霜月 朔(創作)

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9/6/2024, 6:34:33 PM

時を告げる



満月の夜は、
言いようもない不安に襲われ、
眠れなくなります。

満月は私を狂わせます。
不安は焦燥感に変わります。
私は奥歯を噛み締め、
じっと耐えるのです。

私は耳を澄ませます。
夜明けの時を告げる鐘の音を、
只管に待っています。

夜が明ければ、
満月の恐怖から、
開放される。
そう信じて。

貴方の温もりを頼りにして、
貴方の手を握り締め、
貴方の鼓動の音に、
時が過ぎ行くのを重ねます。

……。
私と貴方の、
悪夢の戦いの夜の、
終わりを知らせる、
時を告げる鐘の音が聞こえた時、
私が正気で居られたら、
一杯褒めて下さいね。

9/5/2024, 6:11:33 PM

貝殻



ある地方では、
蛤は良縁を願う縁起物、だそうだ。

蛤の貝殻は、
対になってるもの以外とは、
ぴたりと合わないから…。
そんな理由らしい。

幸せを願う、貝殻。
なんかロマンチックじゃないか。
そんな事を思いつつ。

だけど、俺は。
蛤じゃなくて、鮑だな。

俺の事なんか、
全然気に留めてくれない、
彼奴の背を眺めて、
溜息を吐く。

…磯の鮑の片思い。

鮑は、ああ見えて、
巻き貝だから、
対になる貝殻は、ないんだとさ。

9/4/2024, 5:35:13 PM

きらめき



私はずっと、
絶望の中にいます。

血に塗れた手。
穢れた魂。
赦されない罪。
それは。
私が背負い続ける、
重たい重たい十字架。

死を選べるのなら、
どんなに、楽でしょう。

生きて行くことが、
唯一の贖罪ならば。
私は、どんなに辛くとも、
生きて行かねばならないのです。

絶望の中にあって。
それでも見付けた、
唯一の希望。
生命の煌めき。

貴方は、私の、
希望の煌めきなのです。

何も望みはしません。
こんなに罪深い私ですが、
其処に存在する貴方を、
見守る事が出来るなら。
…それが私の幸せです。

9/3/2024, 5:34:14 PM

些細なことでも


お前は心から俺を、
信用してくれている。

仕事上のトラブルは、
真っ先に俺に報告してくれるし、
職場内で見つかった問題も、
俺に必ず相談してくれる。
同僚同士のいざこざも、
直ぐに俺に教えてくれる。

だが。
トラブルや悩み事が、
お前のプライベートの問題の時は、
お前は酷く遠慮して、
俺に中々打ち明けてくれない。

俺は、お前の力になりたい。
どんな、些細なことでも。
何時でも、俺は、
お前の一番の相談相手に、
なりたいんだ。

我儘なのは、分かっている。
それでも俺は、
お前の全てになりたい。

些細なことでも、
全て俺に話して欲しい。
俺は全て受け止めるから。

9/2/2024, 7:03:13 PM

心の灯火



貴方と初めて出会った、あの日。
私の心の灯火は、
既に消えていました。

親に捨てられ、
誰も助けてくれず、
私の精神は、
すっかり病んでいました。

それを貴方が、
救ってくれたのです。

人を信用出来ず、
警戒心だらけの私を、
貴方は根気強く、慰め、
私に、人の温かさを、
教えてくれました。

貴方に出会って、
私は初めて、
優しさを知りました。
愛を知りました。

そう。
貴方が、私の心の灯火を、
灯してくれたのです。

私の心の灯火は、
全て、貴方のもの。
だから。
ずっと私の側に、
居て下さいね。

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