二次創作 文豪ストレイドッグス
『薄着で仕事してて寒がってる夢主とあっためてくれる敦くん』
「さっむ」
気温が安定しない季節の変わり目、なおかつ冬のはじめに天気予報をしっかり確認していなかった私に腹が立つ。
時刻は午後8時半。太宰さんの分の仕事を私がやる羽目になったので残業だ。
探偵社は午後8時以降はエアコンが付かなくなっていて、夏ならまだしも冬場は凍える寒さとなる。
医務室の毛布でも借りようかと思ったけど、生憎、クリーニングに出してしまっている。
「中にもっと着とくんだった……」
手が冷たい。少しかじかんでいてパソコンのキーが素早く打てない。カイロがあれば多少違うだろうが、ちょうど切らしている。
買いに行こうかとも思ったが、流石に社内にいてこの寒さなら外はもっと寒いだろうと思ってやめた。
「あれ、𓏸𓏸さん?」
入口のドアが開いて、そこから敦くんが顔を覗かせていた。
「敦くん、どうしたの? 忘れ物?」
「はい、ネクタイピン忘れちゃって」
そう言って敦くんは机の上にあるネクタイピンをポケットに入れた。
「そっか、気を付けてーーっくし」
くしゃみが出た。寒い。
「𓏸𓏸さん……まさか、その薄着でずっと仕事してたんですか?」
「うん。天気予報見てなくてさ」
敦くんは信じられないとでもいうような顔をした。
あ、いいこと思いついたかも。
「敦くん、この後って暇なの?」
「いえ、特に何もないですけど……」
「ちょっと手伝って」
「手伝うって……こういうことでしたか……」
そう! 敦くんに1部虎化して貰ってギュッとしてもらいながら仕事をするのだ!
「あったか〜い。仕事が捗るわぁ」
それから30分ほど経ち、やっと仕事が終わった。
「ありがとう敦くん!」
「お疲れ様です」
なんだかこころなしか敦くんの顔が赤いような気がするんだけど……気の所為かな。
「よーし、敦くん、もうひと仕事頼むよ」
「え?」
「確かに、この薄着じゃ寒すぎて外なんか出られないですよね……けど、なんで僕に抱きついてくるんですか!」
「だって、それが一番暖かいじゃない」
「そうですけど、人目が……」
「どこにも無いけど?」
「うぅ……」
お題:冬のはじまり
2023 11 30
11/30/2023, 12:40:38 AM