〜始まりはいつも〜
「ぶどう!」
う…うか…
学校からの帰り道
私は幼なじみの彼と帰路に着く
う、うどん…!!あ…
「ぶっwwあはははw」
大声で楽しそうに笑う彼は小さい頃から一緒の幼馴染で学校も一緒だ。
「ひぃ〜wなんでうどんだよww」
ツボに入ったようにケラケラと笑っている彼を見ているのはとても楽しいがさすがに笑いすぎだろう。
ムスッとした顔で見ているとポンっと頭を撫でられる。
身長差が大きくなって私は背伸びをしてやっと彼の頭に手が届くくらいだった。
牛乳も飲んでちゃんと寝てるのに…
こうやって頭を撫でられるのは好きだ。
でも、同じ身長くらいじゃないと見下されてるみたいで好きじゃない。
楽しそうだね…ほんとに…私身長気にしてるのに…
「え?あ!!ごめんごめん」
そう言って彼は少ししゃがんで私の頭をポンポンと撫でる。
ひとつ上の幼馴染。
私にとってはほぼほぼ兄妹のような感覚だけど、彼はどうなんだろう。
ずっと不思議だった。
頭撫でたりお弁当の苦手なものと私の好きな物を交換してくれたり、よくゲームも一緒にしてくれる。
ねぇ…私のことさ、どんなふうに思ってる…?
「えっ…えぇ、どしたんだよw」
と笑って誤魔かすようにしているが、なんだか耳が赤い。
…?熱かな…?
彼の正面に回り込むとびっくりしたような顔をしてまたクルッと反対側をむく。
…もう!!
しゃがんでくれているので肩を掴んで反対側に向けないように抑える。
顔も真っ赤でお手上げと言っているかのように両手をあげている。
ねぇってば…!!
「………」
慣れない沈黙。
彼と話す時はいつも騒がしいからなんだかむず痒い。
「…きかな」
き?え、私木だと思われてたの…?w
「…w、そうそう!!木だと思ってた!!小さめの木!」
いつも通りニコニコしている彼
私がきっかけを作らないと色んなことを話してくれない。
始まりはいつも私からだ。
もう…!!失礼しちゃう!!
「あははww」
〜すれ違い〜
秋の運動会
体感的にはほとんど冬の始まりくらいの気温で風が吹く度に身を竦めていた。
さっむ…
「寒すぎ、いぃ…ひっつこ」
彼は俺の親友だ。
そして片思いの相手
話は変わるが寒がりで今日も学校に来る時はマフラー、手袋そしてカイロと暑そうな格好をしているのにまだ寒いと言うような《極度の》寒がりだ。
いまさっきリレーを終わらせて少し体が温まったかなと思ったら一気に冷えてしまった。
「お疲れ様、そんなに引っ付いて寒いの?」
先輩が近ずいて来たが半袖に体操ズボンと寒くないのだろうか。
「先輩寒くないんすか?」
ガタガタと歯を鳴らしている音がすごく近くで聴こえる。
俺もちょうど思ったことだったから彼が先に聞いてくれて助かった(?)
寒くないわよ、情けないわねと残して先輩は次の競技の準備をしにそそくさと帰って行った。
「○○は暖かいなぁ、背中寒いけど」
俺は背中が暖かい、そして頭の中心が痛い。
俺と彼はかなりの身長差があるため彼は少し屈むような形になる。
おかげで俺の頭上に覆い被さるように体を任せられているからついでに重い。
でも、全然苦しくなくて逆に居心地が良かった。
暖かいな……
とぼそっとつぶやくと、彼はん?っと何も聞こえなかったのか聞き返してきた。
不意に誤魔化すが動作が怪しかったのか頭上にはてなマークが出ているように見えた。
「○○って子供体温だよな〜平熱高いだろ」
なっ…気にしてるのに…
子供体温なのは正しいし俺の平熱は36,8と意外に高い。
冬の湯たんぽと真冬になると俺は周りのヤツらにベタベタと引っ付かれるが彼以外はなんだかゾワゾワしてしまう。
(次の競技は……)
とアナウンスが流れる。
さっきの先輩はこの競技に出場するらしいので見てないと感想を聞かれるかもしれないと見える位置まで移動しようと彼から離れようとする。
ガシッと腕を掴まれたかと思うと抱き寄せられる。
突然の事で頭が真っ白になりボンッと脳内が爆発するような感覚になった。
きっと今は耳まで真っ赤だろう
「……き」
と言うと彼は何事も無かったようにクラスのテントに走って戻ってしまった。
でもよく見ると耳が赤くなっているような気がした。
へ……?い、今なんて…
もう一度もう一度と思い出すがやはり《き》としか聞こえなかった。
そしたら謎耳まで赤くなったのか、あの頃の俺は不思議に思いながらテントに歩いて帰った。
「好…き…だよ」
一言
まだ4作しか書いてませんが、意外と沢山の方に自分の書いた物語を読んで貰えて嬉しいです、全く面白みもないし死ネタ多めだったので今回はハッピーエンド?的な感じの物語を書きました。
皆さんの作品を見てると自分ってまだまだだなぁ🌱 ᐕ)ノって思わされます、これからも頑張りますので良ければまた見てください
Clock
〜秋晴れ〜
ヒュウーと冷たい風が吹く。
夏の頃に切って伸びた私の髪が風になびく。
同時に周りの子達は寒そうにマフラーを口くらいまで上げる。
空気が乾燥しカラッとした秋晴れ。
2期制の私の学校は今から二学期が始まる。
学校に行くまではとても憂鬱で1人トボトボと歩いていた。
そこまで人の多くない通学路。
時折見る道路のアスファルトでピョンピョンと飛び跳ねながら歩く雀や塀の上で身を寄せあっている猫。
いいな…私も、のんびりしてたいな
そんなことを考えていると見慣れた学校の前の交差点。
向こう側からマフラーもしないでフラフラと歩いている男性。
ミヤさん…!おはようございます…!
話しかけると笑顔で応答してくれるこの近所に住んでいるらしいが最近はやつれて見えた。
彼と別れたあと私はまたくらい気持ちになる。
教室は新学期が始まるということでとてもガヤガヤとしていた。
教室に入ると相変わらず私の机には雑巾が乗せられていた。
傍でくすくすと笑っているクラスの中心の女の子。
雑巾か…まだマシだな
そんなことを思いながら荷物をロッカーに直して雑巾を元あった場所に戻す。
「おはよっ」
席に座ってさて本を読もうと取り出していると親友が話しかけてきた。
ふわふわの茶髪を下の方で軽くツインテールにしているがいつ見ても似合っていた。
おはよう…
いじめのようなものを受けている私にも気にせずに話しかけてきてくれる親友が私は大好きだ。
友情的な意味でも恋愛的な意味でも…きっと気持ち悪がられるに違いないけれど。
授業をたんたんとこなしいつの間にか放課後になっている教室では夕日が眩しいほどに差し込んでいた。
秋晴れの空にはオレンジに染ったうろこ雲が広がっている。
隣の空き教室の前を通って私は下駄箱へと向かう。
だが、様子がおかしかった。
誰かの喋り声…?
「でさ〜wアイツね女の子好きらしいんだよねw気色悪いよねw」
え……?
「それなw」
私のことをいじめてくる女の子たちの輪の中に…
「え?w友達ごっこしてあげてるから私に惚れたんじゃない?w可哀想な子だよね〜w」
あの女の子たちの中心は…
親友だと思ってたのに……
〜忘れたくても忘れられない〜
「おはよう」
そう言って隣で笑ってくれた君はもう居ない。
あの時助けられなかった。
僕は彼のことを突き放してしまった。
その日から続く《悪夢》が頭から離れない
朝起きてすぐ顔を洗う。
鏡を除く僕の顔は酷くなっていた。
夢の中で泣き崩れぐちゃぐちゃになった顔と寝不足で目の下にクマができていた。
あぁ…彼がいないと僕は…何にもできないのか
自分の無力さが憎らしく感じた。
席に座り朝ごはんを作る。
彼がよく朝ごはんを作ってくれていた。
自分の作る朝ごはんと違いよく出来ていて、すごく美味しかった。
あ…失敗した、焦がしちゃった…
すいません…はい、はい…明日は出勤しますので…申し訳ありません…はい
電話から聞こえる上司の怒鳴り声。
こんなに休暇を取れば確かにここまで怒り狂うのは仕方ないだろう。
でも、それでもこの傷は癒えない
どれだけ休んでも沢山仕事をして気を紛らわせても何も現状は変わらなかった。
僕の体はどんどん悪くなるだけだった。
う…ぐぅ…げほっ、ごふっ……
今日食べたはずの朝ごはん。
ほとんど消化されることなく吐き出された。
気持ち悪い…薬…2階にあったはず……
重い体を動かして、僕は2階へと重くなった足を運ぶ。
あれ……僕ここの窓いつ開けたんだ……!?
ふわりと香る懐かしい匂い。
懐かしくとても悲しい思い出がよみがえってくる。
「ほら、起きて、大丈夫かい?」
この声は……?
ふわりと頭を撫でられ、まぶたを閉じる。
暗闇の中に意識が放り込まれる
「ミヤ生きるんだよ」
僕はあの言葉を今でも忘れられない
〜やわらかな光〜
ふと目覚める。
眩い光が目に入ってくるから、私は思わず手で覆い隠した。
暖かい……
辺りを見回すとキレイな白樺の森が広がっていた。葉の隙間から射す光はキラキラと輝いていてとても綺麗だった。
でも、ここはどこなのだろう。こんな景色見たことがない。
あれ…私って誰だっけ…
場所も分からない、そして自分が誰なのかも分からなくてただただ白樺の森を歩き回ることしか出来なかった。
ゆっくりと歩く。周りを見回し息を吸う。
凄くきれいな空気…
私の歩いたところは草花が咲いていた。まるで道標みたいで少し面白かった。
その草花からシロツメクサを少しだけ摘み花かんむりを作る。
あれ…なんでこれの作り方は覚えてるんだろう…
そんなことを思いながらまた歩き出す。
サクサクと草を踏んで歩く音が聞こえてきた。
びっくりして振り返ると黄緑っぽい色をした大きな鹿が着いてきていた。
その他にも、兎やリス、フクロウなどの動物さんが私の背中をグイグイと押したり引っ張たりして先に進ませる。
す、凄くフワフワ……
動物さんに囲まれながら少し歩いていると、大きな光が見えた。
なんだろう…少し不安……
動物さんはその光の前に行こうとしない。ただ私のことを押して来るだけ。
わっ……!
とんっと背中を押され私はその暖かい光に包まれた。誰が私のことを……え…?
「……!」
「…………!」
誰かが私のことを呼ぶ声が聞こえる。
そして私の手を握ってなく声も、泣かないでと早く言ってあげないといけない。
すうっと目を開くと見知らぬ天井があった。
「○○さんが目を覚ましました!」
とバタバタ走る看護師さん。
私の手を握ってずっと泣いている弟と姉。
ここは病院……?
私は理解するのに少しだけ遅れてしまった。
あとから話を聞くと、私は事故に巻き込まれてしまったらしい。
一緒にいた幼なじみの男の子と共に
男の子はどうなったのかと尋ねると
「貴方を庇って…病院に運ばれる前からもう意識不明の重体で、このまま目を覚ますか分からない生死の境に…」
後ろではお母さんが私の肩を抱いて泣いていた。
私はその幼なじみの子のことはほとんど覚えていない。
それなのに、涙が止まらなかった
「延命手術はしましたがもう長くないかと……」
そう言われ私は幼なじみの元に案内される
そこで私は息を呑んだ
あれ…この人…
その病院のベットで横になり酸素マスクを付けられ延命手術を終えたばかりの男の子は
私の事を押した…あの…人…