筆を取るたび同じ事を考えてしまう。
小説が上手くかけない。
なら構想を練る努力、ネタを考える努力、つまり様々な努力をすれば変わるかもしれないと、そう考えてしまう。
だけど学生の時は試験や資格の勉強。
社会人になれば日々の生活の為に1日の時間を多く裂かなければならない。
生きることに精一杯で文の上達は日進月歩どころかスッポン以下。
私には小説の才能がないと嫌でも思い浮かんでしまう。
けど、ネットで無名の作家の本が書籍化した記事を見つけては対抗心を燃やし、いつか私の小説が多くの人に見られたいと夢をみて、今日も筆を進める。
〈夢を見ていたい。〉
正直に言って俺は、クリスマスや年末年始等のイベントは家族としか過ごしたことがない。
だけど今夜、都内のクリスマスイブのイベントに家族以外の人と二人で来ている。
「ねぇアレ、クリスマスマーケットだって。面白そう!!」
そう言って俺の腕を引くこの人は、先月できた恋人だ。
俺自身あまり人混みが得意じゃない。けど、好奇心旺盛な目で色んな露店を除く恋人の横顔に、来て良かったと俺は寒さを忘れて笑顔になる。
「はい、これ。あったまるよ。」
恋人は、早速露店でアルコール入りのエッグノッグを買ってきて俺に差し出した。
「なぁ楽しいか。」
「うん。私クリスマスマーケットもクリスマスを好きな人と過ごすも初めてでとっても楽しい!。あっ次は初詣も一緒に行こう!。」
「ああ。」
なんだか俺は、飲んでいるエッグノッグの優しい甘さと温かさが心まで染み渡ったように感じた。
《冬は一緒》
高校時代、仲の良いクラスメイト達とバカやって巫山戯あって帰った記憶は、大人になった今思い出すと少し恥ずかしい。
だけど、大人になって一人上京して就職した俺は、毎日電車のホームに無言で一人立っていると、その思い出を時々思い出す。
「ああ、俺はあの青春時代のとりとめもない話が恋しいのか。」
《とりとめもない話。》
「つ、疲れた…。」
私は疲労を抱えながら椅子にもたれかかる。
つい先週。魔術師である自分の住処の谷に痩せっぽちの子供がやってきた。そのボロボロの身なりを見て、子供が親のいない孤児とすぐに分かった。
ちょうど、自分の魔術の知識を誰かに受け継がせたくて弟子をとろうか考えていた所だったので、その子を拾った。
こうして弟子としてその子を拾ったが、今若干後悔しかけてる。
孤児として当たり前のことだが、この子は読み書きができないことは想定していた。
まさかこの子が犬みたいに皿に顔を突っ込んで食事したり、目を離した瞬間全身泥まみれになるほど遊び回る跳ねっ返りとは思わなかった。
もう魔術の勉強をさせるより先に、行儀作法の指導と汚れたこの子の衣服の洗濯を優先せざる他なかった。
「ねぇっ。これあげる!。」
件の弟子がまた服を泥まみれにして私の膝の上に飛びのった。差し出した手には可愛らしい野花が握られていた。
「はぁまた、服を汚して…。」
ため息をつくも、弟子の笑顔に思わず苦笑してしまった。
《愛を注いで》
少年誌の主人公の仲間に憧れた少年期。
自分も高校生や大人になったら、頼れる相棒。かわいいヒロイン。切磋琢磨するライバルが現れると思っていた。
だけど高校卒業して社会人になったら、毎日忙しくて自分一人生きていくだけで精一杯だった。
理想と現実の違いに辟易する。
「昨日、急に自分の仕事変わってくれてありがとう。次は僕が缶コーヒー奢るよ。」
自分には漫画のような劇的な仲間はいないが、互いの仕事の埋め合わせで缶コーヒーを奢りあう人がいる。
苦くて甘い現実らしい仲間だと感じた。
《仲間》