〜やわらかな光〜
ふと目覚める。
眩い光が目に入ってくるから、私は思わず手で覆い隠した。
暖かい……
辺りを見回すとキレイな白樺の森が広がっていた。葉の隙間から射す光はキラキラと輝いていてとても綺麗だった。
でも、ここはどこなのだろう。こんな景色見たことがない。
あれ…私って誰だっけ…
場所も分からない、そして自分が誰なのかも分からなくてただただ白樺の森を歩き回ることしか出来なかった。
ゆっくりと歩く。周りを見回し息を吸う。
凄くきれいな空気…
私の歩いたところは草花が咲いていた。まるで道標みたいで少し面白かった。
その草花からシロツメクサを少しだけ摘み花かんむりを作る。
あれ…なんでこれの作り方は覚えてるんだろう…
そんなことを思いながらまた歩き出す。
サクサクと草を踏んで歩く音が聞こえてきた。
びっくりして振り返ると黄緑っぽい色をした大きな鹿が着いてきていた。
その他にも、兎やリス、フクロウなどの動物さんが私の背中をグイグイと押したり引っ張たりして先に進ませる。
す、凄くフワフワ……
動物さんに囲まれながら少し歩いていると、大きな光が見えた。
なんだろう…少し不安……
動物さんはその光の前に行こうとしない。ただ私のことを押して来るだけ。
わっ……!
とんっと背中を押され私はその暖かい光に包まれた。誰が私のことを……え…?
「……!」
「…………!」
誰かが私のことを呼ぶ声が聞こえる。
そして私の手を握ってなく声も、泣かないでと早く言ってあげないといけない。
すうっと目を開くと見知らぬ天井があった。
「○○さんが目を覚ましました!」
とバタバタ走る看護師さん。
私の手を握ってずっと泣いている弟と姉。
ここは病院……?
私は理解するのに少しだけ遅れてしまった。
あとから話を聞くと、私は事故に巻き込まれてしまったらしい。
一緒にいた幼なじみの男の子と共に
男の子はどうなったのかと尋ねると
「貴方を庇って…病院に運ばれる前からもう意識不明の重体で、このまま目を覚ますか分からない生死の境に…」
後ろではお母さんが私の肩を抱いて泣いていた。
私はその幼なじみの子のことはほとんど覚えていない。
それなのに、涙が止まらなかった
「延命手術はしましたがもう長くないかと……」
そう言われ私は幼なじみの元に案内される
そこで私は息を呑んだ
あれ…この人…
その病院のベットで横になり酸素マスクを付けられ延命手術を終えたばかりの男の子は
私の事を押した…あの…人…
10/16/2022, 11:23:07 AM