瑪瑙

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「ねえ。もしさ、流れ星見たらどんな願いごとする?」

君は僕にそう問うた。
「どうしたの、急に。」
「いや、なんとなく。」
そういった君の顔には「何となくなんかじゃないよ」って書いてあった。

君は隠し事をするのが苦手だ。
前に、僕の誕生日をサプライズで祝ってくれた時、1週間前から様子がおかしかったよね。
会う度会う度、そわそわして、見てて滑稽だった。
僕の誕生日の日、予想通り君はサプライズをしてくれた。
その時君は、サプライズが成功したと思って誰よりも喜んでた。
そんな純粋な君が僕は心から好きだ。
LoveじゃなくてLikeのほう。

そんな君だから、今回「流れ星に願い事をする」ことに対して、何か隠してるんだろうな。
君は純粋な上に、優しい。
僕を傷つけまいと隠し事をすることも多い。



流れ星の話をして数日が経った。
君は深刻そうな顔をして僕に話しかけてきた。
「話があるんだ。」
「うん。どうしたの?」
「僕、引っ越すんだ。」
ああ、そういう事か。
「僕、昨日流れ星を見たんだ。引っ越したくない、君といつまでも友達でいたいって願ったよ。」
掠れそうな、消えてしまいそうな、弱々しい声でそう言う。
「いつなの?引っ越し。」
「次の土曜日。」
あと三日しかない。
君は僕が傷つかないようにギリギリまで迷っていたんだね。
言うか言わまいか。
気を使わないように、ギリギリになってから言った。
君らしい。

嫌だ。
本当は君と離れ離れで過ごすのはとても嫌だ。
でも、そんなことを言ったら、優しい君は困ってしまう。
だから、僕は泣きそうな笑顔でこう言った。
「そっか。元気でね。」
それともう1つ。
「明日遊びに行こう。どこがいい?」
なるべくいつも通りを装いたかった。




僕が今、流れ星を見たのならば、願いは2つ。

───君がいつまでも傍にいてくれますように。
──────君といつまでも友達でいられますように。

4/25/2024, 1:24:27 PM