二次創作

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11/27/2023, 10:06:17 AM

二次創作 文豪ストレイドッグス
『無償の愛情を与えてくれる先輩夢主とそんなことが初めてで困惑する太宰(15)』(夢主、死ネタ注意)


「生きる意味が無いと思うのなら、私を生きる意味にしてみればいいんじゃないか?」
先輩は僕にそんなことを言った。
最初は「何をふざけたことを……」って思ったよ。
「先輩を生きる意味にする? 馬鹿なこと言わないでよ」
「やっぱ太宰はそう言うよねー。よし、じゃあこれから私は君に愛情を与えよう! あ、勘違いしないで欲しいんだけど、これは憐れみの意味とか同情とかそんなんじゃないから。それで君が大人になったら私に同じ分の愛情を返すんだ」
その日から、先輩は僕に愛情というものを与えはじめた。

任務で疲れて帰ってくると、何故か僕の部屋の鍵が開いていて「おかえりー」と笑顔でフライ返しを片手に出迎えてきたり、「ご飯出来てるよ」と言って作りたてのご飯がある。
執務室でずっと書類作成をしてると、「あと一息!がんば!」なんて言いながら僕の分の仕事を半分持っていく。ついでに淹れたてのコーヒーも置いていく。
僕が任務だったりで怪我をして帰ってくると、「大丈夫!? どっか痛いところとかある?」なんて大袈裟に心配する。

「先輩は何がしたいの?」
僕がある日ふと聞くと、先輩は
「え? 特になにも。太宰が大事だから心配したり、世話やいたりしちゃうんだよね」
なんて言う。
「それも愛情なの? 僕はこれを返さなくちゃいけないの?」
僕がそういうと先輩は、?という顔をした。
「あ、あぁ。あれか。あれはね、嘘」
「はぁ!?」
「ごめんごめんw あの時の太宰はああ言わないと素直に受け取らないだろうからさ。思えば、太宰は初めより随分丸くなったね」
先輩はふにゃっと笑って僕に言う。
「これも私の愛情のおかげ、かな?」
「……かもね」
柄にもなく、特に考えずに喋ってしまった。しまったと思って先輩を見たら、先輩は顔を赤くしていた。
「え、何その顔」
「ご、ごめん。珍しくデレたから」

あの日から3年が経った。
今は、先輩はもう居ない。先輩は織田作の死後、残っていたミミック兵に不意打ちされて死んでしまった。
先輩は、不意打ちの直前、私にこんなことを言った。
「やっぱり、私では君の生きがいにはなりえないな」
そう言って苦笑する先輩に、私は何も言わなかった。わざわざ言うのが恥ずかしかったから、いずれ言おうと思っていたからだ。けれど、こうなるのなら言っておけば良かったと何度も後悔する。

「とっくに私の生きがいになってましたよ」

先輩にあげたいもの。沢山あったのになぁ


お題:愛情
2023 11 27

11/27/2023, 2:52:18 AM

二次創作 文豪ストレイドッグス
『微熱の夢主ちゃんに気づく乱歩さん』



「うわ、最悪」
熱が出てしまった。よりにもよって鏡花ちゃんの入社祝いパーティーの日に。
どうしよう、解熱剤飲めばなんとかなるかな?
私は解熱剤を流し込み着替えて社に行く準備をした。

「おはよーございまーす」
私は元気(なフリをしているだけだが)に扉を開けて挨拶をした。
「𓏸𓏸さん、おはようございます」
一番最初に挨拶を返してくれたのは国木田くん。それに続いて賢治くん、谷崎兄妹、与謝野先生らが返してくれる。
「おはよ」
一番最後に短く挨拶を返したのは乱歩さん。
「おはようございます。……なんか機嫌悪いですね」
いつもなら、「おはよー!𓏸𓏸!!」とか言って引っ付いてくるはずなのだが、今日は私の事を見もしなかった。
「あの……乱歩さん?本当にどうしたんですか?なにかありましーー」
「𓏸𓏸!すまんが少し手伝って欲しいことがあるんだが」
乱歩さんの顔を覗き込もうとした時、国木田くんが私を呼んだ。どうやら飾りをどこに付ければいいのか分からなかったらしい。国木田くんにはそういった類のセンスはあまり無い。

「「鏡花ちゃん!入社おめでとー!!」」
無事サプライズは成功。現在、鏡花ちゃんは社員の着せ替え人形と化している。
私はというと……。

「うっ……気持ち悪い……」
絶賛トイレに引きこもり中である。
準備の時は微熱にまで下がっていたが、パーティーが始まってから薬の効果が切れたのか徐々に熱が上がっていって、それに伴い私の体調は悪化していった。
流石にそろそろ戻らないと怪しまれてしまう。
私はなんとか吐き気を抑え込み皆の所に戻ろうとした。
しかし、トイレを出て廊下を歩いている最中、急なめまいに襲われた。平衡感覚を失い、倒れる寸前、誰かが私の身体を抱きとめた。
「はぁー。ドクターストップ。もう家に帰って。これは命令だから。上司命令!」
乱歩さんだった。
「乱歩さん!?もしかして気付いていたんですか!?」
「当たり前だろ。本当ならすぐに家に帰したかったけど、𓏸𓏸が楽しみにしてたし、準備中はそこまで辛くなさそうだったから何も言わなかった」
そう言って乱歩さんは私の事を抱き上げた。俗に言うお姫様抱っこである。
「だけどここまでしんどそうなら強制的に家に帰らせる」
「え、ちょ、え!?」
熱があって良かった。顔から火が出るほど恥ずかしいけど元々顔が赤いからあまり変化は無いと思う。

そのまま乱歩さんは私の部屋まで運んでくれた。歩きますと言えば、「めまいで倒れそうなんだから大人しくしてて」と言われた。
「乱歩さん。ありがとうございました。あと、ご迷惑かけてすみません」
動けない私のかわりに布団を敷いてくれている乱歩さんに頭を下げる。
「いいよ別に。僕が勝手にやってるだけだから。それより、食欲は?何かたべれそう?」
「え?乱歩さん、パーティーに戻るんじゃないんですか?」
私がそう言うと乱歩さんは分かりやすくはぁ?という顔をした。
「何言ってんの?病人ほっとけるわけないでしょ。パーティーよりも今はこっちの方が大事」
あたかも当然のように言う乱歩さんにときめいてしまう。

その後も乱歩さんは付きっきりで看病してくれた。途中で社員の皆も様子を見に来てくれた。鏡花ちゃんに至っては「元気になったらクレープ食べに行こう」と言ってくれた。
夜、熱が上がって苦しかった時も隣に乱歩さんがいて「どうした?苦しい?」などと気にかけてくれた。

こうやって看病して貰えるなら体調不良も悪くないかも……なんて考えてしまう私は我儘かもしれない。


お題:微熱
2023 11 27