たーくん。

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8/12/2025, 11:04:12 PM

あちこちの木々から聞こえてくるセミ達の合唱。
今日は約束があり、公園前で待っていた。
ミーン!ミンミーン!
セミの鳴き声を聞いていると、嫌な記憶がよみがえる。
幼稚園児の頃、地面に落ちて動かなくなったセミに近づいたら、息を吹き返してバタバタ暴れ始めて、びっくりして走って逃げた記憶。
中学生の頃、突然セミが飛んできて肩に止まり、ミーン!ミーン!と鳴き始めて一緒に叫んだ記憶。
他の夏の記憶は……暑いから冷たい物を食べたり飲んだりしまくって腹を壊したり……。
一人で夏祭りへ行き、カップルだらけの中を歩いて寂しい思いをしたり……。
今思えば、ろくな記憶がないな。
だけど、これからは。
「ごめ~ん!お待たせ!待った?」
彼女が早足で俺の元へやって来た。
最近付き合い始めた、人生初の彼女だ。
「いや、俺も今来たところだから大丈夫。暑いし、涼しい所へ行こうか」
「うんっ」
今までの夏は、ろくな記憶がなかったけど、これからは彼女と過ごした夏の記憶が上書きされていくだろう。
いや、夏だけじゃなくて、秋も、冬も、春もだ。
俺は彼女と手を繋ぎ、幸せを噛み締めながら一緒に歩いた。

8/11/2025, 11:35:52 PM

空から熱い視線を送ってくる太陽の光。
彼女と一緒に、近くの広い公園で手を繋ぎながら歩いていると、あちこちからセミ達の合唱が聞こえてくる。
最近は家デートが多かったから、今日は外でデートしようと俺から提案した。
だが、今日は一段と暑くて、身体が溶けてしまいそうだ。
何か、冷やす物が欲しい……。
俺の思いが届いたのか、公園内にアイスクリームを販売しているキッチンカーを発見。
彼女の手を引き、キッチンカーの元へ向かう。
購入したのは持ち手がコーンで、上にバニラアイスが乗っている王道アイスクリーム。
彼女も、俺と同じのを選んでいた。
歩きながら、早速アイスのてっぺんにかぶりつく。
冷たくて、甘過ぎず、やわらかいバニラの味が口の中で広がる。
バニラうめぇ……。
彼女はハムスターのように、てっぺんから少しずつ食べている。
可愛いなぁ……。
セミ達が俺達を見て嫉妬したのか、さっきより鳴き声が大きくなる。
俺はあっという間にアイスを完食したが、彼女はまだ半分ぐらい残っていた。
彼女の手元を見ると、暑さで溶けたアイスがたら~っと指の上を流れている。
「アイス溶けてきてるぞ」
「あっ、ほんとだ。早く食べないと……」
彼女は大きく口を開けてアイスにかぶりつこうとしたが、あごにアイスが当たり、アイスはコーンからこぼれて地面へ落ちていく。
「っとととと!」
地面に落ちる前に、俺は両手でアイスをキャッチした。
「ご、ごめ~ん!でも、ナイスキャッチ!」
あごにアイスを付けた彼女が、コーンを持ってない方の手でグッドポーズをする。
「つ、冷たい……」
だが、アイスは手の温度で更に溶けていき、指の隙間から雨漏りのように、地面へ一滴一滴落ちていく。
「これから先も、こんな風に支え合っていきたいね」
溶けていくアイスのことはお構い無く、彼女は未来を語っている。
「そうだな……。これから先も、ずっと一緒に居ような」
「うんっ!」
結局アイスは全て溶けて、手がベトベトになってしまったが、彼女との距離が一段と縮まったので、結果オーライだ。

8/11/2025, 12:12:24 AM

放課後の私以外誰もいない、シーンと静まった教室。
窓際の席から外を見ると、夕陽がこっちを見ていて、目が合う。
彼氏に別れを告がれてから一週間。
ただでさえすごく落ち込んでいたのに、今日は彼氏が女子と手を繋いで歩いているのを見かけてしまい、更に落ち込む。
だからこうして、一人で教室でぼーっとしているのだ。
はぁ……私も夕陽のように溶けてしまいたい。
「なぁ~に黄昏てるんだよ」
ぶっきらぼうな声が教室内に響く。
振り返って確かめる必要はない。
この声は、間違いなく幼馴染みの健だ。
一人になりたいのに、なんでこういう時に限ってコイツが来るんだろう。
「まだ元カレのことで引きずってるのか?」
「うっ……」
しかも傷をえぐってくるし、なんなのコイツ……。
「まぁ、別れて正解だったんじゃないか?あいつ、今は別の女と付き合ってるし、浮気癖があるって噂だしな。合わなかったんだよ、お前と」
「……」
何も言えなかった。
友達にも「浮気癖があるみたいだから気をつけたほうがいいよ」と言われていたからだ。
「……で?あんたはここへ何しに来たのよ?」
振り返らず、夕陽に向かって健に言った。
「ふら~っと廊下を歩いてたら、下校時間なのに教室で動かない奴がいたから声を掛けたんだよ」
「ふ~ん……」
「最近は陽が落ちるのが早くなったからな。暗くなる前にさっさと帰ろうぜ。家まで送ってやるよ。ついでに愚痴も聞いてやるからさ」
「なによ、それ……」
それじゃまるで、私を励ましに来たみたいじゃない。
こういう時にやさしくされるの……なんか、ずるい。
「仕方ないわね……たーーーっぷり愚痴聞いてもらうから覚悟しなさい」
「ドンと来いだ。さっ、行くぞ」
振り返ると、健は私の鞄を持って、教室から出ようとしていた。
「ちょっと!待ちなさいよ!もう!」
私は夕陽と別れを告げ、健のあとを追いかけた。

8/9/2025, 11:23:02 PM

夜空に次々と打ち上げられていく、色とりどりの花火。
俺は彼女と一緒に花火を見に来ていた。
今日は、緩やかな風が吹いている。
風が肌を優しく撫でてくれて、気持ちいい。
隣を見ると、彼女の髪は風でなびいていて、思わず見とれてしまう。
「どうしたの?私をじっと見て?花火、綺麗だよ?」
俺の視線に気づいたのか、彼女は俺を見て言った。
「花火も綺麗だけど、花火を見ている姿が綺麗だなぁって思ってさ」
「もぉー、さらっとそういうこと言わないでよー」
顔を赤くしながら、俺の肩を軽く叩く彼女。
思ったことを言っただけなのになぁ。
再び空を見上げ、花火を見る。
クライマックスで、沢山の花火が打ち上がり、夜空に無数の光の花が次々と咲く。
俺と彼女は感動の声をあげながら、花火を満喫した。

8/8/2025, 9:59:04 PM

目の前に映る、俺の嫁と幼い子供達がいる幸せな家庭。
この幸せは夢じゃない。自分の手で手に入れたものだ。
これから先も、この幸せが夢で終わらぬよう、大切にしていこう。

三年後。
「もうあなたとは一緒にいられない。離婚よ。子供達は私が引き取るから」
嫁と子供達が家から出ていき、突然の孤独が訪れる。
これは夢だ。悪い夢なんだ……。
信じられない現実に、俺は頭の中で現実逃避を繰り返した。

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