椿灯夏

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3/11/2025, 1:10:48 PM

お題《星》


天幕の向こうに星火が灯る

旅人の行く末を示す羅針盤

いつか邂逅を果たすその時まで

それを道標に狭間を渡る

散りゆく花に誘われて

新たな物語を紡ぎだす


星空の向こう竜の詩を聴いた

お伽話のように懐かしく

伝承のように神々しい


いつかの記憶がよみがえる


異端扱いされた少女と詩季綴りの少年

ふたりは出会うはずのない

世界から泡沫となった、ふたり



《途中書き》

3/10/2025, 3:51:54 PM

お題《願いがひとつ叶うならば》


「沈黙は願いを叶える美しい象徴。お前はどんな夢を望む?」


真実の魔法使いと語るにはあまりにも綺麗な嘘をつく男


その男の名は“アメシウス”




“沈黙は大罪”

“沈黙は願いを汚す行い”


神を崇めるその街は魔法使いを嫌う

街一番の教会は魔法使いを裁くための籠鳥

そこには地位の高い聖職者と魔法使いを狩る吸血鬼が

永遠とも想える悪夢を再演するのだ


誰も彼もが騙し合う

己の願いのために

嘘と嘘を重ねて“真実”にする


《途中書き》






3/9/2025, 3:07:30 AM

お題《秘密の場所》


淡い春の泡沫に約束を埋めた

果たされることのない約束を


散りゆく花弁の海で蒼穹を呪う

あまりにも美しく空が笑うから

憎らしくなったんだ

君と交わした約束はこの世界に

もう残っていないようで

《途中書き》





3/7/2025, 3:57:19 PM

お題《ラララ》

この世界は奇劇で出来ている

たくさんの人が生きる喜劇

それは時にどうしようもなく哀れで

どうしようもなく美しい

《途中書き》

3/6/2025, 1:09:14 PM

お題《風が運ぶもの》

「愛は不確かで幻想だ。君はそれでも愛は崇高だと歌うの。――ねえヒメサマ? 愛はもっと毒を孕んでいて、狂気なんだけど、それでも君は素晴らしいと俺に嘘を説くわけ?」


カラスのように夜を纏った青年は柔らかい笑顔を浮かべている


月でさえ彼を照らすのは難しく

すべての光から隔離されているようだと少女は思った


はじめて出会ったのは町の果てにある古びた教会

カラスを肩にのせた女神のステンドグラスが

印象的だったのを今でもよく覚えている

それをじっと見つめる青年は身動きもせず

何の感情も無い表情で

ただ――それを眺めているだけだった


身寄りのない少女はその教会で住まわせてもらっていた

しかし青年を見たことはなかった


町でもそんな青年はいない


見目が美しく整っていたが

吐く言葉はすべて毒でしかなく優しさはないに等しい


《途中書き》

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