14世紀イタリアのルネサンス時代のある画家が、油絵で美しい頬笑みを浮かべた貴婦人の肖像画を描いた。
その貴婦人の肖像画は、何百年たっても世界で最も美しい女性と称され世界中の人々に愛された。
だけど世界でただ一人、この油絵が世界で最も醜いと思っているモノがいた。
それはこの油絵の貴婦人の肖像画でした。
「何故、たった1つしかないこの醜い私の顔を皆美しいと讃えるの。」
貴婦人の肖像画は長い年月を過ごす内に、何時の間にか人間のような心が宿っていた。
「ああ、私もあんなふうに豊かな見た目になりたい。」
貴婦人の肖像画は長い年月を過ごす内に何時の間にか人間のような心が宿り、いつも人間達を羨んであた。”彼女“にとって人間の喜怒哀楽によって変わる表情や歳を重ねる事に変わる顔が世界で一番美しいと思っているのだ。
ある日今飾られている美術館から別の展覧会の為にトラックで運ばれた。
トラックの運転手は杜撰な保管方法で”彼女“を運んだ。トラックの中は高温で貴婦人の肖像画を含む油絵の絵の具が溶け始めた。
展覧会の会場に着くと運転手と学芸員がトラックを開けた。その瞬間その場にいた人間全てが悲鳴をあげた。運んでいた油絵が全て歪んでいたのだ。
特に貴婦人の肖像画は瞼や頬が垂れ下がり、微笑んていた口元が不満げなへの字に曲がっていた。
世界で一番美しい貴婦人の肖像画が世界で一番醜い老婆の肖像画になったと”彼女“を除いて世界中の人々悲しまれた。
《美しい》
1/17/2024, 3:44:03 AM