寒い冬の夜。俺は恋人と待ち合わせをしていた。
今日は付き合ってちょうど1ヶ月がたった。俺は何処か良いレストランを予約しようか彼女と話あったが、彼女はこの街一番大きい展望台に行きたいと言ったのだ。
道中も考えていたがこの展望台は深夜まで開いている以外、何も変わった特徴がない。何故彼女はここを待ち合わせ兼デート場所に指定したのだろう。
色々答えを考えている内に目的の展望台に着いた。薄暗くて足音だけが良く響いて少し不気味だった。
「おーい、ここだよ!」。
静かな暗闇の中からはっきりとした彼女の声と足音が聞こえた。
「時間ぴったりね!。」
「君1人のようだけど何もなかった?。待ち合わせなら下の入り口でも良かったんじゃ。」
「それじゃサプライズにならないでしょ。」
彼女はこっちよと俺の手を引いて展望台の窓際へ連れていった。
俺の眼に美しい地方都市の夜景が目に飛び込んできた。
「きれいだ。」
「ふふ、それだけじゃないのよ。良く見て、あの大通り。何かに見えない?。 」
「…もしかして天の川か?。」
彼女は満面の笑みで俺に正解と返した。
「貴方は星が好きでしよ。この展望台から見た夜景が天体と似ていてね。一ヶ月記念を祝うならここが良いなと思ったの。」
彼女の楽しそうに語る姿に俺は胸がきゅんとしめつけられた。俺の好きな物を覚えていてくれたんだ。
それから俺達は自動販売機の温かい飲み物を片手に、地方都市の明かりをどの星座にするかと閉館時間まで語り合った。
《特別な夜》
1/21/2024, 11:39:49 PM