浜辺 渚

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5/11/2025, 3:56:51 PM

「このまま野球を続けたってどうしようも無いんだ。もう行き止まりで、これは僕をどこにも運んでくれないと思ってしまう」
「君は野球を続けてもどこにも行けないと考えている」
「そうだ」
「それは袋小路で、どこにも運んでくれないと」
男は見えない時間の砂を握りしめるように、右手を握ったり緩めたりしながら言った。
「でもね、君をどこかまともな場所に連れていってくれるものなんて限りなく無いと思うよ。いいかい、人生って言うのは自分で乗り物を選んで、行き先を決めるって風には出来ないんだ。そこには必ず不条理があって、不公平がある。1度乗ったのなら、身を任せればいい。そんなに難しく考える必要は無いさ」
「そういうものかな」
「大体においてはね」

5/10/2025, 3:45:01 AM

夢を描けとは言うものの、誰もその代償については言及しない。

5/8/2025, 4:39:35 PM

僕と彼女とを妨げる壁は物理的な距離なんかでは無い。それは元から届かないはずのものだった。アラスカの魚が自力で氷上に出れないように、そこには不自由で不自然な壁がある。

5/8/2025, 2:20:37 AM

木陰で本を読んでいると、ページに木漏れ日がおちる。それは風に揺れて様々な形を見せて、騒がしい影絵のように僕の心をワクワクさせる。

5/6/2025, 4:48:59 PM

人を愛する余裕なんて無かった人生だから、歌謡曲を聞いても特に僕の琴線に触れるものは無かった。稀にある人生の悲哀とか物悲しさを嘆いた曲を見つければ、雨降りに歓喜する農夫のように、有難くそれだけを聞いてきた。

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