薇桜(引き継ぎ失敗しました💦)

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2/23/2025, 12:40:02 PM

 見知らぬ長い金髪の女性が、私の前に、魔物の視界から遮るように現れた。
「大丈夫。」
凛とした声で彼女はそう言い、槍を構えた。
 急に現れた彼女に対して、魔物は魔法攻撃を繰り出す。空気が震えるような感覚に、先程まで私を襲っていた魔法とは桁違いの威力であることがわかる。恐怖に私は震え上がる。
「へぇ…ちゃんと私の強さを読めるんだ。」
彼女はそう感心したように言った。
「でも、判断を間違えたね。」
彼女は槍を振るった。
 何が起きたのかわからなかった。ゆっくりと顔を上げてみれば、魔物は姿形もなく消えていた。
「た、助かった?」
彼女は私に寄ってくる。
「もう大丈夫。魔物はもういないよ。怪我はない?」
彼女は手を差し伸べてくる。
「お、お姉さん、何者?」
「旅人。」
「どうやって、倒したの?」
「強化魔法。」
「!」
私は彼女を警戒する。魔法は恐ろしいものだ。村を魔法使いの役人に奪われ、隣町への旅路で家族は魔物に殺された。
「どうかした?」
「お姉さん、魔法使いなの?」
「そうだね。…魔法が怖い?」
私が警戒していることに気づいていないはずがない。相当な魔法使いなことは、さっきの一瞬でわかっている。それなのに、彼女は終始穏やかだ。
「怖くない。怖いんじゃなくて、嫌い。嫌だ。」
私の全てを奪って、私自身を奪おうとした魔法なんて、大嫌いだ。
「そっか。」
彼女は、自分の武器を嫌と言われたのに、何ともないようにうなずいた。
「『怪我を治す魔法』。」
彼女がそう言った瞬間、私は体が軽くなった気がした。彼女を見れば、にこりと笑った。
「これも、魔法なんだ。便利でしょ?」
「…。」
私は何も言えなかった。
「ここは魔物の縄張りだから、とりあえず森を出ようか。」
私はうなずいた。彼女は手を差し伸べてくる。私はその手をとった。
「ねぇ。」
「なに?」
「魔法って…何なの?」
「なんだろうね。私は、人によって解釈は変わるとは思うよ。」
「…私は、魔法に全てを奪われた。」
「そう。」
彼女は私の話なんて興味なさそうだった。だから、すーっと言葉が出てきた。
「でも、お姉さんの、魔法に救われた。」
「そうだね。」
「魔法は、嫌いだと思ってたけど…魔法がなんなのか、知らないだけだった。」
「そっか。」
「お姉さん、私に魔法を教えてください。」
彼女は穏やかに微笑んだ。

2/7/2025, 9:19:03 AM

 …暑い…?違う、熱い。体が、熱い。
『目覚めたか。』
脳内に直接響く、低く聴き慣れた声。契約聖獣のユノアだ。目を開ければ、真っ暗闇。匂いからして、医務室だろう。
「うん…。」
『何があったか思い出せるか?』
『うん。ひどくやられたんだよね。大丈夫、記憶の混濁はないよ。ただ、体が熱い。』
『それは仕方ないと、ユーエンが言っておった。』
ユーエンは私を治療してくれた医者だ。
『わかってる。』
私はゆっくりと体を起こした。目が暗闇に慣れてくる。
『ユノア、スリッパとってくれる?』
私が言えば、器用にくわえて私の足元まで持ってきた。
『どこへ行く?』
『少し外に。』
寝てないといけないことはわかってるけど、こうも熱いと眠れない。ユノアは否定せず、静かに私のそばにいる。
 医務室の扉を開ければ、東の空が明るくなり始めていた。
「黎明。」
私はつぶやいた。そうだ、戦いは終わった。
「アイシェル。」
名前を呼ばれて、私は肩を揺らした。
「驚かしたみたいでごめんよ。」
振り向くと、頭に包帯を巻いたレイメイがいた。
「体は大丈夫なのか。」
「うん…。」
「そっか。」
私たちは、揃って夜明けを迎えた。
「静かだ。」
「…みんな、満身創痍だったからね。」
「こんな夜明けも、悪くないな。」
いつもはしゃいでうるさいレイメイらしくなく、静かに笑った。また、ここから始めよう。

2/5/2025, 6:52:52 AM

「ねぇ先生。この花すごいね。僕がこの教室で授業受けるようになってから、ずっと咲いてるよ。」
彼が私の研究室で学ぶようになってから4ヶ月。机に飾ってある花を指して彼は言った。
「そうだね、もうすぐ50年になるかな、その花飾ってから。」
「50年⁈先生いくつなの⁈」
「忘れた。」
彼が驚くのは無理はない、私は長寿の種族とのハーフで、おまけに童顔なようで、生徒にも間違われるくらいだ。
「…先生の魔法で枯れないの?」
私はかなり長い間研究しているから、その手のいろいろな魔法はたしかに使える。
「カンがいいね。でも魔法だけど、私のじゃない。」
「ふーん?じゃあずっと前の先輩ってこと?」
「そうだね。」
「すごいね、こんな魔法を完成させたんだ。」
彼は感心してつぶやいた。
「…それは、完成された魔法じゃないよ。」
「え?」
「それは、私を好きになっちゃった生徒が、私へのプロポーズのために研究した魔法『永遠の花束』。彼は生涯に渡ってこの魔法を生み出した。名前の通り、花を永遠に枯れないようにする魔法。」
「なんで未完成なの?」
「本当に永遠に枯れないかなんて、わからないから。」
「なるほど、だから先生にあげたんだね、その花束。」
「本当に鋭いね。その通り、ほぼ永遠を生きる私にその花束が永遠かを確かめてって言って逝ったよ。」
私はその花をなでた。
「ずるいよね、そんなことまでして、本当どういうつもりなのかね。私が手を加えて完成させることも、気になる人を思うこともできない。」
気になる人とか、いないけど。
「ねぇ先生、その魔法式、研究してもいい?」
「なんで?」
「僕だって、先生のこと好きだから。」
「…いいよ。言っておくけど、相当な式だよ。」
「そんなんで折れる心じゃないさ。」
「そっか。」
また保管しておく永遠の花束が増えるみたいだ。

1/17/2025, 10:29:29 PM

 ここは、魔力が澄んでいる。噂に聞いていた通り、自身の魔力と融合して、その者が望む幻覚までもが見えてしまうほど清い魔力だ。
「…私は君に会いたかったのかな。」
彼は微笑んだ。それが、彼だからなのか、私自身が見せてる幻覚だからなのかはわからない。
「僕は、君に会いたかったよ。」
彼は私に近づいて、私を抱きしめた。感覚はなく、やっぱり私の幻想なんだと思い知る。
 その瞬間、私の髪は宙になびいた。風はいたずらっ子だ。そんなこと、あのときから知っている。あのときの私を、君はどう思うのかな。
 風のせいで魔力は乱れ、彼の幻覚は消えていた。ここには、あらわになった首の後ろの傷を見る人は誰もいない。だから、少し安心していたし、同時に寂しくもあった。風はいたずらっ子だ、本当に。

1/13/2025, 8:40:23 AM

(日記)
 同窓会で、久しぶりに恩師に会った。他にたくさん人がいたにも関わらず、私を探してくれていた。私を見つけて、すぐに体の向きを変えた先生に、私の周りの人は恥ずかしがる私の背中を押してくれる。先生はぎゅっと私を抱きしめてくれた。私が知る限り、先生がハグしたのは、私だけだと思う。自惚れかも笑。友だちはツーショットを撮ってくれて、話し終えて戻った私を温かく迎えてくれた。もう、みんな好きすぎる。私がその先生のこと大好きなのが周知の事実なのはどうしてかわからない。でも、ほんとありがとう。夢みたいだった。次会うときも楽しみ。また抱きしめてほしいな〜

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