休憩時間になり、一気に騒がしくなる教室。
皆、誰かの机に集まって、楽しそうに会話している。
……羨ましいなぁ。
入学したての時は、友達沢山作るぞって意気込んでいたのに。
結局、誰にも話しかけれず、友達は一人も出来なかった。
だから休憩時間はいつも一人だ。
あの時、ちゃんと誰かに話しかけていたら今頃……。
そう考えると、だんだんと虚しくなっていく。
今からでも、遅くない……かな?
再び教室内を見渡すと、皆楽しそうに会話をしている。
今は話しかけづらいから、明日にしよう……。
そう思っても行動しない日が続き、友達が出来ないまま卒業してしまった。
この三年間で学んだことは、やっぱりスタートダッシュは大事だということだ。
街中に響き渡る、彼女の歌声。
歌手になることが夢だった彼女。
苦労の末、彼女は夢を叶えた…のに。
先日、突然病で倒れ、亡くなった。
彼女の力強い歌声が、耳に入ってくる。
きっと、この歌は誰かの心に響き、勇気と元気を与えるだろう。
その一人が……俺だ。
目を瞑り、彼女が生きた証をずっと聴き入っていた。
すぐ後ろに迫ってきている濃い霧。
前には、光が見える。
あの光へ向かって走れば、全てが上手くいく。
だが、濃い霧がだんだん迫ってきて、背中に霧が触れる。
頑張ってここまで来たんだ、霧に包まれるもんか。
だって、ようやく自分の進む道を見つけたのだから……。
霧は背中から肩にかかる。
「追いつかれてたまるか!」
足が折れようと壊れようと構わない、必死に、死ぬ気で、光へ向かって走った。
肩にかかっていた霧は離れていく。
そして、手を伸ばし、光を……掴んだ。
光は手の中で光り輝き、迫ってきていた霧を吹き飛ばし、明るい世界へと変わった。
これが、自分が選んだ道……。
落とさないよう、どこかへ行ってしまわないよう、掴んだ光をしっかり握り締めた。
勉強机の上に置いている、木製の砂時計。
宿題や勉強をする時に逆さまにして、全ての砂が落ちるまで、集中するようにしている。
サーーー……。
静かな自室に、砂時計の砂が落ちる音だけが聞こえる。
心地良い音で、聞き入ってしまう。
おっと……いけないいけない、勉強しないと……。
握っているペンに再び力を入れ、動かす。
……あれ?砂の音がしない。
砂時計を見ると、砂は全て落ち切っていた。
今度は勉強に集中しすぎて、砂の音が無くなっていたことに気づかなかったとは……。
ペンを置き、休憩タイムに入る。
砂時計を逆さまにし、再び砂を落とす。
休憩タイムに聞く砂の音も、また最高なのだ。
夕陽が沈んでいき、暗くなっていく空。
星達は、夜空になるのを待っていた。
「た、大変だ!」
一つの星が、星達の元へ飛んできた。
「どうしたの?」
「なにがあったんだ?」
星達は心配そうに星の元へ集まる。
「星図がどこにもなくて……」
「ええっ!?」
「ほ、本当に!?」
星図がなくなったことを伝えると、星達はパニックになり、その場でぴょんぴょん跳ねたり、走り回る。
星図とは、星達が夜空のどこに並ぶか示してくれる図のこと。
星達は毎晩、星図を見て配置についているので、星図がなくなって大混乱だ。
「どどどどうする?もうすぐ夜になっちゃうよ?」
「んんんん……仕方ない。今日は好きな所に並ぼう」
「それしか方法はないか……」
夜空になると同時に、星達は空へ向かって飛んでいった。
「パパー、今日のおほしさま、なんかへん」
「ん?あー……ほんとだ。なんだありゃ」
親子が見上げた先の夜空には、星達が一ヶ所に集まって輝いていた。