月見茶

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4/22/2026, 1:55:36 PM

たとえ間違いだったとしても

 有栖は問うた。
「ねえ、貴方は何をもって間違いであると断言できるの?」

「教えて」

4/22/2026, 9:49:32 AM


 
 さくらの元に、雫が落ちてきた。
「雨……」
 さくらが、掌を向けると一つ、また一つと濡らしていく。
 さくらは傘を持っていなかった。普段ならニュースやスマホ等で天気をあらかじめ調べ、傘を持つことを忘れなかっただろう。
 誰かに迎えに来てもらうことも考えたはずだ。だか、今のさくらには思考する力はほぼなかった。
「帰りたい」
 ただ何処かへと。
「早く、帰りたい」
 足が雫が降り注ぐ中へと進める。
 たちまち、さくらの髪が、服が、体が濡れていく。
 さくらは気にすることなく、歩き続けた。

 果たして、彼になにがあったのだろうか。

4/20/2026, 2:34:07 PM

何もいらない

 さくらは、ある人の元へ走る。周りが、羽交い締めにしようとするのを振りはらい、腰を掴もうとするのを転びながらも、避けた。
 周りの大人は、さくらを座敷牢に閉じ込めたいのだ。誰にも目に触れさせないために。
 さくらは閉じ込められるのは受け入れた。所詮、自分の人生は管理されるべきものと諦めていた。  
 だか、さくらにとって命と同じか、それ以上に大切な人がいた。自分の従者であり、彼の人生に常に寄り添い続けていた存在。
「あるじさま」
 彼から呼ばれることで、さくらはなんとか生きてきた。
 
 さくらはぼろぼろになりながら、屋敷の外に出る。
「  」
 さくらは息も絶え絶えに、従者の名を呼ぶ。返事は聞こえないが、下から何かを叩いている音がかすかに耳に入った。
「  ?」
 階段を駆け下りていくさくらの足は血にまみれていた。多大な激痛がするはずだが、彼は無我夢中で従者がいる所へ走る。
「あるじさま、ここです!   はここにいます!」
「  !」
 従者の声に、さくらはついに門へと辿り着く。今まさに従者は締め出されると言ったところだ。
「待って、待って、やめて!」
 途端時間が止まったかのように門扉の動きが止まった。
「……あ、あるじ、さまっ……」
 従者はその光景を一瞬だけ目に映したが、すぐにさくらへと走り出す。さくらも従者の元へと行く。

「  」
「あるじさま」
 二人は座り込むような姿勢で互いを抱き締めている。
 従者は、さくらの足の怪我を心配そうに見ていたが、主の手の力が強くなったのを感じると、そちらに意識を向けた。
「  。お願い、側に居て」
「……よろしいのですか。わたくしは……」
「貴方は私の  。一緒に生きて。例え、国の者であろうと、もう、私、貴方がいないと立ち上がれない」
「あるじさま……」
「何もいらない。欲しくない。だから」

「是と言って、  」

4/19/2026, 2:13:21 PM

もしも未来を見れるなら

 カーテンを閉めようとした朔良は、後ろに居る圭に話しかけられる。
「もし未来が見れたら、あんたはどうする?」
「無視する」
 間伐入れずに答えた朔良に、圭は一瞬息を呑んだ。
「無視!? 無視ってあんた……明らかに損じゃない。てか、無視って何よ。」
「見ないふりをするだけ。例えば、僕の視界に入ったそのば限りの人が、三十秒後に車に轢かれる未来が見えた。もし、君ならどうする?」
「え? んと、あ、注意する」
「どうやって?」
「それは……未来視とか言って……」
「頭がおかしい人で終わるだけだね。それに、僕は他人だろうと、身近な人だろうと、未来視を無視する」
「なんでよ? 人助けとか出来ていいじゃない?」
 圭の不満そうな声に朔良は、カーテンを閉めながら答える。
「だってどうでもいいんだよ、未来なんて」
「は?」
 朔良が振り向く。携帯端末の通知音が響く。
 圭は、朔良を見て唖然とした。彼の表情には、何かを感じ取ったのかもしれない。
「僕に、未来というものはないからさ」
 朔良は、携帯端末を握りながら、圭から顔をそらした。

4/18/2026, 4:02:09 PM

無色の世界

 姫依は職を失った。
 
 初日、姫依はあらゆる縛りから解放されたことを喜んだ。読めなかった小説を沢山読んだ。世界に没頭した。
 
 二日目、姫依は、久々に朝寝を楽しんだ。次に目が覚めたのは、日が頂点に達していた。
 
 三日目、姫依は、自炊が億劫になり、初めてピザをデリバリーした。大きく分厚い生地にはニンニクとイベリコ豚の香ばしい香り。サイドメニューのポテトはカリカリしていて歯ごたえがよく、ナゲットはしょっぱく感じた。
  
 四日目、昼に目が覚めた姫依は、不意に虚しさを感じた。部屋が何故か雑然として見える。
 今まで感じることのなかった違和感が姫依の中に入ってくる。

 五日目、明け方に姫依はベットの上に座り込んでいる。明かりを着けない部屋は黒一色だ。
 姫依はじっと黒を見ている。

 六日目、姫依はカーテンを開けても、部屋に色がついていないように感じる。何処を見ても白、白、白。
 姫依は何故か空腹を感じなかった。

 七日目に、姫依の瞳孔は開いたままになるところだった。
 姫依は無意識に、机に無造作に置いていたパソコンを開き、起動させた。
 姫依の瞳は右往左往するが、何処までいこうが、白しか認識出来なかった。

 

 八日目、遂に姫依は、赤、青、白の三色を取り戻すこととなった。

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