薇桜(引き継ぎ失敗しました💦)

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11/21/2024, 8:24:09 AM

 記憶喪失の少女と暮らすようになって1週間。彼女の手がかりはないかと、毎日彼女と出会った浜辺を歩いていた。3日ほど前に拾ったキャンドルに、彼女は懐かしいと言ったから、他にも何かあるといいなという希望を抱いて。
「今日も散歩かい、暇なんか。」
浜辺掃除をする、近くの宿屋の主人だ。
「やー、そういうわけじゃないが、ちょっと探し物をね。」
「何を探してるんだい?」
「…珍しいもの…?」
「なんだそりゃ。」
「あはは…。」
訝しげな主人に、おれは空笑いする。
「これは違うか?さっき拾ったんだ。」
そう言ってポケットから出されたものは、ピンクの真珠のような石だった。真珠ほどきれいな球ではなく、五角形に見えなくもない。何をかたどっているのかわからないが、それは、目を奪われるほど美しかった。
「…。」
「見惚れすぎだろ、ビー玉か何かだろうが。」
「だとしても、かなり丁寧に磨いていないとこうはならんだろう。それにビー玉なんて比べ物にならないと思うぞ。」
「まじかよ、こんな玉が?それじゃ、よっぽど大切なものなんだろうな。落としちまったなんて、かわいそうに。」
「主人、これ譲ってくれないか?もしかしたら、おれが探してるもののひとつかもしれない。」
あの少女のものではないか。彼女が何者なのかの手がかりになるのでは。
「お前のなのか?」
「いや、持ち主に心当たりがある。違ったら返すから、頼む。」
「まぁ、おれのじゃないから構わないが、そうだな、違ったら返してくれ、しばらくは宿で保管するからな。」
主人はあっさりとそのピンクの石を渡してくれた。

 家に帰ると、少女がニコニコと、今日は何を拾ってきたの、と聞いてきた。
「これ、見覚えあるか?」
おれは先ほど手に入れた石を見せる。
「…。」
彼女の目は釘付けになっている。
「やるよ。っていうか、お前のだろう?」
彼女は大切そうに石を受け取った。
「わかんない。でも、なんか、安心する。」
「そんなに磨いてあるんだ、宝物か何かだろう。もうなくすんじゃねーぞ。」
「うん。」
彼女は何か思い出した様子はなかった。何故その石が宝物なのかはわからない。だが、そんなことは今はどうでもいい。今のおれにとっては、記憶喪失で胸の内に何を思っているかわからない彼女のはにかんだ笑顔の方が宝物だ。

11/20/2024, 2:26:31 AM

 暗がりの中、不安そうに上目遣いでおれを見る少女。嵐で遭難し記憶喪失の彼女は、自分の名前も歳もわからないようだ。童顔の少女だと思う彼女は、おれが大柄なだけで、実は大人なのかもしれない。浜辺で倒れていたのは彼女だけだったから、もう何も知りようがない。
「大丈夫だ。」
おれは彼女の小さい頭をなでる。手の中で、彼女が動くのがわかる。
「待ってろ、今灯りをつける。」
おれはキャンドルを取り出して、火をつけた。
 パッと暗闇の中に彼女の顔が浮かび上がる。
「これは?」
不思議そうにキャンドルを指す彼女。初めてなのか、記憶がないのかわからない。
「キャンドル。」
「ふーん。」
彼女はそのキャンドルをまじまじと見つめる。
「青くてきれいだね。」
彼女と出会って3日。初めて彼女の笑顔を見た。
「今日は何があった?」
「何も?」
彼女は何故か楽しそうだ。昨日まで無表情だったのが嘘のようだ。
 そういえば、このキャンドルは今日たまたま浜辺で拾ったものだ。そのせいか、少し海の香りがする。
「何か思い出したのか?」
「ううん。でも、懐かしい匂いがした。」
「そうか。」
なんだかおれも嬉しくなった。

9/7/2024, 1:19:39 PM

(日記)
 今日行ったグラウンドは、とんぼがたくさん踊るようにとんでいた。…正直邪魔だった。今思えば、秋になってきたんだと思う。…いや、今日はめっちゃ暑かったわ。

9/4/2024, 11:21:56 PM

(日記)
 駅のホームに降りたとき、線路の石が黄色くて驚いた。もう銀杏の葉が落ちているのかと思った。黄色い何かをまいたようだった。

石が朝日を反射していた。

きれいだった。