たーくん。

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空から熱い視線を送ってくる太陽の光。
彼女と一緒に、近くの広い公園で手を繋ぎながら歩いていると、あちこちからセミ達の合唱が聞こえてくる。
最近は家デートが多かったから、今日は外でデートしようと俺から提案した。
だが、今日は一段と暑くて、身体が溶けてしまいそうだ。
何か、冷やす物が欲しい……。
俺の思いが届いたのか、公園内にアイスクリームを販売しているキッチンカーを発見。
彼女の手を引き、キッチンカーの元へ向かう。
購入したのは持ち手がコーンで、上にバニラアイスが乗っている王道アイスクリーム。
彼女も、俺と同じのを選んでいた。
歩きながら、早速アイスのてっぺんにかぶりつく。
冷たくて、甘過ぎず、やわらかいバニラの味が口の中で広がる。
バニラうめぇ……。
彼女はハムスターのように、てっぺんから少しずつ食べている。
可愛いなぁ……。
セミ達が俺達を見て嫉妬したのか、さっきより鳴き声が大きくなる。
俺はあっという間にアイスを完食したが、彼女はまだ半分ぐらい残っていた。
彼女の手元を見ると、暑さで溶けたアイスがたら~っと指の上を流れている。
「アイス溶けてきてるぞ」
「あっ、ほんとだ。早く食べないと……」
彼女は大きく口を開けてアイスにかぶりつこうとしたが、あごにアイスが当たり、アイスはコーンからこぼれて地面へ落ちていく。
「っとととと!」
地面に落ちる前に、俺は両手でアイスをキャッチした。
「ご、ごめ~ん!でも、ナイスキャッチ!」
あごにアイスを付けた彼女が、コーンを持ってない方の手でグッドポーズをする。
「つ、冷たい……」
だが、アイスは手の温度で更に溶けていき、指の隙間から雨漏りのように、地面へ一滴一滴落ちていく。
「これから先も、こんな風に支え合っていきたいね」
溶けていくアイスのことはお構い無く、彼女は未来を語っている。
「そうだな……。これから先も、ずっと一緒に居ような」
「うんっ!」
結局アイスは全て溶けて、手がベトベトになってしまったが、彼女との距離が一段と縮まったので、結果オーライだ。

8/11/2025, 11:35:52 PM