椿灯夏《少しずつ削除します》

Open App
9/29/2025, 3:03:32 PM

お題《モノクロ》

木枯らしの夜
月光蝶ランプが夜風におどる
アンティークカフェ《エデン》
花の香りの珈琲 レモンケーキ 

――カラスの羽のようなアンティーク帽子 

三日月の唇からうたう呪文
誰もしらない詩のように
誰もがしる詩のように


「魔法使いは現実には存在しない。――でも。君は綴ることができるだろう? なら答えはカンタンだ。君が、綴ればいい。《魔法使い》は、君のモノなんだから」


つめたい現実は 冬の月のようだ
生きる場所を 選べないから
ここは 牢獄 鳥籠 それでもここが 楽園


「生きてみたくはない? ここじゃない、ここで。ここだけど、ここじゃないどこかで。……彼らと」


甘い蜜のように囁く
どんな毒より おもたい毒 を




現実は 死 よりもおもい

生者が
生者である以上に



彼はそれをしっている
夜の海を 深海を


だれよりしっている………………



「ひとつ、約束をつけ加えておこう。いつか必ず来るその日のためのね」



最後にみたのは 


9/28/2025, 1:07:03 PM

お題《永遠なんて、ないけれど》


深い――夢の海をただよう
罪を祈り
永遠を祈り
雨が心にとけてゆく
落ちてゆく 夢から夢へ
つかんだのは 硝子の薔薇


「そんなものは望んでない」


心臓に突き刺さる叶わない棘《ゆめ》
黒曜の翼では
なにも掴めず
なにも望まない
死んだら
無にものこらない
鴉はそれをしっている

「物語を綴ろうと思うの。鴉《あなた》のための物語を」


花冷えの 春の香り纏う花《かのじょ》

これは  ――深い深い夢だ 僕が望んだ 嘘《ゆめ》


鴉はしっていた 季節は流れてゆくもの
鴉はしっている 夢は夢のままだと


「これこそ、悪夢だな…………これが、おまえの望んだ罪か」





深く深く     堕ちてゆく   花が死んだ



9/28/2025, 2:00:06 AM

お題《涙の理由》

削除完了

9/26/2025, 11:59:28 AM

お題《コーヒーが冷めないうちに》


削除完了

9/24/2025, 12:02:29 PM

お題《時計の針が重なって》

 カーテンに透く光
 沈黙の書架は聖堂に似ている
 窓際に並ぶハーブが風にゆれる
 村の東のある大樹からつくられた机
 大樹は古くから伝わる神樹
 村人は毎朝祈り
 旅人は目印に
 ローブを纏った少年は
 山積みにした古い本を崩しながら
 毎日メモ書きに明け暮れる
 夜明けから 黄昏まで
 黄昏から 夜明けまで
 深緑のローブは
 書架の管理者のあかし


あの人が ほめてくれた ローブ
森の香りがするローブ

どうせ修復魔法でなおせるのに
針と糸で 魔法のように繕う
あの人は 魔法をかける


「得意じゃないけど、大切な人のために縫うのは好きなの」


あの人の香りが消えない
だから このローブは とくべつ
だから このローブは あの人と邂逅を果たすまで


書架の時計をみる

あの人の針の音がきこえる


僕らの針が重なるまで

僕らの手が重なる そのときまで

Next