5/24/2025, 6:12:20 AM
叶うならば貴方の腕の中に最期はいたい。
傷だらけの不器用なその褐色の手で強く抱かれるならば、私は早く死んだって、地獄へ逝ったっていい。
例えそれがどんなに痛い抱擁だって、永遠に忘れてやらないのに。
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『そっと包み込んで』
5/22/2025, 4:07:25 PM
ウチには珈琲カップなんて洒落たモンはなく、飲む物はただの缶珈琲。こんなのじゃ頭は冴えやしない。ソファに深く座り直し、デスクの資料から目を背けた。
ま、焦る必要なんてきっとない。今日の私は呑気屋さんなこったと、昨日の私がみれば叱責するだろうか。さあ、日の沈みかけた窓の外を見上げては悪戯に笑ってみせよう。
嗚呼、黄昏時の橙に狐が嫁入ったらしい。
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『昨日と違う私』
5/15/2025, 4:35:04 PM
胸を張って歩こう。丑三つの暗い街ではスーツの縒れに気付く者は居ないのだから。
つまらないと日々を嘆くならば、今宵はブル・ショットに乾杯しよう。今日が少し特別にみえるだろう。
安心し給え、私の奢りだ。
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『光り輝け、暗闇で』
5/13/2025, 3:39:17 PM
さようなら。例え幾度と輪廻を繰り返し、貴方の中の私の声が掠れ、体温が冷え切り、姿がぼやけ、香りを忘れてしまっても。
私が貴方の記憶の海底へ沈み、粉々になったとしても。私は陽の当たらない暖かな海の中で、幸せに眠れるわ。
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『記憶の海』
5/8/2025, 2:36:40 AM
クスノキの葉一枚と木々の間から漏れた陽の光を小瓶に詰めて、私は走り出す。これが、公園に行ったことのないらしい白く陶器の肌をしたあの少女が一等喜ぶプレゼントなのだ。
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『木漏れ日』