たーくん。

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12/7/2025, 10:06:16 PM

息を吐くたび出る、白い吐息。
今日は一段と寒い日だ。
こうして自分の白い息を見ると、生きてるって感じがする。
……暖かくしたつもりだが、寒い。
ブルブルと身体が震える。
じーっと待っているのは辛いなぁ。
まぁ、こうして寒くて震えてるのも、生きてるって証拠。
早く来ないかなぁ……。
「ごめんごめん!お待たせ!」
白い息を吐きながら、彼氏が走ってきた。
「寒くて凍っちゃうかと思ったよぉ」
私は息を切らす彼氏に、冗談混じりで白い息を吐きながら言い返す。
お互いの白い吐息が交差し、交わる。
この光景は冬にしか見れないから、私は好きだ。

12/6/2025, 11:53:31 PM

まるで人がいなくなったかのような、静か過ぎる深夜の住宅街。
家の灯りは当然点いておらず、街灯しか灯っていない。
ふう……今日も残業で疲れた。
帰ったら、ゆっくり湯船に浸かろう。
帰宅後のことを考えながら歩いていると、あっという間に我が家に到着。
我が家だけ、灯りが点いている。
「ただいまー」
「おかえり〜。今日もお疲れさま」
家の中に入ると、すぐに妻が出迎えてくれた。
帰りが遅くても、こうして出迎えてくれると心が温かくなる。
でも、遅い時間まで俺を待っている妻に申し訳なく思う。
「俺が帰ってくるのを待たずに寝てくれたらいいのに」
そう言うと、妻は「ふふっ」と微笑む。
「帰ってきて誰かが出迎えてくれたら嬉しいでしょ?」
「あ、ああ……そうだな……嬉しい」
「あなたがそう思ってくれてるから、私は苦じゃないよ」
うーむ……可愛いじゃないか。
そう言われると、早く寝ろと言えなくなる。
「それに、家の灯りは消さずに点けておきたいからね」
「どうしてだ?」
「家が暗いと気持ちも暗くなっちゃうでしょ?だから明るくしておきたいの」
確かに、妻の言う通り、家が明るいと気持ちがほっとする。
待ってくれている妻に感謝しないとな。
「そっか……いつもありがとな」
「あなたもいつも遅くまで仕事お疲れさま」
妻からも感謝され、更に心が温かくなる。
家の灯りが点いているか点いていないかの違いで、こんなにも違うのだと、改めて思った。

12/5/2025, 11:21:26 PM

夜の街をキラキラと光輝かせているイルミネーション。
昔はこんなに街が明るかったのか。
数分間じーっと見てしまうほど、数百年前の写真に魅了されてしまう。
それに比べて、今の街は……。
どれも同じ形と色の建物、夜は薄暗く、見ててもすぐに飽きてしまう。
資源節約のためだと、政府からの命令でこうなったらしい。
こんなキラキラしてない街並み、楽しくないな……。
おっと、あまり感情を出すとロボット警察官に職質されてしまう。
急いで、無感情モードに切り替える。
写真を体内へしまい、我々人型アンドロイドが働く、機械工場へ向かった。

12/4/2025, 10:05:48 PM

パパがこっそり書いていた手紙をママに見せたら、次の日からパパとママはケンカばかりするようになった。
いったいなにが書いていたんだろう?
今日も、パパとママはケンカしている。
……手紙をママに見せなきゃよかった。
おこっている声が、家中にひびく。
わたしは聞こえないように耳をふせぐしかできなかった。

12/3/2025, 10:11:15 PM

思わずブルっと身体が震えてしまうほどの冷たい風。
まだ薄い長袖で大丈夫だと思ったのに、一気に気温が下がって寒い。
仕事の帰りに商店街を歩いていると、店にはクリスマスの飾り、通りにはイルミネーションがキラキラと光っている。
もう……冬なんだな。
つい最近まで夏だったのに。
歳を重ねるたび、時間が経つのが早くなっている気がする。
ヒュ〜っと、後ろから冷たい風が吹く。
まるで、「もう冬だよ!」と言いながら駆け抜けていく、元気いっぱいな子供のような風だった。

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