霜月 朔(創作)

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10/18/2024, 6:17:35 PM

秋晴れ



澄み渡る秋の青空は、
哀しい程に、
蒼く高く深く、広がる。

そんな秋晴れの日は、
天にいるアイツが、
いつもより遠く感じられて。
込み上げる涙を、
ぐっと堪える。

手を伸ばしても、
空の彼方にいるアイツには、
決して届かない。
俺の掌は、
虚しく、空を掴むだけ。

アイツに会いたい。
この手で触れたい。
力一杯、抱き締めたい。
語りたい事も山の様にある。

だけど、
まだ、俺には、
やらねばならない事がある。

だから、
この穢れた地上で、
もう少しだけ、
藻掻き続けようと思う。

…悪いな。
もう少しだけ、
待っていてくれ。

10/17/2024, 6:26:39 PM

忘れたくても忘れられない



忘れたくても、忘れられない。
愛しいお前との、懐かしい日々、
そして、苦渋の別れ。

私はお前を傷つけた。
お前の正しさが、
あの日の私には、
ただ、苦しかった。

私はお前から、逃げた。
お前への恋慕は消えたのだと、
心にも無い言葉を吐いて。

時の流れが、
お前への未練を、
消し去ってくれると、
そう信じていた。

なのに、お前への想いは、
消えるどころか、
霞む事さえ無く、
未だ私の胸に、深く残り続ける。

お前が、今でも私を、
赦そうとしている事も、
お前が、今でも私を、
待っていてくれる事も、
本当は、気付いている。

それでも、私は、
お前との事は、
もう、忘れてしまったと、
お前にも、私自身にも、
嘘を吐き続ける。

それが、お前の幸せの為に、
今の私が、唯一、
お前に出来る事なのだから。

10/16/2024, 5:20:51 PM

やわらかな光



生まれてからずっと、
俺は不幸だった。
このまま、闇の中に沈んで、
消えていくのだと思った。

人の悪意に飲み込まれ、
藻搔く事さえ、無意味だと、  
全てを諦めかけた、その時。

俺は、優しく微笑む、
サンセットオレンジの瞳に、
出逢ったんだ。

少し控えめに、
俺に向けられたお前の瞳は、
とても温かくて。
全てを包み込んでくれる。
そんな気がして。

その瞳の色は、まるで、
1日の終わりを告げる、
夕焼けの様に、
温かくて、切なくて。
そして、柔らかな光。

お前が俺に与えてくれる、
その、柔らかな光は、
俺を闇から救い上げてくれた、
…大切な道標。

10/15/2024, 6:00:28 PM

鋭い眼差し



オレが過去の悪夢に囚われ、
自らを罰した夜も。
オレが闇に怯え、
孤独に閉じ籠もった夜も。

貴方の鋭い眼差しは、
静かにオレを見詰めてた。

貴方の鋭い眼差しを、
他人は、冷たいと恐れる。
だけど、オレは知ってる。
その冷たさの裏には、
優しさが隠れていることを。

甘い恋の語らいより。
優しい愛の囁きより。
貴方の鋭い眼差しは、
深く、静かに、
オレを満たしてくれる。

悪夢も闇も切り裂き、
貴方の眼差しが、オレを捉える。
鋭い眼差しに宿るのは、
強く研ぎ澄まされた、
貴方の…想い。

10/14/2024, 5:20:01 PM

高く高く


街を独り歩く。
俺の隣は、空っぽ。
ただ、風が吹き抜ける。

ほんの少し前までは、
人見知りな俺を心配して、
貴方が、横に居てくれた。
その温もりが、
俺の支えだった。

なのに。貴方は。
こんな俺を、一人、
地上に置き去りにして、
俺には、何も告げずに、
天へと駆け上がって行った。

俺の心の中には、
今でも、貴方の笑顔で、
溢れているのに。

貴方は、もう、
この世の何処にも居ない。

泣き声が溢れない様に、
きつく口唇を噛み、
涙が溢れない様に、
そっと天を仰ぐ。

高く、そして蒼く、
果てしなく広がる空。
この広い空の何処かに、
貴方が居る、そんな気がして。

俺は、貴方に届く様に、
高く高く、手を伸ばすんだ。

だけど、
貴方には、届かない。
俺の手は、ただ、
虚空を掴むだけ。

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