椿灯夏《少しずつ削除します》

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11/19/2025, 8:33:16 AM

お題《記憶のランタン》

クリスタルの湖に灯る月
魚もいない神秘の湖を彩るのは
記憶のランタン

「旅人が落としていった記憶が光となってて、ここ一帯は夜でも白夜のようなんだ。水底にはランタンがあって、記憶をためている、らしいけど、何のためかは専門家でもわからないそうだ。

興味があるなら一度行ってみるといい。地図も持っていくといいよ」

街道で出会った青年から教えられ
湖を目指す旅人
宛のない長い旅路だから
風吹くままに巡る
道端の草花さえもひとつの絵
今は今しかない

旅人は手帳《あいぼう》に綴る
ひとつの決まった出来事なのに
どうせ意味など持たないのに


それでも旅人は旅人だから綴る

運命《さだめ》は運命《さだめ》だから

旅人は旅人だから

木漏れ陽溶けるように輝く湖
瞳に木漏れ陽さす
旅人は水底へ

クリスタルの月のランタン
触れれば記憶が流れ込む
忘れられた遺跡を見つけた時
花通り 笑顔の花を友達と咲かせる時
リボンを竜に結ぶ少女と
約束を少女に結ぶ竜と 別れの時
輝石で走る機関車から見える蜂蜜色の街
職人が新人に輝石を語る時


そして旅人は ふたたび 明日の風に吹かれて


「………道中ご無事で」


祈りの言葉は願いの言葉 

旅人は旅人を想う

自分たちから消えないものがあるとしたら

きっとそれは運命《アルカナ》だ

11/16/2025, 8:25:04 AM

お題《木漏れ日の跡》


後ほどまたあらためて。



9/29/2025, 3:03:32 PM

お題《モノクロ》

木枯らしの夜
月光蝶ランプが夜風におどる
アンティークカフェ《エデン》
花の香りの珈琲 レモンケーキ 

――カラスの羽のようなアンティーク帽子 

三日月の唇からうたう呪文
誰もしらない詩のように
誰もがしる詩のように


「魔法使いは現実には存在しない。――でも。君は綴ることができるだろう? なら答えはカンタンだ。君が、綴ればいい。《魔法使い》は、君のモノなんだから」


つめたい現実は 冬の月のようだ
生きる場所を 選べないから
ここは 牢獄 鳥籠 それでもここが 楽園


「生きてみたくはない? ここじゃない、ここで。ここだけど、ここじゃないどこかで。……彼らと」


甘い蜜のように囁く
どんな毒より おもたい毒 を




現実は 死 よりもおもい

生者が
生者である以上に



彼はそれをしっている
夜の海を 深海を


だれよりしっている………………



「ひとつ、約束をつけ加えておこう。いつか必ず来るその日のためのね」



最後にみたのは 


9/28/2025, 1:07:03 PM

お題《永遠なんて、ないけれど》


深い――夢の海をただよう
罪を祈り
永遠を祈り
雨が心にとけてゆく
落ちてゆく 夢から夢へ
つかんだのは 硝子の薔薇


「そんなものは望んでない」


心臓に突き刺さる叶わない棘《ゆめ》
黒曜の翼では
なにも掴めず
なにも望まない
死んだら
無にものこらない
鴉はそれをしっている

「物語を綴ろうと思うの。鴉《あなた》のための物語を」


花冷えの 春の香り纏う花《かのじょ》

これは  ――深い深い夢だ 僕が望んだ 嘘《ゆめ》


鴉はしっていた 季節は流れてゆくもの
鴉はしっている 夢は夢のままだと


「これこそ、悪夢だな…………これが、おまえの望んだ罪か」





深く深く     堕ちてゆく   花が死んだ



9/28/2025, 2:00:06 AM

お題《涙の理由》

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