どこまでも続く青い空
貴方の居ない日々は、
果てしなく、暗い灰色。
全てがモノクロームでした。
咲き乱れる春の花々も、
夏の空に浮かぶ入道雲も、
赤や黄色に彩る木々も、
雪化粧した銀世界も、
貴方が居なければ、
何もかも、色を持たなくて。
私は、空を見上げます。
爽やかな風が吹き抜け、
頭上に広がるのは、
何処までも続く青い空。
そして、私の隣には…。
漸く再会できた、
誰よりも愛しい貴方。
貴方に再び会えて。
貴方がまた隣に居てくれて。
貴方が微笑み掛けてくれて。
空は、こんなにも、
美しかったのだと、
私は、漸く思い出しました。
青い空も。白い雲も。
赤い山も。黄色い木々も。
銀色の森も。白銀の野原も。
桃色の花も。若葉色の草も。
貴方と一緒なら、
私の世界は、こんなにも、
鮮やかに、彩られるのですから。
だから、もう二度と。
私を一人にしないで下さいね。
衣替え
半年前には、
当たり前に袖を通していた服も、
今は少しだけ、新鮮に映る。
爽やかな色のシャツや、
お気に入りのTシャツを、
仕舞い込むのは、
どこか寂しいけれど。
柔らかくて、温かな、
セーターに顔を埋めると、
懐かしい、あの冬の日の、
柔軟剤の香りが、ふわりと漂った。
鏡の前で、
ひとり、ファッションショー。
マフラーや手袋を手に、
少しだけ気の早い、
冬の装いを思い描いてみる。
だけど。
全然進まない、衣替え。
気が付けば、ボクは、
どんどん楽しくなっていた。
コートの出番は、もう少し先かな。
そう思いながら、
少しだけ、羽織ってみて、
鏡の前でくるりと回ってみる。
「遊んでばかりいないで、
さっさと作業を済ませなさい。」
いつものように、
彼奴のお説教が、
飛んできたけれど、
今のボクには、その声さえ、
不思議と、心地良かったんだ。
冬は、もうそこまで、
やって来ているんだ。
クリスマス、大晦日、お正月。
楽しい冬が、きっと、
ボク達を待っているから。
声が枯れるまで
オレはオレを罰する。
出来損ないのオレを、
叱り付ける為に。
何度も、痛みを身体に刻み込む。
青黒い痣が、皮膚を覆い尽くし、
裂けた皮膚から、血が滲む。
それでも、
オレはオレを赦さない。
赦しを請い、
声が枯れる迄、
虚空に向けて叫ぶ。
今は亡き母に向かって、
何度も謝罪を繰り返す。
…御免なさい。
…どうか、赦して下さい。
…良い子になるから。
出来損ないのオレを、
叱ってくれる母は、
もう居ない。
だから、
オレはオレを罰する。
生きている証を、
痛みで確かめる様に。
痛みによって、
縛られた身体が、
オレの代わりに声を上げる。
声が枯れる迄。
それは。
血の滲む叫びとなって、
響いた。
「誰か…助けて…」と。
始まりはいつも
始まりはいつも、
私から。
初めて出逢った君に、
声をかけたのも。
「友達になれるよね」って、
手を差し出したのも。
心の中で膨らんだ、
君への恋心を言葉にしたのも。
全部、全部、私から。
始まりはいつも、
私から。
朝の挨拶も。
何気ない会話も。
愛の囁きも。
全部、全部、私から。
そして。
君と喧嘩して、
暫く、険悪になったけど。
その、仲直りのきっかけも、
やっぱり、私から。
ねぇ。
偶には君から、
私に声をかけて。
そして、
君の心の中を教えて。
君の我儘を聞かせて。
君から私に甘えて。
始まりはいつも、
私から。
…じゃなくて。
始まりが、君からの、
「愛してる」が、
聞きたいんだ。
すれ違い
ずっと、忘れられない、
愛おしい貴方との、
あの温かな日々。
そして、突然の別れ。
私の正しさが、
貴方の心を、あんなにも、
傷つけてしまったなんて。
愚かな私は、
その事に気付け無かった。
貴方は私の元を去っていった。
「もう、愛情は無いんだ」
そんな、残酷な言葉を残して。
時が経てば、きっと、
貴方への未練も消えていく。
そう信じていた。
だけど、貴方への想いは、
消えるどころか、
胸の奥で、ずっと、ずっと、
燻り続けている。
ねぇ。
私が今でも、
貴方を愛していることも、
私が今でも、
貴方を待ち続けていることも、
本当は、知っているんでしょ?
なのに、貴方は。
私の事は、もう忘れてしまったなんて、
そんな優しい嘘を吐いて、
私の幸せを願い、
私の想い出の中からさえ、
消えようとするなんて。
それでも、ずっと、すれ違い。
…私はただ、
貴方に側に居て欲しいだけ、なのに。