高く高く
街を独り歩く。
俺の隣は、空っぽ。
ただ、風が吹き抜ける。
ほんの少し前までは、
人見知りな俺を心配して、
貴方が、横に居てくれた。
その温もりが、
俺の支えだった。
なのに。貴方は。
こんな俺を、一人、
地上に置き去りにして、
俺には、何も告げずに、
天へと駆け上がって行った。
俺の心の中には、
今でも、貴方の笑顔で、
溢れているのに。
貴方は、もう、
この世の何処にも居ない。
泣き声が溢れない様に、
きつく口唇を噛み、
涙が溢れない様に、
そっと天を仰ぐ。
高く、そして蒼く、
果てしなく広がる空。
この広い空の何処かに、
貴方が居る、そんな気がして。
俺は、貴方に届く様に、
高く高く、手を伸ばすんだ。
だけど、
貴方には、届かない。
俺の手は、ただ、
虚空を掴むだけ。
10/14/2024, 5:20:01 PM