生きる意味
「貴方が生きているのは何故?」
「愚問ね」
有栖は目の前にいる女に啖呵を切るが如く吐き捨てた。
「生きてる価値があるとでも?」
「勿論。あるから今も此処で息をしているんだから」
有栖は気だるげに頬杖をついた。女の質問に対して睨めつけるような態度を取り続ける。
「あんた、将来悪女とか言われそうね」
「それはお互いそうじゃない? まあ、貴方の今世では無理そうだけれど」
「言うじゃない、不遜家様。いや、自信家様?」
「人生は自信を持ってこそ生きやすい。当たり前のことを母親の子宮に忘れてきたの? 可哀想な御方」
有栖は何処か楽しそうに、女を言葉でいたぶる。彼女の顔には醜さではなく妖艶さが漂っていた。
「関係ないでしょ。生きてる価値なんかホントにないくせに」
「さっきと同じこと言ってくるのね。その価値を決めるのはあくまで私。貴方に割り込む隙はないのよ」
女は顔を赤くし、有栖を睨みつける。
「ようやく、ぐうの音をあげたわね。面白い茶番だったわ」
有栖は立ち上がり、女に背を向けた。
「ああ、言い忘れてたわ。私が生きる理由」
彼女は愉悦の笑みを浮かべていた。
「貴方のような人を打ち負かす為……ということにしておくわ」
善悪
飛夏は授業中考えていた。
――善悪とは何をもって定義される?
飛夏の暇つぶしは高度なものだった。
だが、この問題にはまだ最適な回答が出ないままに時間が過ぎていった。
流れ星に願いを
早苗は星に願った。
「どうか、色を。私に何でもいいから、色を、ください」
ルール
有栖は本を捲りながら、青年に告げた。
「私には私なりのルールがある。例えば」
パンッと小気味のいい音を立てて本を閉じた有栖は青年を睨めつけた。
「読書を邪魔した奴とは仲良くなれないって、ねえ?」
今日の心模様
有栖は緑色の扉を開けた。彼女の瞳に映るのは、茶色い壁と、黄色、水色、緑色など色とりどりの背表紙。
有栖の心は舞い踊る。彼女は本が好きなのだ。古今東西、ジャンルも問わない。
有栖は本の虫だ。常に食べ続けないと生きていけないほどに。
有栖は早速近くの本を手に取った。わくわくした表情でページを捲り始める。
書店の窓からは青空が広がっていた。まるで有栖の心模様を表しているようだった。