二次創作 文豪ストレイドッグス
『太宰(22)と太宰(15)に取り合いされる先輩夢主』
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「これまた面白いことになっているねぇ」
首領は口に手をあえて微笑んでいる。
「首領、笑っている場合ではありません。なんで糞青鯖が2人もいるんだよ」
中也はうげぇという顔をしている。
「私にも分からないよ。どうしたらこうなるんだか……」
私はゲッソリしていた。
「先輩! あんな砂色のコート着てて僕と顔が一緒なだけの奴、気にしなくていいよ」
「先輩……。グスッ……私、ずっと先輩に会いたかった……」
太宰(15)は太宰(22)のことを私から引きはがそうとしているが、大人の力には敵わないらしく、膠着状態になっている。
太宰(22)は私に抱きつき肩に顔を埋めている。鼻をすする音が聞こえる為泣いているのだろう。
「はぁー。えっとー太宰、本当に一旦離れてくれる?」
私が何度目か分からないこの言葉を言うと、やっと太宰は私から離れてくれた。
「……なるほどね。大人太宰は今、探偵社ってところで人助けしてるんだ」
「それで、先輩は僕が18歳の時に死ぬ……と」
ありえない話では無い。現に今までだって何度も不意打ちで殺されかけている。今までは全て急所を外れていたから良かったものの、今度こそやられるかもしれない。
「私は先輩に沢山の物を貰った。それを返したかったのに、その前に先輩は……」
また太宰の目に涙が浮かぶ。
「ああー泣かないで。それより、太宰はどうやってここに来たの?」
「それがわからないんだよ。なんだか、誰かに呼ばれた気がして、そしたら目の前が明るくなって……気付いたらここにいて目の前に先輩がいた」
なるほどー。そういえば太宰(15)も急にあらわれた。
「僕も……太宰(22)と同じ感じだけど、目の前が暗くなったよ」
うーん。これは……
「ごめん。多分私のせいだ」
今日の任務中、私は敵の異能をくらった。どんな異能か聞き出す前にそいつは逃げてしまった。恐らく、"心の中で考えた人物の光verと闇verが現れる"みたいなピンポイントな異能だろう。
私が事情説明をすると、ずっと黙って聞いていた中也が口を開いた。
「ちょっと待て。なんで先輩は光と闇があるって分かったんだ?」
「えー。勘」
「勘かよ……」
「けど私の勘、めっちゃあたるよ?」
そう。私の勘は面白いほど当たるのだ。巷では"野生の𓏸𓏸"と言われている。野生の勘とかけたんだろう。
いきなり、太宰(22)の身体が淡く光始めた。
「あー。もうお別れみたいだね」
「先輩、もうちょっと悲しい感じは出して欲しかったな」
「チビ太宰」
「誰がチビなのさ。ノッポ太宰」
「返したいものは、今のうちに返した方がいい。どれだけ恥ずかしくてもね」
「……そう」
「あと、中也は身長変わってないよ。160cm」
「嘘だろ……」
「残念、嘘じゃない。そして君は私に煽られる運命だー」
「巫山戯んなよ」
「森さん」
「なんだい? 太宰君」
「くれぐれも、先輩を雑に扱わないようにしてくださいね」
「……善処するよ」
「太宰。私が死んでも君が生きていることがとても嬉しいよ。私以外に生きがいを見つけたんだね」
「優秀な後輩がいてね。新しい双黒だよ。私の生きがいは今でも先輩だけどね」
「そうか。私は君の生きがいになれていたか……」
「先輩。愛してますよ」
最後に太宰はそう言って光に包まれて消えた。
「えー。これ僕も元の場所に戻されるのー? 帰るのめんどくさ」
それと同時に、太宰(15)も闇に包まれて消えた。
ふと、私は果たして光と闇、どちら側の存在なのだろうか。
そう考えてしまった。
お題:光と闇の狭間で
2023 12 05
二次創作 文豪ストレイドッグス
『距離感バグの賢治くんに翻弄される夢主ちゃん』
うちの後輩は距離感がバグってる。
例えば、朝出社した時。
「おはようございますzzzzz」
「おい! 𓏸𓏸! 挨拶をしながら寝るんじゃない!」
「国木田くん、うるさぁい……」
私が目を擦りながら席に着くと
「𓏸𓏸さん! おはようございます! 今日はいい天気ですね」
と言って賢治くんが後ろからギュッとしてくる。
他にも、私が任務から帰ってくる時。
「ただいま帰りましたー」
「𓏸𓏸さん、おかえりなさい!」
と誰よりも早く反応し、真正面から抱きついてくる。
与謝野さんあたりに相談してみたけど、「賢治らしくてかわいいじゃないか」と言われてしまった。
可愛いのは認めるが、距離感はどうにかして欲しい。仮にも、異性だし……。
「考えすぎではないか? 賢治だぞ? あいつはきっとお前のことを姉だとでも思っているんじゃないか?」
「あれ? 国木田、私声に出てた?」
「はっきりとな。そこまで気になるなら本人に直接聞け」
確かにそれもそうか。私は早速、今日の帰りに聞いてみることにした。
「ねぇ、賢治くん」
「はい、何でしょう?」
「賢治くんってよく私に抱きついたりしてくるけど、私のことどう思ってるの?」
賢治くんは即答した。
「大切な人です!」
「えぇっと……それはどういう意味合いの大切なのかな?」
私は少し動揺してしまう。
賢治くんはしばらく考えたあとに私の目を見て言った。
「よくよく考えてみると、社のみなさんも大切な人です! ですが、𓏸𓏸さんはなんだか違うんです。だから、大切な人ではなくて……うーん。なんて言えばいいのか分かりません!」
それを好きな人って言うんだよ……多分……。とはさすがにいえなかった。
自分の質問によって賢治くんの私への好意が明らかになってしまった。
「そっかぁ。分かるといいねー」
これからも彼の距離感バグは治らなそうです。
お題:距離
2023 12 02
二次創作 文豪ストレイドッグス
『織田作がジイドと戦うことを止めたい夢主』
「織田作!! 待って!」
雨の中、私は織田作を追いかけていた。
子供たちが乗った車が爆発するところを見た。唖然とする私に聞こえてきたのは、織田作の絶叫だけだった。魂からの叫び、それを聞いた時何となく私は悟ってしまった。ああ、この人はもう戻ってこない、と。
ミミックの本拠地の前、そこでやっと私は織田作の腕を掴んだ。
「織田作、お願い。1人で行かないで」
「𓏸𓏸。俺は、ジイドと戦わなければならない」
織田作はこっちを見てはくれなかった。ずっと、自分がこれから使うことになる拳銃を見ていた。
今、この人の心の中に私はいない。いるのは、子供たちとジイドだけだ。
それが悲しくて、涙が零れる。
「織田作……。私を見てよ……」
ポツリ、私がそう呟くと織田作はハッとして私の顔を見た。
「𓏸𓏸……。お前、泣いているのか?」
「誰のせいだと思ってんの……」
とめどなく零れる涙を織田作はどうしたらいいのか分からないという顔で見つめていた。
「俺は……子供たちを守れなかった」
「それは私も一緒。織田作だけの責任じゃない」
「𓏸𓏸がいれば、太宰も大丈夫だろう」
「……馬鹿。太宰だって……私だって大丈夫じゃない」
そういうと、織田作は驚いた顔をした。
「𓏸𓏸は強いと思ってたんだが……」
「……好きな人が死んで大丈夫な人がいるわけないでしょ」
我ながら卑怯だとは思った。死にに行く前にこんなこと言われたら迷惑だろう。私だって、このまま想いを告げずにいたかった。彼を困らせたくなかった。だけど、溢れる想いを止める術を私は知らない。
「織田作、私、織田作が好きだよ。ずっと、ずっと好き」
「……」
「お願い、織田作……っ」
涙が止まらない。一度吐露した気持ちを止めることは私にはできなかった。
「……𓏸𓏸。すまない」
その一言で、私の心は完全に砕けた。分かっていた事だった。けれど、実際に言われると堪える物があった。
「っ……。ほんと馬鹿……」
「𓏸𓏸」
彼は名前を呼んでそっと私の目に溜まった涙を拭う。
「𓏸𓏸、泣かないでくれ。俺には、どうすることもできないんだ」
そう言って最期に彼は一言「ありがとう」とだけ言って、中に入っていった。
「太宰……。私はあの時、どうすれば織田作を止められたと思う?」
Lupinで私はウイスキーを片手に太宰に問う。
「何をしても、彼を止めることは出来なかったと思うよ」
太宰は、砂色のコートを靡かせながら席を立ち
「ああいう運命だったんだ」
と言い残し、静かに店を出て行った。
「……。マスター、太宰にツケておいて」
しばらくして、私はそう言って店を出た。外にはもう太宰の姿は無い。
「……帰るか。中也の体術特訓に付き合う約束してるんだった」
私は目の端に少しだけ溜まった生暖かい水を拭い、夜の闇に消えていく。
お題:泣かないで
2023 11 30
二次創作 文豪ストレイドッグス
『薄着で仕事してて寒がってる夢主とあっためてくれる敦くん』
「さっむ」
気温が安定しない季節の変わり目、なおかつ冬のはじめに天気予報をしっかり確認していなかった私に腹が立つ。
時刻は午後8時半。太宰さんの分の仕事を私がやる羽目になったので残業だ。
探偵社は午後8時以降はエアコンが付かなくなっていて、夏ならまだしも冬場は凍える寒さとなる。
医務室の毛布でも借りようかと思ったけど、生憎、クリーニングに出してしまっている。
「中にもっと着とくんだった……」
手が冷たい。少しかじかんでいてパソコンのキーが素早く打てない。カイロがあれば多少違うだろうが、ちょうど切らしている。
買いに行こうかとも思ったが、流石に社内にいてこの寒さなら外はもっと寒いだろうと思ってやめた。
「あれ、𓏸𓏸さん?」
入口のドアが開いて、そこから敦くんが顔を覗かせていた。
「敦くん、どうしたの? 忘れ物?」
「はい、ネクタイピン忘れちゃって」
そう言って敦くんは机の上にあるネクタイピンをポケットに入れた。
「そっか、気を付けてーーっくし」
くしゃみが出た。寒い。
「𓏸𓏸さん……まさか、その薄着でずっと仕事してたんですか?」
「うん。天気予報見てなくてさ」
敦くんは信じられないとでもいうような顔をした。
あ、いいこと思いついたかも。
「敦くん、この後って暇なの?」
「いえ、特に何もないですけど……」
「ちょっと手伝って」
「手伝うって……こういうことでしたか……」
そう! 敦くんに1部虎化して貰ってギュッとしてもらいながら仕事をするのだ!
「あったか〜い。仕事が捗るわぁ」
それから30分ほど経ち、やっと仕事が終わった。
「ありがとう敦くん!」
「お疲れ様です」
なんだかこころなしか敦くんの顔が赤いような気がするんだけど……気の所為かな。
「よーし、敦くん、もうひと仕事頼むよ」
「え?」
「確かに、この薄着じゃ寒すぎて外なんか出られないですよね……けど、なんで僕に抱きついてくるんですか!」
「だって、それが一番暖かいじゃない」
「そうですけど、人目が……」
「どこにも無いけど?」
「うぅ……」
お題:冬のはじまり
2023 11 30
二次創作 文豪ストレイドッグス
『大切な友人がいなくなり、病んで後を追いそうになってる夢主を止める中也先輩(18〜19)』
「織田作が死んだ」
この事実が信じられなかった。信じたくなかった。
「太宰先輩がポートマフィアを抜けた」
「安吾は特務課に戻るらしい」
経った1日で、友人を3人失った。
あの時、太宰先輩が「もう会えない気がする」と言ったのは、間違いではなかった。
私の居場所が、消えた。
「最近、𓏸𓏸ちゃんの様子がおかしくてねぇ。太宰君の変わりに君が彼女の上に立ってほしい」
首領の命によって、俺は太宰の変わりに先輩になった。太宰の変わりってのが癪だが、新しい後輩は使える奴だった。
「おい、𓏸𓏸。書類は……」
「これですか? 終わってますよ。中也先輩」
書類仕事はピカイチで、頼んだ書類は30分〜1時間もあれば提出しにくる。
首領から聞いた話では、コイツの様子がおかしいらしいが、どこがだ?
「なぁ𓏸𓏸。お前、首領から様子がおかしいって言われてたぞ。なんかあったか?」
𓏸𓏸は一瞬、作業の手を止めた。が、すぐに
「特には何も。……人が消えた分、自分に回ってくる仕事が多いので疲れてるだけですよ」
と言って作業に戻った。
人が消えた……太宰と太宰のダチか。そういえば、コイツ太宰達と仲良かったな。
「そうか。なんかあったら言えよ」
「お気遣いどうも」
まさか、首領にバレていたとは思わなかった。確かに、友人を失った日から自分の気持ちがどんどん暗くなっていたのは分かる。
「やっぱ、中也先輩は騙せても首領は騙せないか……」
<馬鹿じゃないの? 私にそんな下手な演技が通じるとでも?>
<嘘だったのか? 騙されたな。流石だ>
<私も騙されました。こんな上手な演技が通じない貴方は化け物ですか?>
織田作達ならきっとそういうんだろうな。
「はぁー。もう、いっそ、死んでしまおうか」
ポートマフィアのビルの屋上で、煙草片手に呟いた。口に出すとなんだか実行する勇気みたいなものが湧いてくる。
煙草を捨て、柵の外に身を乗り出した。
「最期の景色が横浜の夜景。うん、なかなかいいロケーションじゃない?」
そのまま前のめりになって、落ちーー
「どこがいいロケーションなんだよ。戻れ、書類仕事溜まってんぞ」
落ちなかった。否、落ちれなかった。中也先輩が私の腹に腕を回して落ちれないようにしていた。
「中也、先輩……」
「ったく。執務室出る時のお前の顔が異常に暗かったから心配になって着いてきてみりゃあ、死のうとしてるし焦ったぜ」
「……すみません」
「謝んな。𓏸𓏸、彼奴らのことで落ち込んでんのは分かる」
中也先輩は腕を離して柵にもたれかかった。
「太宰達からの伝言だ。"私の席を君で埋めろ" "いつの日か貴方がくださった胃薬、よく効くのでまたください" "美味しいカレー屋を教えてくれてありがとう。仕事は辛いだろうが頑張れ" だと」
俯いていた顔を勢いよくあげた。
「太宰先輩、安吾、織田作……」
「ここまで言われてんだ。自分のことばっか考えてんじゃねぇよ」
中也先輩は私の頭を撫でて言った。
「彼奴らだけじゃねぇ。俺や首領や他の構成員から期待された人生だ」
「勝手に終わらせんな」
お題:終わらせないで
2023 11 29