白井墓守

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『たまには』

たまには遠出をしよう。
そう思っていた……が、まさか異世界まで遠出する気は無かった。
いや、どうやって帰るんだ、これ??

○○○

ほやほや男子高校生の僕と、小型犬のチワワのお姫様一匹。
ポツンとした草原に立っている。

……意味が分からない。

家の家庭で可愛がられているチワワが、キャンキャンと吠えながら何処かへ走り去っていく。

「えっちょっと、待って!!」
「キャルルルル!!」
「…………え?」

家にいたときには、絶対に聞かない声を聞いた。
遠吠えのような、勝鬨を上げたみたいな吠え方。

衝撃で石のように固まった僕の元に戻ってきたチワワは、ナニカを引きずっていた。
トカゲの尻尾……いや、まって、これはドラゴンじゃない??

目の前にドラゴンと、チワワ。
僕は気絶してしまいたかったが、そうもいかない。

なんでこんなことに。
ちょっと今日の散歩はいつもより遠出しようと思っただけなのに。
十字路を曲がったら、全く別の場所、草原だった。

たまには遠出をしよう。
そう思っていた……が、まさか異世界まで遠出する気は無かった。
いや、どうやって帰るんだ、これ??

キャンキャン!
可愛く僕に擦り寄って来るチワワの頭を撫でる。
相変わらず可愛い……口元に赤い汁が見えなければ。

「さて。どうやって帰ろう、かな」


これから、僕の壮大な家へと帰るための旅が始まる。

おわり

3/6/2026, 1:40:39 AM