって、そんな言い方されると思わなくて…」

さくら 「確かに…」

晶子 「でもね、そこじゃないのよ 私の引っ掛かりは
もし、本当に愛してたら、生涯離れたくないって心底思っていたら、その言葉は死ぬほど嬉しかったはずなのよ……
それなのに、私、退いちゃったのよね…
その事がショックというか、この人重い…って今まで抱いたことの無い感情が咄嗟に出てきたことに驚いたのよ」

さくら 「深層心理に気付いちゃった…」

晶子 「そうなのかも知れない…」

さくら 「彼の反応は?」

晶子 「黙ったままだった…
彼は彼でショックだったみたい
当然喜んでくれると思っていたのに、私がそんな反応しちゃったから…」

さくら 「うわぁ… 想像しただけでその空気ヤバいわぁ で、どうしたの?」

晶子 「ひきつった顔で、冗談、冗談 そんなセリフ言ってみたかっただけだから気にしたいでって
その後は何か気まずくなっちゃって、出直そうか…って」

さくら 「で?」

晶子 「彼からはまだ連絡ないし、私からもしてない 何て言って良いか分からなくて」

さくら 「なるほどね でもさ、好きじゃないとかじゃなくて、まだ結婚の時期じゃないってことなんじゃないの?」

晶子 「そうなのかなぁ? もっと普通に結婚しよう!って言ってくれたら、素直に答えられた気もするんだけど」

さくら 「いや、これで良かったのよ 何となくノリで答えるんじゃなくて、自分の気持ちの深いところと向かい会えたんだから」

晶子 「世界の終わに君と、なんて最悪の言葉だわ」

さくら 「いやいや、これってある意味最高の、リトマス試験紙みたいな言葉かもよ」








『世界の終わに君と』

6/7/2024, 5:32:28 AM

今朝の俺は最悪な夢をみている途中で目が覚めた
もちろん、気分は最悪だった

その夢は、朝いつものバス停からバスを乗るところから始まった
乗ろうとすると、右足にネチョッとした嫌な感触を感じた
ガムだった

「マジか~、朝から最悪だ」
と、この嫌な感触のまま1日過ごすことを考えると気分が滅入った

お尻のポケットに何気なく手が行った瞬間、次の「最悪」に気が付いた
会社のIDパスを忘れたのだ

「やっべぇ~、あれ無いと面倒なんだよなぁ
取りに戻るかぁ? でも、会議に遅れるしなぁ… 本当にツイてないわ」
と益々気分が滅入った


会社に着く前に毎朝同じコンビニに寄ってコーヒーを買うことにしていた
何故かそこのコンビニにしか置いていないマイナーなコーヒーが最近のお気に入りだった

「あれ飲むと気分上がるんだよな♪ ヨシ!気合い入れて気持ち切り替えるか!」
とガムの嫌な感触をあえて楽しむかのように力強く踏み締めながらコンビニの中へ入った

「えっ?! 何で、何で? あのコーヒー1本も無いじゃん! 今までそんなこと無かったじゃん 他のが売り切れでもこれが無いなんてこと無かったじゃん」

そこには貼り紙がしてあり、
「商品の製造行程に不具合が見つかり全品回収になりました」
とあった

「そんなことある~? 今日に限って? 他の日ならまだしも、今日の俺にはアレが必要なんだよ~! 本当に、ホトホト今日はツイてないんだな…」


最悪に最悪が重なり、地面にまでのめり込みそうな気分で会社へ向かおうとすると、携帯が鳴った

「お前、今どこにいるんだよ?」

と同僚からの慌てた声が聞こえた
「もう、とっくに会議始まってるぞ!お前今日はプレゼンだよな?」

「えっ?だってまだ時間じゃ…」

「メール見てないのかよ?1 時間繰り上がったんだよ」

「そ、そんな… 直ぐ、直ぐに行きます!!」

何でなんだよ!これが最悪中の最悪じゃんか!
どうなってんだよ、俺?

と何が何だか分からず気が動転しながら慌てて横断歩道を渡った
もう何も聞こえず、何も見えなかった

もの凄い衝撃だけが体に伝わった



「何だよ、夢かぁ それにしてもすんごいリアルだし…
こんなに最悪な気分の夢は参るよなぁ」


あれ、あそこで寝てるのは俺か?
何してるんだよ、家で寝てたはずだろ?
それに、何で俺が俺を見てるんだ?



「先生、この患者意識戻りますかねぇ」

「かなり厳しいだろうな…
ダンプにぶつかったんだろう そのまま逝かなかった方が不思議だよ」

「そうですよね 身元もまだ分からなくてご家族に連絡も出来ないんですよ
携帯も破損してしまっていて せめて会社のIDとかあったら良いんですけどね」

「履いてた靴がさっき届きましたけど、靴裏にガムが貼り付いていて… なんかちょっとぐっと来ちゃいましたよ…
こんな最悪がまだ待っていたなんてね…」






『最悪』

6/5/2024, 10:36:17 AM

誰にも言えないから、言わないから「秘密」って言うんだ

誰かに打ち明けたり文字にして伝えた途端、それは「秘密」ではなくなるよ

例えそれが、こういう場所だとしても…


分かるかな?
「秘密」を打ち明けられないって言ってるんじゃないんだ

打ち明ける1歩手前までは「秘密」だけど、それが自分から出た瞬間「秘密」ではなくなるから、それを表情するのは不可能なんだよ






『誰にも言えない秘密』


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