晶子 「昨日、彼からプロポーズされた…」
さくら 「え~っ!良かったじゃない! 何て、何て?」
晶子 「世界の終わに君と一緒にいたい…だって」
さくら 「…………」
晶子 「そうなのよ! 私もその反応しちゃったのよ… だってさ、世界の終りにって、そんな言い方されると思わなくて…」
さくら 「確かに…」
晶子 「でもね、そこじゃないのよ 私の引っ掛かりは
もし、本当に愛してたら、生涯離れたくないって心底思っていたら、その言葉は死ぬほど嬉しかったはずなのよ……
それなのに、私、退いちゃったのよね…
その事がショックというか、この人重い…って今まで抱いたことの無い感情が咄嗟に出てきたことに驚いたのよ」
さくら 「深層心理に気付いちゃった…」
晶子 「そうなのかも知れない…」
さくら 「彼の反応は?」
晶子 「黙ったままだった…
彼は彼でショックだったみたい
当然喜んでくれると思っていたのに、私がそんな反応しちゃったから…」
さくら 「うわぁ… 想像しただけでその空気ヤバいわぁ で、どうしたの?」
晶子 「ひきつった顔で、冗談、冗談 そんなセリフ言ってみたかっただけだから気にしたいでって
その後は何か気まずくなっちゃって、出直そうか…って」
さくら 「で?」
晶子 「彼からはまだ連絡ないし、私からもしてない 何て言って良いか分からなくて」
さくら 「なるほどね でもさ、好きじゃないとかじゃなくて、まだ結婚の時期じゃないってことなんじゃないの?」
晶子 「そうなのかなぁ? もっと普通に結婚しよう!って言ってくれたら、素直に答えられた気もするんだけど」
さくら 「いや、これで良かったのよ 何となくノリで答えるんじゃなくて、自分の気持ちの深いところと向かい会えたんだから」
晶子 「世界の終わに君と、なんて最悪の言葉だわ」
さくら 「いやいや、これってある意味最高の、リトマス試験紙みたいな言葉かもよ」
『世界の終わに君と』
6/8/2024, 5:34:44 AM