白井墓守

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3/8/2026, 11:07:42 PM

『お金より大事なもの』

それは、睡眠。
二度寝します、おやすみなさい。

3/8/2026, 1:10:09 AM

『月夜』

月夜、僕は恋をした。
それは禁じられた恋だった。

○○○

「ねぇ、忍者さん。あなたはお肉とお魚、どちらが好きなの? 私はお肉かしら、特に鶏肉が好きよ」
「……僕は魚です。特に鮭が好きです。身離れが良く食べやすいので」
「あら、そうなの。ところで——いつ、私の事を殺すの?」
「……もうちょっと」

まぁ、とコロコロと笑う姫の姿がある。
黒曜石のような吸い込まれそうな瞳に、ぬばたま色の漆黒の夜のような長い髪。
この世ならざる美しい女人。豪華展覧な金糸や銀糸の着物は、まるで夜空に輝く星々のよう。
チラリと覗く華奢な躰は真っ白くて、雪のように繊細に見えた。

「あら、もうすぐ朝だわ?」
「……また明日」
「ええ、また明日。忍者さん」

○○○

いくつの夜をそうやって過ごしただろうか。
あぁ、こうなることは必然だったのだ。

「裏切り者。姫諸共、お前を殺す!!」
「……」
「あらあら」

僕と同じ格好をした忍者。
しかし違うのは性別と、殺気を纏っているかどうか。

「まあ。あのクノイチさんは、殺す気まんまんね?」
「まずはお前からだ! 死ね、姫!!」
「!!」

体が勝手に動いた。
気がつくと、クノイチの彼女は床に倒れていた。
床には赤い血液が広がっている。

「あら、いいの? お仲間だったのでしょう?」
「……もう違うでしょう。殺しに来たんですから」
「まあ、たしかに。でも、いいの?」

つぶらな瞳がこちらをジッと見つめる。
どうにも居心地が悪い。

「はい。いいんです、もう」
「そう、そうなのね……」

「……ゅる、なぃ」
「?」

ふと聞こえた声に後ろを振り向く。

「お前だけは殺す!! 裏切り者!!」

あっ、しまった。
クノイチの最期の攻撃に、僕は動けなかった。
……僕は死ぬだろう。
でも、それでいい気がした。
だって僕には帰るところが無いし、いつまでも姫のところに居る訳にはいかない。
僕は闇の住人で、姫は光の住人。住む世界が違うのだ。

「あらあら、駄目よ」

だから、こそ、意味が分からなかった。
自分が生きていること。
……姫の頭から狐のような耳と尻尾が見えていることに。

「化け、もの……」
「あら、人殺しに化物って言われたわ」

姫は相変わらずコロコロと笑っている。
人間の頃と何も変わらなかった。
ただ、耳と尻尾が生えただけだった。

「ねぇ。私と一緒に来ない?」
「……え?」
「私。このお城も、もう飽きちゃった。旅に出ようと思うの」

着いてきて下さる? の言葉に、僕は「はい」と答えた。

「まぁ良かった、荷物持ちが欲しかったの!」

コロコロと笑う姿に見惚れる。
……どうやら僕が恋した相手は人間ですら無かったらしい。

これから、僕と姫の珍道中の旅が始まる。


おわり

3/7/2026, 2:02:30 AM

『絆』

絆とは、脆く崩れるものだと思っていた。
それは青春時代にだけ見える蜃気楼のようなもので、この世界のどこにも存在しないのだと、私は半ば確信すらしていたというのに。

「お前の負けだ!!」
「……あぁ、確かに」

炎のように強い熱気を感じる視線が私を貫く。
だが、その眼差しでさえ、私はどこか心地よかった。

私は負けた。
だが、尊いものを、たしかに知った。

○○○

“俺”が目覚めたとき、俺は知らない部屋に居た。

「知らない天井だ……」

部屋の中は殺風景で、机と寝ていたベット、電球、南京錠のかかった扉、机の上に置かれた洒落た木箱しかない。

「いったい何なんだ」

洒落た木箱には、少しだけ見覚えがあった。
いや、全く同じものではないだろうが……このタイプが、世間一般でなんと呼ばれるかを俺は知っていた。

「カラクリ箱……これを、開けろって事か??」

姉がカラクリ箱が好きでよく収集しているため、カラクリ箱を解くのは結構簡単だった。

「これは……」

そして出てきた紙に、俺は衝撃を受ける事となる。

「ここはデスゲーム会場……だと!?」

○○○

一緒に入っていた鍵で扉を開けると、直ぐに横から同じ音が聞こえる。
チラッとそちらを向くと、見知った人物の顔があった。

「……え、カイ?」
「ヒナタ!! 良かった~、いや、良くないよ!!」

親友のカイが、そこに居た。
見知った顔に安堵を覚えるも、ここがデスゲーム会場だと思い出して一転不安を覚える。

○○○

俺達は、二人でデスゲームを生き延びた。
色々あった。死ぬような目にもあった。
それでも、俺達はココに居る。それが、全てだ。

そして、ラスボスであろう司会者へ指をさしていた。

「一つ、聞こう。どうして最後のゲーム。君たちは自分の命よりも、絆なんてあやふやなものを信じられた? 相手を見捨てれば、確実に自分だけ助かると分かっていただろう?」

司会者は、呆けたような顔で、グラスから水を零すようにポツリと聞いてきた。

その質問に、俺と親友のカイは目を見合わす。笑った。お互い。
それだけで十分だった。俺達には。

「カイを、信じてたからな!」
「ヒナタを、信じてたんだ」

司会者は笑っていた。
眩しそうなものをみるようにして、「そうか、そうか」と目尻から涙をしくしくと流れさせながら、拭うこともなく泣いていた。


……きっと、なにかあったんだろうな。
流石に、そう思った。

でも、それは俺達には関係のない事だ。
俺達の絆は、デスゲームだろうと関係ない。

「いこうぜ! カイ!!」
「待ってよ、ヒナタ!!」

二人で笑いあった。
俺達の絆に乾杯ってね!!


おわり



3/6/2026, 1:40:39 AM

『たまには』

たまには遠出をしよう。
そう思っていた……が、まさか異世界まで遠出する気は無かった。
いや、どうやって帰るんだ、これ??

○○○

ほやほや男子高校生の僕と、小型犬のチワワのお姫様一匹。
ポツンとした草原に立っている。

……意味が分からない。

家の家庭で可愛がられているチワワが、キャンキャンと吠えながら何処かへ走り去っていく。

「えっちょっと、待って!!」
「キャルルルル!!」
「…………え?」

家にいたときには、絶対に聞かない声を聞いた。
遠吠えのような、勝鬨を上げたみたいな吠え方。

衝撃で石のように固まった僕の元に戻ってきたチワワは、ナニカを引きずっていた。
トカゲの尻尾……いや、まって、これはドラゴンじゃない??

目の前にドラゴンと、チワワ。
僕は気絶してしまいたかったが、そうもいかない。

なんでこんなことに。
ちょっと今日の散歩はいつもより遠出しようと思っただけなのに。
十字路を曲がったら、全く別の場所、草原だった。

たまには遠出をしよう。
そう思っていた……が、まさか異世界まで遠出する気は無かった。
いや、どうやって帰るんだ、これ??

キャンキャン!
可愛く僕に擦り寄って来るチワワの頭を撫でる。
相変わらず可愛い……口元に赤い汁が見えなければ。

「さて。どうやって帰ろう、かな」


これから、僕の壮大な家へと帰るための旅が始まる。

おわり

3/5/2026, 7:12:23 AM

『大好きな君に』

大好きな君に、死を。
愛しているからこそ、死を。

だんだんと冷たくなっていく体を前に、一人笑う。

「浮気者……それでも、あなたを愛している」

刺し傷から溢れだす真っ赤な血の池に、自分の顔が写った。

歪な笑みが、まるで三日月のようだった。


おわり

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