お題《病室》
枯れた言葉と涙の跡には。
奇跡が生まれる。
君の声が、私の世界を再生させる。
霧に包まれた町アリーシャ。
ここは最果て――治ることのない病を抱えた人々が暮らす楽園。女神アリーシャの力がこの地に宿っているとされ、とある者が「これは女神の意思だ、奇跡だ」としたのが始まり。
アリーシャは年中深い霧に包まれているため、町を出歩く人はまずいない。
――だからこうしていつも、つまらない世間話をする。
「今日は霧の丘で歌を聴いたんだ、きっと女神さまの歌だよ」
「女神さま、ねぇ……」
呆れるほど、女神さま女神さまうるさい私の幼なじみコトア。泣き虫で、女神オタクだ。可愛い顔なので、周りから受けがよかったのをよく覚えている。
「そんなことよりトア――いい加減ここへ来るのはやめなさい」
「どうして?」
「そんなこともわからないの?! ここは最後の時を過ごす場所なの! もう、あなたの顔なんて見たくないのよっ」
「――っ」
――これで。もうここへは、こないでしょう。小さい頃から私の知る世界は《トア》だけだった。
トア………………あなたの行く末を、隣でずっと見守っていたかった。
まばゆい光の中で。
ずっと先の未来。
私は、あなたの声で目を覚ます。
追伸 メモのように描いてしまって、この不出来ですが……一応残しておきます^_^;
8/2/2022, 11:57:18 AM