霜月 朔(創作)

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9/11/2024, 5:31:10 PM

カレンダー


壁に掛けられたカレンダー。

カレンダーに並ぶ、
数字を眺める度に、
貴方が居ない日々の長さを、
実感します。

そして。
一週間とは、
一ヶ月とは、
一年とは、
こんなにも長かったのか、と。
カレンダーを捲る度に、
溜息を吐くのです。

季節は巡ります。
昔は楽しみだった、
お正月も、お花見も、夏祭りも、
ハロウィンも、クリスマスも。
貴方が隣にいなければ、
それらは、単なる、
365日の中の1日にしか過ぎず。
どんな日々も、
淡々と過ぎていくのです。

そして。
すっかり心躍らなくなった、
カレンダーを眺め、
貴方が居なくて、
色褪せてしまった日常を、
私は、今日も過ごすのです。

9/10/2024, 7:08:15 PM

喪失感



俺も先生も友達も。
皆変わらず、ここに居るのに。
貴方だけが、ここに居なくて。

少し前迄は。
確かに貴方もここに居て、
俺や友達と一緒に、
下らない冗談を言ってたのに。

何時も通りのこの部屋に、
何時も通り皆が居るのに、
貴方だけが、居なくて。
俺は酷い喪失感に、苛まれる。

貴方が亡くなったなんて、
俺には未だ信じられなくて。
突然、この部屋のドアが開いて、
以前の様に、笑顔の貴方が、
入って来るんじゃないかなんて、
そんな事を考えてしまう。

拭い切れない、喪失感。
俺は未だ未だ、
貴方を失った悲しみの、
どん底に居るんだ。

9/9/2024, 6:15:50 PM

世界に一つだけ


例え、私が死んだとしても、
他の誰かが、私の席に座り、
そして私は、忘れ去られる。
只、それだけの事でしょう。

画一化された人材が求められる、
こんな社会では、
感情なんてものは、
有るだけ辛くて。
個性なんてものは、
有るだけ邪魔で。

それでも。
願わずには、要られませんでした。

もしも。こんな私を。
世界に一つだけの存在として、
赦してくれる世界があるならば。
私はどんなに幸せか、と。

私は。
私で在りたいのです。

ですから…。
お願いします。
有りの侭の私を、
世界に一つだけの存在として、
愛してはくれませんか?

9/8/2024, 6:55:56 PM

胸の鼓動



私は貴方の身体に、
ナイフを突き立てました。

貴方が憎いからではありません。
こんな醜い世の中に、
雁字搦めになって、
苦しんでいる貴方を、
救いたかったからです。

貴方の身体からは、
赤い血が止め処無く流れ、
貴方の胸の鼓動は、
次第に弱くなっていきます。

誰よりも大切な貴方に、
私が永遠の安らぎをあげます。
だから…。

…お休みなさい。愛しい貴方。



私は瀕死の君に、
必死に蘇生措置を試みる。

眼の前の君は、大量に出血し、
呼吸も心拍も止まっている。
君が助かる見込みは、
限りなく低いだろう。

君を死なせるものか、と、
私は力の限り、
君をこの世に留めようとする。
どんなに辛くて苦しくても、
君には、生きていて欲しいんだ。

圧迫止血をし、
心臓マッサージを繰り返す。
君の胸の鼓動が、そして呼吸が、
弱々しくも戻ってきた。

誰よりも大切な君に、
私が生きる喜びを教えてあげる。
だから…。

…お帰り。愛しい君。

9/7/2024, 5:53:41 PM

踊るように



明かりの灯らない、
蒼い月が照らす部屋で、
独り、踊るように、
ステップを踏む貴方。

まるで貴族の様な、
優美で華麗な身の熟しで、
誰もいない虚空を見詰めて、
そっと手を伸ばし、
優しく微笑む貴方…。

僅かに潤んだ、貴方の瞳には、
一体、何方が、
映っているのでしょう?

窓から差し込む月明かりが、
貴方の影を作り出します。
貴方は、とても楽しげに、
踊るように、ステップを踏んでいるのに、
貴方の影は、酷く悲しげに、
何方かを求めて、彷徨います。

大切な人と、踊るように。
独りきりの貴方は、
月明かりが照らす、
静かな部屋の中で、
夢に揺蕩っていました。

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