月見茶

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 さくらの元に、雫が落ちてきた。
「雨……」
 さくらが、掌を向けると一つ、また一つと濡らしていく。
 さくらは傘を持っていなかった。普段ならニュースやスマホ等で天気をあらかじめ調べ、傘を持つことを忘れなかっただろう。
 誰かに迎えに来てもらうことも考えたはずだ。だか、今のさくらには思考する力はほぼなかった。
「帰りたい」
 ただ何処かへと。
「早く、帰りたい」
 足が雫が降り注ぐ中へと進める。
 たちまち、さくらの髪が、服が、体が濡れていく。
 さくらは気にすることなく、歩き続けた。

 果たして、彼になにがあったのだろうか。

4/22/2026, 9:49:32 AM