椿灯夏《少しずつ削除します》

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8/5/2022, 11:34:42 AM

8/4/2022, 11:14:09 AM

お題《つまらないことでも》



灰色の日々が希望に変わってゆく。


失ったものもいつか、新しい翼をえて――。




動かなかったオルゴールが青年の手の中から、息を吹き返す。幻想花を降らせ、どこに隠れていたのか、木々の葉から、水辺から、精霊たちが出てきて曲調に合わせておどりだす。



「このオルゴールはつまらないものじゃないだろ、ほらちゃーんと生きて動いてるじゃねーか」



母から「魔法の宝箱よ」なんて言われて、手にした古いオルゴール。どんなに調べても、なんの変哲もない――だから森に捨てようとしてたら、現れたのがどこにでもいるようないい兄風の青年だった。



「お兄ちゃんは魔法使い?!」


瞳にたくさんの星を降らせた少女に、青年は屈託のない笑顔で答える。




「そうかもな」



この日があったから。


今も私は、魔法の宝箱を大切にしている。


そして《つまらなさそうにしている少女》に、私はあの日の物語を語るのだ。そして少女の瞳は、あの日の私のようにたくさんの星を降らせて。





「すごいね、お兄ちゃんは魔法使いなの?」



8/3/2022, 11:12:15 AM

お題《目が覚めるまでに》



毎日君の窓辺に花を飾って。


毎日君の好きな紅茶を淹れて。


毎日君の育てたハーブを摘んで、朝食をつくって。


毎日君におはようのキスをする。



やわらかな陽光の中、君が微笑む。


 


僕の幸せは、君と繋がっている。

8/2/2022, 11:57:18 AM

8/1/2022, 12:19:32 PM

お題《明日、もし晴れたら》



永遠の旅に、でよう。



森はすっかり落葉し、季節は終焉を迎える。


淡い冬の陽射しの中やわらかな蜂蜜色の机で、読書をする。少女は夢中で気づかない――そして、背後からひょいと本を取り上げられ、聞き慣れた声がした。


「そんなに面白いか、俺といるより?」



青い瞳、青い髪。神秘的な青さの青年は、少女を背後から抱きしめる。慈しむように、顔を寄せ――しょうがないなあ、と笑う少女。



「面白いに決まってるわ、あなたが買ってくれた物語だもん。それより、明日は飛べそう?」


「ああ、問題ない」


「じゃあこれから用意しないとね」



窓辺にある渋い紅茶色のトランクは、青年が自由になったら旅にでようと約束して買ったものだ。この森を離れ、遠くへいくために。




あの日星の降り注ぐ夜、竜の王になった。



そして今、竜は最愛の少女のもとへかえってきた。





「もし明日晴れたら――旅にでよう、永遠に旅し続けよう」





竜と少女は旅にでる。


始まりの夜の約束を――。



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