二次創作

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二次創作 文豪ストレイドッグス
『大切な友人がいなくなり、病んで後を追いそうになってる夢主を止める中也先輩(18〜19)』


「織田作が死んだ」
この事実が信じられなかった。信じたくなかった。
「太宰先輩がポートマフィアを抜けた」
「安吾は特務課に戻るらしい」
経った1日で、友人を3人失った。
あの時、太宰先輩が「もう会えない気がする」と言ったのは、間違いではなかった。

私の居場所が、消えた。


「最近、𓏸𓏸ちゃんの様子がおかしくてねぇ。太宰君の変わりに君が彼女の上に立ってほしい」
首領の命によって、俺は太宰の変わりに先輩になった。太宰の変わりってのが癪だが、新しい後輩は使える奴だった。
「おい、𓏸𓏸。書類は……」
「これですか? 終わってますよ。中也先輩」
書類仕事はピカイチで、頼んだ書類は30分〜1時間もあれば提出しにくる。

首領から聞いた話では、コイツの様子がおかしいらしいが、どこがだ?
「なぁ𓏸𓏸。お前、首領から様子がおかしいって言われてたぞ。なんかあったか?」
𓏸𓏸は一瞬、作業の手を止めた。が、すぐに
「特には何も。……人が消えた分、自分に回ってくる仕事が多いので疲れてるだけですよ」
と言って作業に戻った。
人が消えた……太宰と太宰のダチか。そういえば、コイツ太宰達と仲良かったな。
「そうか。なんかあったら言えよ」
「お気遣いどうも」


まさか、首領にバレていたとは思わなかった。確かに、友人を失った日から自分の気持ちがどんどん暗くなっていたのは分かる。
「やっぱ、中也先輩は騙せても首領は騙せないか……」

<馬鹿じゃないの? 私にそんな下手な演技が通じるとでも?>
<嘘だったのか? 騙されたな。流石だ>
<私も騙されました。こんな上手な演技が通じない貴方は化け物ですか?>

織田作達ならきっとそういうんだろうな。
「はぁー。もう、いっそ、死んでしまおうか」
ポートマフィアのビルの屋上で、煙草片手に呟いた。口に出すとなんだか実行する勇気みたいなものが湧いてくる。
煙草を捨て、柵の外に身を乗り出した。
「最期の景色が横浜の夜景。うん、なかなかいいロケーションじゃない?」
そのまま前のめりになって、落ちーー

「どこがいいロケーションなんだよ。戻れ、書類仕事溜まってんぞ」

落ちなかった。否、落ちれなかった。中也先輩が私の腹に腕を回して落ちれないようにしていた。
「中也、先輩……」
「ったく。執務室出る時のお前の顔が異常に暗かったから心配になって着いてきてみりゃあ、死のうとしてるし焦ったぜ」
「……すみません」
「謝んな。𓏸𓏸、彼奴らのことで落ち込んでんのは分かる」
中也先輩は腕を離して柵にもたれかかった。
「太宰達からの伝言だ。"私の席を君で埋めろ" "いつの日か貴方がくださった胃薬、よく効くのでまたください" "美味しいカレー屋を教えてくれてありがとう。仕事は辛いだろうが頑張れ" だと」
俯いていた顔を勢いよくあげた。
「太宰先輩、安吾、織田作……」
「ここまで言われてんだ。自分のことばっか考えてんじゃねぇよ」
中也先輩は私の頭を撫でて言った。
「彼奴らだけじゃねぇ。俺や首領や他の構成員から期待された人生だ」

「勝手に終わらせんな」


お題:終わらせないで
2023 11 29

11/29/2023, 12:38:08 AM