Mixエース

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1/26/2024, 8:56:32 AM

私は、自分のメンタルが少し病んでいると自覚している。人に嫌われるのが怖い。
昔は、特に子供頃は悩んだり後先考えず好きなように行動ができた。
だけど、大人になった今、予測しえる障害にいつも怯え、常に先を考えなれば不安になる毎日。

そんな私は不安に耐えきれなくなると時々、暗くて狭い場所…今は電源を切った炬燵の下に引きこもっている。

「大丈夫か。」

炬燵の布団を持ち上げながら声をかけてきたのは、最近付き合う事になった恋人だ。
(そっか、私のこの悪癖を彼は知らないだったな。)

(正直に言えば……、今は閉じこもっていたい。でもどうしよう……、心配してくれる彼に迷惑をかけたくない。)

「大丈夫。正直に言ってくれ。告白の時もそうだが、俺はあなたの都合の良い人になりたいんだ。」

彼の言葉に、さっきまで炬燵の下であれこれ考えていた私は、無言で彼が捲った炬燵の布団を再び下ろして引きこもった。

彼は変わり者だ。半年前から何度も告白してきて、私は根負けして付き合い始めた。

(私の都合の良いようにしてくれるなら………。)

私は利き腕だけ炬燵から出して彼の手を握った。炬燵の布団ごしで彼の表情が見えない。けど彼は私の手を握り返してくれた。
不安は無くならないが少し安心する。

《安心と不安》

1/21/2024, 11:39:49 PM

寒い冬の夜。俺は恋人と待ち合わせをしていた。
今日は付き合ってちょうど1ヶ月がたった。俺は何処か良いレストランを予約しようか彼女と話あったが、彼女はこの街一番大きい展望台に行きたいと言ったのだ。

道中も考えていたがこの展望台は深夜まで開いている以外、何も変わった特徴がない。何故彼女はここを待ち合わせ兼デート場所に指定したのだろう。

色々答えを考えている内に目的の展望台に着いた。薄暗くて足音だけが良く響いて少し不気味だった。

「おーい、ここだよ!」。

静かな暗闇の中からはっきりとした彼女の声と足音が聞こえた。

「時間ぴったりね!。」

「君1人のようだけど何もなかった?。待ち合わせなら下の入り口でも良かったんじゃ。」

「それじゃサプライズにならないでしょ。」

彼女はこっちよと俺の手を引いて展望台の窓際へ連れていった。

俺の眼に美しい地方都市の夜景が目に飛び込んできた。

「きれいだ。」

「ふふ、それだけじゃないのよ。良く見て、あの大通り。何かに見えない?。 」

「…もしかして天の川か?。」

彼女は満面の笑みで俺に正解と返した。

「貴方は星が好きでしよ。この展望台から見た夜景が天体と似ていてね。一ヶ月記念を祝うならここが良いなと思ったの。」

彼女の楽しそうに語る姿に俺は胸がきゅんとしめつけられた。俺の好きな物を覚えていてくれたんだ。

それから俺達は自動販売機の温かい飲み物を片手に、地方都市の明かりをどの星座にするかと閉館時間まで語り合った。

《特別な夜》

1/21/2024, 5:45:44 AM

私は、深い深い海の底で産まれた人魚の一人。
海の底は暗くて寒くて、何処か心が寂しくなる。
でも昔、深海にやってきたマッコウ鯨が私達人魚に上の海の話をしてくれたことがあった。

上の海は深海魚の光より明るくて、更に上には私達人魚やマッコウ鯨でも泳げない”空“という海があることを教えてくれた。

私達人魚は一族の掟で上の海にはいけない。
だけど私は、いつか明るい上の海を泳いで空を見てみたい。

私は上の海から落ちてくる白い雪を見上げながら願うのだった。

《海の底》

1/17/2024, 3:44:03 AM

14世紀イタリアのルネサンス時代のある画家が、油絵で美しい頬笑みを浮かべた貴婦人の肖像画を描いた。
その貴婦人の肖像画は、何百年たっても世界で最も美しい女性と称され世界中の人々に愛された。
だけど世界でただ一人、この油絵が世界で最も醜いと思っているモノがいた。
それはこの油絵の貴婦人の肖像画でした。

「何故、たった1つしかないこの醜い私の顔を皆美しいと讃えるの。」

貴婦人の肖像画は長い年月を過ごす内に、何時の間にか人間のような心が宿っていた。

「ああ、私もあんなふうに豊かな見た目になりたい。」

貴婦人の肖像画は長い年月を過ごす内に何時の間にか人間のような心が宿り、いつも人間達を羨んであた。”彼女“にとって人間の喜怒哀楽によって変わる表情や歳を重ねる事に変わる顔が世界で一番美しいと思っているのだ。

ある日今飾られている美術館から別の展覧会の為にトラックで運ばれた。
トラックの運転手は杜撰な保管方法で”彼女“を運んだ。トラックの中は高温で貴婦人の肖像画を含む油絵の絵の具が溶け始めた。
展覧会の会場に着くと運転手と学芸員がトラックを開けた。その瞬間その場にいた人間全てが悲鳴をあげた。運んでいた油絵が全て歪んでいたのだ。

特に貴婦人の肖像画は瞼や頬が垂れ下がり、微笑んていた口元が不満げなへの字に曲がっていた。
世界で一番美しい貴婦人の肖像画が世界で一番醜い老婆の肖像画になったと”彼女“を除いて世界中の人々悲しまれた。

《美しい》

1/14/2024, 11:15:55 PM

恋人が死んで以来なんだかツイていない。

注文した荷物が輸送しているトラックごとダメになるし。
買い物帰りにマイバッグごとひったくりに会うし。
挙げ句、郵便配達してもらったばかりの絶景スポットで有名場所のペアチケットを封筒から出す際破ってはいけない所をピンポイントで破ってしまった。

ほんとどうしてだと毎日俺は苛ついてばかりいる。

もう直接ヤろう。そう決心した夜入念に準備してから眠ると死んだ恋人が出てきた。

「ねぇ、お願いもうやめて。考え直して。」

「どうして君がそんなことを言うんだ。君は被害者だ。君は何も悪くないのにアイツは君を殺したんだぞ。」

俺は悲しげな彼女を抱きしめた。愛しい彼女の苦しみを少しでも分かちあいたかった。きっと優しい彼女はアイツの事を同情しているんだろう。

「大丈夫だよ。確かに注文した毒薬や、購入したばかりの包丁や、自殺に見せかけようとした計画とか振り出しに戻ってばかりだけど、次こそ必ずアイツを地獄に落とすから。」

俺の言葉に彼女の白い頬に涙を流れた。

ああ、どうして笑ってくれないんだ。



〈どうして〉

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