瑪瑙

Open App
4/29/2024, 10:30:20 PM

君が引っ越してから1ヶ月が経った。
僕はまだ君がいない生活に慣れないよ。

君が引っ越してからも、僕の生活リズムは変わらなかった。

君と同じ時間に登校できるように、いつもと同じ時間に準備をする。
君と音楽室で昼ごはんを食べるために、昼休みになったら弁当を持って音楽室に行く。
放課後は、図書委員の君に会いに、図書室へ。
そのまま、最終下校時間まで図書館で勉強をして、君と一緒に帰る。

全部、隣には君がいたのに。
同じリズムで生活しても、もう隣に君はいない。
君が隣にいないことには、全然慣れない。
僕の心の中は、ぽっかりと大きな穴が空いてしまった。
君がいた時と同じ行動をしているのは、その穴を誤魔化すため。



願っても許されるのならば、君に会いたいと願いたい。
僕の想いよ、風に乗って君に届け。

4/28/2024, 11:46:59 PM

貴女のために剣を振るった。
そんな貴女はもういない。
私と貴女が交われたのは、ほんの一瞬。

貴女は僕にこう言ってくれた。
「私を一生守ってね」

でも。


彼女の最期は突然訪れた。


彼女はこの国の王。
王がいないと、国は廃れていく。
だから、民たちにとって、彼女はかけがえのないもののはずだった。
だが、政治の全ての問題は王である彼女に押し付けられていたために、彼女を批判するものは少なからず存在していた。
そんな批判的な民が、彼女を殺し、次の王になろうと目論んでいた。
だから、私は彼女を守らなければならなかったのに。
私は彼女を守りきることは出来なかった。
最期の瞬間はこの目にしっかりと焼き付いている。

彼女が最期に私に言った言葉。
「ありがとう」


貴女は私の命の中で、一瞬の時しか生きていない。
私にとって貴女が全てだった。
あの日、「ありがとう」と言われても、私は私を責め続けた。
当たり前だ、私のせいで貴女は死んだ。
私がもっと強ければ貴女は死なずに済んだのに。



私がもう一度、貴女を守ることが許されるのならば、
私は貴女にこう言う。

「命をかけて守ってみせます。」

4/27/2024, 11:52:28 AM

生きる意味なんかないよ。
本当はもう死んでいる予定だったんだ。
僕は小学生の頃から、18までしか生きていない予定だったのに。
なんで生きてるんだろう。
毎日考えるけど、答えは一向に見つからない。
これから先も答えが見つかることは無いだろう。

あぁ、早く死にたい。

4/26/2024, 3:48:54 PM

「これは良いことかなぁー?」
俺は問う。
「……。」
───ドォン
「おい答えろよ!!」
俺の足が怒りに任せて近くにあった机を蹴る。


数時間前のこと。
俺の後輩がミスをしたと報告してきた。
どういうミスか。
それは、俺の作った資料を消してしまったのだと。
今日プレゼンがある、その資料を。
俺の昇進がかかっていた。
俺はこの3カ月、このプレゼンにかけてきた。
それは皆知っていた。
それほどに本気だった。
だから、報告を受けた時、何も考えられなかった。
唖然とした。
後輩は何度も謝った。
許せるわけもなかったが、プレゼンに少しでも間に合うように、資料を作り直した。

プレゼンは大失敗。
「君は何なんだね。」
と言われる始末。
ここで事実を言ったところで、配慮なんかしてもらえるわけもない。
心の中に押し殺した感情。
苦しかった、悔しかった、泣きそうだった。
全てが終わり、自分のデスクに戻ってきた時、ふと、会話が耳に入ってきた。

「これであいつの昇進はなくなったな。」
「良かったやん笑 これでお前、あいつより上行けるんちゃうん?」
笑い声が聞こえる。
その笑い声は、謝ってきた後輩の声によく似ている。
「でも、なんで失敗したん?めっちゃ準備して完璧やったやん。」
「そんなん簡単やん。消したんやわ、資料。一応さ、ミスってことで謝っといたし、全然疑われてないけどな。」
笑い声。
最後の声。
後輩の声だ。
あぁ、そういうことか。
くっそ、もう、笑けてくるな。
情けないなぁ。


俺は後輩の元へ向かう。
やっていい事と、悪いことがあるだろう。
そんなに俺を抜かしたいなら、実力で抜かせよ。
その時の俺は泣いていたのか、笑っていたのか、覚えていない。


「おい!!聞いてんだろ!!」

「落ち着け!!お前はよく頑張ったよ!」
必死に俺を止める声。
そんなん関係ない。


「言えよ!!やった事がいいか悪いか!」

4/25/2024, 1:24:27 PM

「ねえ。もしさ、流れ星見たらどんな願いごとする?」

君は僕にそう問うた。
「どうしたの、急に。」
「いや、なんとなく。」
そういった君の顔には「何となくなんかじゃないよ」って書いてあった。

君は隠し事をするのが苦手だ。
前に、僕の誕生日をサプライズで祝ってくれた時、1週間前から様子がおかしかったよね。
会う度会う度、そわそわして、見てて滑稽だった。
僕の誕生日の日、予想通り君はサプライズをしてくれた。
その時君は、サプライズが成功したと思って誰よりも喜んでた。
そんな純粋な君が僕は心から好きだ。
LoveじゃなくてLikeのほう。

そんな君だから、今回「流れ星に願い事をする」ことに対して、何か隠してるんだろうな。
君は純粋な上に、優しい。
僕を傷つけまいと隠し事をすることも多い。



流れ星の話をして数日が経った。
君は深刻そうな顔をして僕に話しかけてきた。
「話があるんだ。」
「うん。どうしたの?」
「僕、引っ越すんだ。」
ああ、そういう事か。
「僕、昨日流れ星を見たんだ。引っ越したくない、君といつまでも友達でいたいって願ったよ。」
掠れそうな、消えてしまいそうな、弱々しい声でそう言う。
「いつなの?引っ越し。」
「次の土曜日。」
あと三日しかない。
君は僕が傷つかないようにギリギリまで迷っていたんだね。
言うか言わまいか。
気を使わないように、ギリギリになってから言った。
君らしい。

嫌だ。
本当は君と離れ離れで過ごすのはとても嫌だ。
でも、そんなことを言ったら、優しい君は困ってしまう。
だから、僕は泣きそうな笑顔でこう言った。
「そっか。元気でね。」
それともう1つ。
「明日遊びに行こう。どこがいい?」
なるべくいつも通りを装いたかった。




僕が今、流れ星を見たのならば、願いは2つ。

───君がいつまでも傍にいてくれますように。
──────君といつまでも友達でいられますように。

Next