書上 創

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3/31/2024, 2:15:44 AM

「なんでもない」

君がよく口にする言葉。
本当は、何かある癖に君は嘘をつく。
今だってそうだ、その体がかすかに震えている。

「…君は嘘つきにはなれないな」

俯いた君は、拳をぎゅっと握る。
それ以上、かける言葉は見つけられなかった。

僕に、告白をしようとしていた君。
でも、僕はさっき、そんな君の前で別の子から告白された。
君は、告白のタイミングを失って、なんでもないと誤魔化す。

別の子からの告白は、断った。
けど、君はそこまで見てなかった。
ごめんを言う事もできず、君は走り去っていった。

3/30/2024, 12:41:07 AM

何度も書き直した、紙が黒く濁るまで。
思った通りの話が書けない、焦りが募る。
こんなお話じゃダメだ、だれも読まない。

模索、試行錯誤、その繰り返し。

書き終えた頃には、手は真っ黒、鉛筆は親指くらいに縮んでいた。

書き終えた、ようやく。
ようやく書き終えたんだ、納得のいくお話を。
どうしようもないどん底の絶望、そこから這い上がって
ハッピーエンドにしていく。

僕にとってのハッピーエンド、読む人がどう感じるかは分からない。
けど、それでいい。
読んだ人が感じ取ったものが、このお話になる。
物語は、常に自由に感じ取れるものだ。
ハッピーエンドをどう思うかはその人次第。
君はどうこの物語を感じ取ってくれるかな、
それを考えるとワクワクするんだ。

3/15/2024, 9:58:42 PM

眼前に広がるは、溢れ落ちんばかりの星の海。
舟は進む、星の海を。
遠い世界、現世を離れた人々の魂を導く舟。

この星の海の何処かに、僕の会いたい人が居るなら。
今ここでこの星の海に飛び込んでしまおうか。

天国と見まごう星の楽園、そこに君が居ないなら
僕の居場所はそこにありはしない。

3/15/2024, 8:16:30 AM

桜の散る窓辺、白いカーテンが揺らめく病室。
穏やかな春の日差しに照らされる、やせ細った父の顔。
余命残りわずかな父の、数少ない面会の日。

私は、小さい頃から男手ひとつで私を育ててくれた父親が大好きだった。

『お見舞いに来たよ、パパ。』

末期の肺がんになった父は、見る間に痩せこけていった。
それでも変わらない、優しい父の眼差し。

「今日も会いに来てくれてありがとう、最近調子はどうだい…?」

父は体を壊しても、私の心配ばかり。
最後まで、そんな人だった。
安らかな瞳を開けたまま、窓の桜を見つめて、息を引き取っていた父。
納棺の時に、そんな父の棺の中に、桜の枝を一つだけ入れた。
父は、私に「さくら」と言う名前をつけてくれた。
桜の花が大好きな父からの、贈り物の名前。

3/9/2024, 10:37:44 AM

孤独のスポットライトは、わたし独りを照らしている。
あなたとの記憶は、どれも色鮮やかで、軽やかなもの。

だからこそ、ああ、それ故に

あなたが恨めしいの。

わたしをこんなにも簡単に置いていったあなた
わたしは今もあなたとの過去に取り残されている

過ぎ去った日々が戻らないように、
遠ざかったあなたとの距離は、
戻ることは無い。

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