霜月 朔(創作)

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声が枯れるまで



オレはオレを罰する。
出来損ないのオレを、
叱り付ける為に。
何度も、痛みを身体に刻み込む。

青黒い痣が、皮膚を覆い尽くし、
裂けた皮膚から、血が滲む。
それでも、
オレはオレを赦さない。

赦しを請い、
声が枯れる迄、
虚空に向けて叫ぶ。
今は亡き母に向かって、
何度も謝罪を繰り返す。

…御免なさい。
…どうか、赦して下さい。
…良い子になるから。

出来損ないのオレを、
叱ってくれる母は、
もう居ない。

だから、
オレはオレを罰する。
生きている証を、
痛みで確かめる様に。

痛みによって、
縛られた身体が、
オレの代わりに声を上げる。
声が枯れる迄。

それは。
血の滲む叫びとなって、
響いた。

「誰か…助けて…」と。

10/21/2024, 6:45:40 PM