お題《泣かないで》
きっかけは何だっただろう。
虚ろな瞳で日常を見ていた。あの子――お絵描きしている間も隣にいて、一緒に同じ世界を夢見たあの子。アクアマリンの海色の毛並みが美しい、私があの夏に拾った小さな子猫は――どこへ消えてしまったのだろう。
どこか遠い国へ旅立ったのだろうか。
――私の隣だけが“世界”じゃない。
それなら。この瞳から降る静かな雨はなんだろう――?
お題《たくさんの想い出》
太陽と月が巡る。
季節が移り変わりゆく時々を愛猫と歩んできた日々は、永遠に色褪せることのない、物語だろう。
老いて、歩けなくなってきた愛猫。
どれだけ大変だろう、辛かろう。
気持ちをすべてわかってあげることはできないけれど、君が今を生きるから精いっぱいの愛と敬意を持って――終わりまで見守ろう、生きよう。友に。
お題《スリル》
嘘をつき続けるのは美しい毒で、日常を甘く、時に痛いほどの絶望と虚無感で麻痺させる。
スリルは快楽《スパイス》。
スリルは劇薬《ポイズン》。
一生溺れて、一生抜け出せない幻想。
お題《眠りにつく前に》
神様にありがとうを伝える。
明日もよろしくお願いします、と。
どんな生き方をしてても、やっぱり感謝は大切。
これも小さな幸せのひとつ。積み重ねていくと、いつかきっと大輪の花が咲いて、すてきな花園になるんだと想うわたし。
空想は果てしなくどこへだっていけるの、わたしは臆病だけど空想の翼は壮大だ。
お題《懐かしく思うこと》
積み重なった言の葉を書き留めたノート。
意味のわからない、言の葉の羅列さえも愛おしい年月の証。
今だって、道は昏く道標の灯りがあっても歩くのは怖い。
それでも歩いてゆけるのは、彼《物語》があったから。
そして彼女《言の葉》は連れていってくれる――私をいつだって。遠い遠い旅路にさえ、友にゆく旅人になって。
世界はいつだって木漏れ陽に満ちている。