椋 muku

Open App
11/21/2024, 11:32:27 AM

わ、私一体どうすればいいの…!?

私と保育園からの幼馴染。直接的な接点はあんまりなかったけどそれなりに一緒になることはあるし同じクラスになった。私は君のことが嫌いだった。学年が上がっても猿みたいで全く成長しない男子は邪魔くさいしうるさいからって。

でも2年の後半から好きなアニメが一緒で一気に距離が縮まった。私もあんまり君のこと知らなかったみたい。案外良い奴じゃん。君といるとすごく楽しい、なんか今までごめんって1人で思ってた。

3年に上がってから君は頻繁に私にちょっかいを出すようになったよね。

「なんでこのキャラクターのシャーペン使ってんの?」

「んー?好きだから。私1番好きなの、このキャラクター」

こんな会話をした翌日からよく私の筆箱からお気に入りのシャーペン取って行った君。

「俺、このシャーペン好きだわ。」

…え、どゆこと笑 代わりに君が使っているシャーペンを私に渡して君が去っていく。それから君はよくシャーペンを交換しにきた。エスカレートして筆箱を交換するようにもなった。君が私のプリントを奪って私の苗字を君の苗字に書き換えたこともあったね。周りからは「アンタら付き合ってんの?」とか「もう籍入れたんだ〜♡」みたいなこと言われたけどびっくりして状況を把握出来なかった私は否定すらしなかった。
君は私の問題集の解答に落書きをしていくわ、私の席に座るわで毎日ちょっかいを出していた。そんな君が好きになっていたのに気づいたのはここ最近のこと。君が私のことをどう思っているのか分からないけど、かまってほしそうな君を見ているうちに好きになってしまったんだよ?もう今年で卒業しちゃうし同じ学校目指してる訳じゃないから会えるかもわかんなくなるよね…寂しいな。

で、でもね…さすがの私でも君がぐいぐい来るのには全然慣れてないんだよ?君に頭ポンってされるし成り行きでハグもどきまでしちゃったし…もう本当にどうすればいいのーーーー!!!?っていうか君はどう思ってるのよー!?

題材「どうすればいいの?」

11/20/2024, 11:41:09 AM

My treasure is...

いつかの私はそうやって不器用に英語を使って大切なものを発表していたっけ。

小さい頃は可愛いものやカラフルなものが好きでよく集めていた。母の化粧道具からリップを探し出してはよく塗っていた記憶もある。キラキラした世界が見えていたんだ。でも成長が早くて周りより身長が高かったこと、覚えるのが好きで周りより知識量が少しだけ多かったことがあって先生から大人びていると何度も言われた。1番記憶に残っているのは私だけ「○○ちゃん」と呼ばれたことがなかった。1度も。そのせいか、自分の好きなものを素直に好きだと言えず徐々に周りに馴染めなくなったんだと思う。

成長していくにつれ、周りは女の子らしいお洒落や美容に関して関心が湧く時期になった。私も興味はあった。ただ、周りの環境の影響もあってか、女の子として生きづらい自分がいた。女の子である自分も別に嫌いではない。ただ、時間が経つにつれて男の子でいたいと思う自分が強くなっていった。周りもいつしか「男友達みたいで安心するわ」とか「女として見れない」って男の子としての私を必要とするようになった。

私は髪を切った。部活で邪魔になるからって言うことを言い訳にしたけど、本当はもう女の子でいる自分を捨てる覚悟を決めたからだった。短いマッシュヘアに刈り上げを入れる。不安がなかったといえば嘘になる。それでも男の子として生きていく自分の第1歩と思えば難しいことではなかった。鏡に映った自分は男の子そのものだった。なりたい自分にようやく出会えた気がして心臓は高鳴ったままだった。

今になってみると、自分のために自分が決断してきた過去がとても愛おしく思える。いつか捨ててしまった女の子としての自分も大切な「自分」である。覚悟を決めた男の子としての自分も大切な「自分」である。だから私は女の子としても男の子としても生きていくことを決めた。大切な宝物、それは自分自身であった。自分自身を愛さないことには、自分自身と向き合わないことには人生というのは始まらないものである。今までの想い出全部を振り返って今だから言えること。

My treasure is myself.

題材「宝物」

11/19/2024, 11:23:54 AM

灯火。燈。あたたかく落ち着きのあるイメージ。寒さが増すほど恋しくなるもの。火を灯すだけで安らぐ。だからこそ多くの人から愛されているのだろう。

キャンドルというものに憧れがあるのに今まで手にしたことがない。使ったことがないからこそロマンチックだとかお洒落だとか偏見とイメージだけが広がっていく。たかがミツロウで固められたもの。それだけのはずなのにそこに燈が点くだけで人は安堵してしまうんだ。

あぁ、今日もまた1日が終わる。ここにキャンドルというひとつの灯火があったのならば、安らぐことができたのだろうか。キャンドルという題材に偏見でしか言葉を紡げない自分に腹立たしさを感じながらなんとなく問いかけてみる。何かが思い浮かぶわけでも変わるわけでもない。「自分」という生物はこんなにも無知な存在であったか。炎が揺れるさまを想像しながら今日は眠りについてみるとする。キャンドル、皆さんにはどんな想い出がありますか?皆さんにとってどんな存在ですか?

題材「キャンドル」

11/18/2024, 11:40:03 AM

僕が君と過ごした時間。人生の何十分の一にも満たないわずかな時間。その中には何十年、何百年ではきかない想い出が詰まっていた。

君といる時に感じた鼓動の高鳴りを身体が覚えて、知らず知らずのうちに君を求めていた。君が笑うと僕の打つ脈は誰よりも重く深くなっていく。相手に好意を抱くというのは特別初めてという訳ではなかった。それなのに、君といるとすべてが新しく煌めいて見えた。

君が異性を怖がってしまうと僕に打ち明けてくれたことが僕たちの美しい時間の始まりだった。本当はあまり関わりたくなくて、でもあなたとなら…と視線を僕から逸らして呟いた君。瞳に映った空は今まで生きた中で最も美しかったと断言出来るほど僕には眩しく見えた。君との恋仲が始まって僕は浮かれていたんだな。

春も夏も秋も冬も、君はいつでも僕を連れ出した。ウィンドーショッピングが好きだからと街へ出たかと思うと夜のネオン街で雰囲気の漂うバーで乾杯もした。酔った君とのカラオケ。君は覚えているだろうか。僕に背中を向けて歌った𝐼 𝑙𝑜𝑣𝑒 𝑦𝑜𝑢。たった一言の歌詞が何よりも心に刻まれたんだ。振り返って見せた頬が染まった君も綺麗だったよ。

君と身体を重ねた夜。周りの騒音なんて気にならないくらい僕たちにはお互いの鼓動しか聞こえていなかった。口づける度に漂う甘いラベンダーの香り。今では苦くさえ感じる花の香り。あの時の君の誘惑に満ちた表情が少し大人っぽく見えたんだ。

君は僕じゃない誰かを選んだ。最初からそんなつもりはなかったと。確かに君は僕に告げたよね。君の隣にいたのは僕より仲を深めた僕の知らない奴だった。罪深い人だな、その人とはちゃんと目が合っているんだから。君が一度も僕と目を合わせてくれなかったのは初めからお遊びだったからだよね。あなたとならって口説き文句だったんだよね。気づいていたよ、心のどこかで。それでも僕たちの時間は美しかった。僕だって満足した、たくさんの想い出ができたから。それなのにどうして別れを告げた君が泣くの?君が泣いたら僕たちの最後が美しくなくなってしまうじゃないか。あなたと過ごすうちに好きになってしまったの、でも私とじゃ幸せになれないから…と涙ながらに伝える君に僕は最後の口づけをした。他の奴ができない君の人生で一番深い美しい口づけを。あの日が君と目が合った最初で最後の日。幸せになるんだよ、それだけ伝えて僕たちの美しい関係に終わりを告げたんだ。

題材「たくさんの想い出」

11/17/2024, 12:13:59 PM

明日、雪が降るらしい。もう夏の余韻を残した秋風は冷気を纏った木枯らしへと変わってしまった。吐いた息が白くなるほど冬はもうすぐそこまで来ている。

冬になったらこの恋を終わらせようと決めている。あなたとの出会いはもう随分前のことでお互いの趣味がきっかけだった。季節が春から夏へ移り変わるように仲が深まるのもそう長くはかからなかった。あまりくさい台詞はいう柄じゃないが向日葵のように明るく太陽のように温かいあなたのすべてに知らぬ間に惹かれていたのだと思う。蕾が花を咲かせるようにあなたへ抱いた友情が好意へ変わるのも一瞬の出来事だった。仲が深まるほど抱くものが重くなってゆく。しかし、仲が深まるほどあなたは枯れゆく花のように切なく雪のように冷たい人へと変わってしまった。それでも想いは募り続ける、底知れぬように。ふとあなたを温めたいと願ってしまった。ただそれだけの事だった。その願いがあなたとの関係を曖昧に濁らせた。手を伸ばせば届くはずなのに遠い距離がもどかしい。触れているのに増してゆく冷たさが心痛い。魅力的なあなたには茨が付き纏う。傷つけられても守りたいと思ってしまうのはあなたに恋をしていたから。確かにあなたに「恋」していたから。曖昧な関係が冷めるのは友情が好意へ変わるのと同じで一瞬の出来事だった。あなたがこれ以上傷つけたくないと言い放った。涙さえも雪解けのように美しい。移ろいのあるあなたを手放したくはない。それでも離れるしかなかった。最初から想いは募るどころか解け流れ消えてしまう無意味な感情だったのだから。

この冬、あなたへの「愛」を残したままこの恋に終止符を打つことだろう。想いが芽吹く、春が来ることを願って。

題材「冬になったら」

Next